PBRの意味とは?低PBR銘柄って放置プレイ銘柄の可能性も

Sponsored Link

 前回のPERに続き、今回はPBRについて考えてみました。

 バリュー株投資にはなくてはならない指標PBR。PBR1倍割れの株価の銘柄は割安で素直に買いか?
 
 低PBR銘柄って、単に市場から放置プレイされているだけの銘柄も多くあります。低PBR=バリュー株と思って飛びつくと、思わぬ失敗をする可能性がありますよ。PBR1倍割れているからと言って、それがそのまま儲けやすい銘柄ではない、と言うことは知っておいて損はないと思います。

PBRの計算式

 PBR(ピービーアール)というのは、(Price Book-value Ratio)の頭文字を取ったもので株価純資産倍率と表現されます。このPBRは下記の計算式で計算されます。

・株価÷BPS(1株当たり純資産)=PBR(倍)

 上記の計算式を見て分かるようにPBRを算出するにはBPS(1株当たり純資産)を先に算出する必要があります。そんなBPSの計算式は下記。

・純資産÷発行済株式数=BPS(円)

 純資産というのは貸借対照表(B/S)の資本の部の事です。BPSって読んで字の如く、1株当たりどれだけ資産を持っているか、という指標。そしてPBRは株価が1株当たりの資産と比べて、どれくらいの価格で取引されているのかを表す指標です。

 BPS100円の銘柄が株価50円で買えたら、持っている資産より株価が安いのでお買い得、ということになりますよね。でいわゆるバリュー株投資というのは、この割安の株価50円という価格で買っておいて、株価が本来の価値である100円になったら売って儲けましょー、というのがそのコンセプトです。

 ちなみにBPSもPERの際のEPS(1株当たり当期純利益)と同様、ストックオプション等の潜在株式を入れた株数で計算するのが通常となっています。

会社は株主のモノ、その大前提と歴史的経緯

 会社は誰のモノ?って、村上ファンドの活躍(暴れていた?)していた頃によく話題となりましたが、PBRで会社を見る時は会社は株主のモノ、という前提で見ます。

 仮に会社を今日で廃業します、と言った場合、取引先への支払いや銀行への借金の返済後に残った資産、これを株主で分配する、というのがその際の考え方。

 株式会社って元々は、大航海時代のスペインで探検家が航海(=貿易)の為にお金持ち(=出資者・パトロン)からお金を集めて、その資金で商品を買って船を借りて船員を雇う→航海先で商品を売りさばいてタンマリ儲ける→航海が終わって帰ったら船代・乗組員の支払い・冒険家の取り分等の経費を除いた後の資金(利益)を出資者で分け合う、というのが原型。
 だからPBRの考え方って、実はとっても株式会社の源流的な所から来ています。

 で、話を現代に戻して、仮に会社を解散するとして会社に残ったお金が10,000円、株主が4人なら1人当り2,500円もらえる=BPS2,500円、と言うことになります。

 会社が解散したらBPSは2,500円ですが、上場会社の場合は当然株価がついており、その時の株価5,000円ならPBR2倍、株価1,250円ならPBR0.5倍となります。

15.10.3日本丸帆船-min
株式会社のルーツは大航海時代にあります

PBRで何が分かるのか?

 PBRを見ると何が分かるのか?もうこれは上記の例でも分かるように、会社が解散した時にいくら帰ってくるか、ということ。PBR1倍の株であれば、ほぼ同額のお金が帰ってきて、損はしない計算になります。逆にPBR1倍以上の会社だと、会社が解散すると株主は損することになります。逆に考えると、PBR1倍以下の会社は、会社を解散してもらって配当してもらったほうが株主にとってはありがたい、ということになります。
 
 よってPBRをベースで株価や銘柄を見る時は、1倍を切っているかどうか、という部分がポイントになります。株価が解散価値より低い=会社が解散すれば儲かる、ということになりますので。

 実際、ライブドアが上場廃止になった際、実はPBR1倍を割っていましたが、最終的に最後の株主は株価以上の配当を手にしています。滅多に会社解散なんてことはありませんが、PBR1倍割れというのは理論上は解散すれば株主は儲かる、ということになります。

参考記事:あの時、ライブドア株を買った人は儲かったのか計算してみた(会計SEの裏紙)

