JR九州が10/25にIPO、予想株価2,450円はJR3社比では妥当な水準

 昨年から話題になっていたJR九州が遂に東京証券取引所から上場承認を得ました。10月25日(火)に上場(IPO)予定です。

 IPOに当たり予想株価(想定株価)は2,450円。予想PER10.2倍、PBR1.3倍という水準。既に上場しているJR3社と比べると、予想PER及びPBRからは妥当な水準での価格設定と言えます。

 ただしJR九州は他のJR3社とは違い鉄道事業は赤字状態で、更にIPOに際し株主の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有の全株売却することで、流動比率100%となります。

 JR3社比で妥当な株価設定、そして配当の開始・優待制度の創設でIPO後の株価対策も既に見据えているJR九州。JR九州のIPOについて、業績面・株価面そして株主対応について探ってみました。

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JR九州が東証より上場承認、上場日は10月25日(火)

 JR九州が遂に東証より上場承認。昨年からIPO界隈では話題になっていましたので、遂に・・・、と感慨深い関係者も多いのでは?上場日は10月25日(火)。東京証券取引所市場第一部への上場が予定されています(まだ一部か二部か確定していませんが、企業規模から見れば一部と考えられます)。

 当サイトでも、JR九州のIPOは以前から気になっていたので、管理人的にも、ようやくここまで来たか、と感慨深いものがあります。IPOに際し、その行方が注目されていた経営安定基金の問題は全額国庫に返納して、これで晴れて東証上場を目の前にすることになりました。

関連記事:JR九州が2016年秋にIPO(上場)予定、株価はPERで見るかPBRで見るか?

JR九州のIPO日程及び概要

 JR九州のIPOに関する日程及び概要は以下のようになっています。尚、以降のデータは目論見書を参照しています。

<日程>
・仮条件提示日 10月6日(木)
・ブックビルディング期間 10月7日(金)~14日(金)
・公募価格決定日 10月17日(月)
・申込期間 10月18日(火)~21日(金)
・公開日 10月25日(火)

<条件等>
・仮条件2,400~2,600円
公募価格2,600円

<IPO概要>
・東京証券取引所及び福岡証券取引所に同時上場予定
・公募は無く売出のみ
→唯一の株主である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有160,000,000株の全株を売却

 日程は記載の通り。
 JR九州のIPO概要で一番目を引くのは、IPOに際して公募は無く売出のみ、そして売出はJR九州の唯一の株主である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有している株式を全株売却、という部分。

 ズバリ流動比率100%!諸事情あるにせよ思い切ったことするなー、というのが率直な印象です。
 確かにこのご時世安定株主対策というのは流行らないにしても、IPO後の株主対策はJR九州経営陣の腕の見せ所となります。今更、株の持ち合いも積極的にはできないでしょうし、地元九州の個人株主に末永く株主になっていただく、という王道的な株主対策でいくのだろうと推察されます。(それと管理人もそうですが、JR九州の列車のデザインが好きな鉄道ファンも多いので、鉄道ファンも株主の有力なターゲットでしょう)

 しかし安定株主ゼロ、全株売り出しというのは、壮大な実験ではあります。今後の行方に注目したいですね。そしてJR九州での全株売出し作戦が成功すれば、次に控えているのは東京メトロ上場の全株売出作戦、と考えるのは想像力を働かせすぎでしょうか?東京メトロは東京都と国が50%ずつ株を持っていますので。

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日経新聞(16/9/16)にJR九州のIPOの広告まで出てました

JR九州の業績推移

 次にJR九州の業績推移を見てみます。JR九州は今回のIPOに向けて。決算書に相当手を入れています(悪い意味ではありません)。旧国鉄時代から引きづってきた会計方針もIPO仕様に変える等があり、前回の記事の数字と相当変わっています。

 前回の数字と新しい数字の差異はここからきてます、とやるのが本来の姿なのですが、そこまでこだわる人は少数派でしょうし、時間もかかるので(コッチが本音だな・・・)、心機一転新しく開示された数字で業績推移を見ていきます。

14/3期営業収益354,810百万円、経常利益21,216百万円、当期純利益11,566百万円
15/3期営業収益357,422百万円、経常利益25,574百万円、当期純利益15,012百万円
16/3期営業収益377,989百万円、経常利益32,035百万円、当期純利益▲433,089百万円
17/3期(予想)営業収益378,800百万円、経常利益53,500百万円、当期純利益38,200百万円

 16/3期は特別損失で鉄道事業資産一式等で521億円もの減損を行っているので、当期純利益は赤字となっています。IPO前に重い荷物を下ろしておいた、ということでしょう。
 14/3期以降、200億円代だった経常利益は順調に拡大していて、16/3期は経常利益320億円を達成。そして当期17/3期は535億円の経常利益を予定しています。

部門別損益、鉄道事業は赤字

 前回の記事で、JR九州は鉄道事業は赤字、と書いているので、改めてセグメント情報を見てみます。16/3期のセグメント別損益は下記。

・運輸サービス 売上高180,980百万円、利益▲10,549百万円
・建設 売上高88,409百万円、利益6,104百万円
・駅ビル・不動産 売上高62,020百万円、利益20,437百万円
・流通・外食 売上高96,223百万円、利益3,401百万円

 残念ながらやはりJR九州の鉄道部門=運輸サービス部門は赤字。ただし100億円オーバーの赤字はさすがにIPO前の処理が入っているので、数字がデカクなっています。15/3期の赤字は5億円なので、鉄道部門は収支トントンか若干赤字、という状態ではないかと。しかしいずれにしてもJR九州の屋台骨を利益面で支えているのは、鉄道事業ではない、というのは事実。
 駅ビル・不動産の利益200億円というのが抜きんでてますね。阪急百貨店が入っている博多の駅ビルからの収益と推察されますが、JR九州のIPOは駅ビルがあってこそ、と言えます。
 ただし地区によっては業界ナンバーワンのマンションディベロッパーの建設事業と、地道に利益を積み上げている流通・外食事業の存在もJR九州のIPOに大きく貢献しています。

 国鉄の分割民営化の時に、JR九州がこんな姿でIPOするとは誰も思ってなかったのでは?鉄道事業に限界を感じ、様々な事業にトライ&エラーをして結果を出してきた、歴代JR九州経営陣の執念を感じます。

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予想株価(想定価格)2,450円はJR3社比では極めて妥当な水準

 予想株価(想