Sponsored Link

バリュー株投資に無くてはならないPBR

 会社の価値より株価が割安に評価されている株を買って儲ける、というバリュー株投資。米国の有名投資家ウォーレン・バフェット氏と言えばご存じの方も多いと思いますが、バリュー株投資と言えばバフェット氏がその代表格。
 管理人もバフェット本を何冊か読みましたが、PBRはバリュー株投資の際になくてはならない指標。理屈で言えば、PBR1倍割れの会社、株を買った翌日に会社が解散すれば株主は配当で儲かります。
 よってPBR1倍割れの銘柄を買うのが、バリュー株投資の始めの一歩となります。

そのバリュー株=低PBR銘柄、放置プレーされてませんか?

 なーんだPBR1倍割れで業績が安定している銘柄を買えばバリュー株投資で儲かるじゃないか、と思った方、少々お待ちを。問題はここから先にあります。

 低PBRの銘柄と言うのは、株式市場から評価されていないのでPBRが1倍を割っている訳です。こう言った銘柄、完全に株式市場から無視されている=放置プレー状態になっている銘柄が多いんです。だからバリュー株投資と思い株を買ったはいいが、株価がいつまでたっても上がらないどころか少しずつ下がっていく・・・、ということになるケースも結構発生します。
 特に日本株の場合、他の株が上がっている時に取り残されて、全体が下がる時には一緒に下がるという傾向があるため、低PBR銘柄を買ったはいいがドツボにハマるケースもあります。更にその間に業績が悪化したら、目も当てられない状態に・・・。

 よって、低PBR銘柄だからと言って、安直に飛びつくとバリュー株投資であっても放置プレーの末に株価全体の下落の影響でドツボにハマルことがことが多々あります。
 管理人もその昔、やられたことがありますので・・・。

何かの切っ掛けで会社が評価され、一気に株価が上昇することも

 低PBRのバリュー株投資は、それまで割安に放置されていた銘柄が、何らかのきっかけで会社が評価や注目され、一気に株価が上昇することがあります。ココがバリュー株投資の醍醐味。

 けどねこの「何かの切っ掛け」は当然個人投資家でコントロールできませんし、会社側だって同じこと。だからひたすら神に祈って待つしかありません。
 そー言った観点では「何かがある」という余地であったり、可能性がある、と思われる銘柄を買わないとバリュー株投資、そうは簡単に儲かりません。そのように考えると、バリュー株投資はバフェット氏が仰るように、1にも2にも企業研究が大切、ということになります。バリュー株投資をするなら、チャート分析より、財務や会社の製品・サービス等の会社の分析がうまくできないと儲けられない、という結論になります。

何冊か読んだバフェット本の中では、この本が一番まとまってます

 ちなみに、「何かの切っ掛け」を力技でやろうとしたのが、かつての村上ファンド。良いか悪いかはさておき、一面では理にかなっている行動だから厄介だったんです。

PBRのまとめ

 バリュー株投資には必須の指標PBR。低PBR銘柄だから、と言って喜び勇んで株を買って、ニッチもサッチもいかなくなってしまう、ということがあるという事実は案外知られていません。低PBR銘柄=リスクが低い、とは一概に言えません。

 確かにPBR1倍割れ銘柄、PER40~50倍の銘柄と比べれば大損する可能性は少ないとは言えます。だからそれがそのまま儲けやすい、と言うことにはならないのでご注意を。

 かつては日本企業の決算書は信頼できないのでPBRも信頼できない、と言われた時代もありましたが(けどまだ20年たってません)、時価会計が導入されて、そんな話もなくなったので(粉飾決算は別次元の問題)、隠れた価値を見つけるバリュー株投資もオープンな競争になり難しくなっている面もありそうです。

 ただじバリュー株投資は目先の株価の動きに一喜一憂することなく収益を上げられる投資スタイルで、確かにその効果は否定できません。

 バリュー株投資に必須のPBR。こんな感じでまとめてみました。PBR1倍割れの銘柄はリスクが少ない、と一般的には言われますが、一概にはそうは言えませんよ、というお話。知っておいて損はないと思います。

関連記事:PERの意味を考えてみようじゃないか、予想PER使ってますか?

スポンサードリンク
スポンサードリンク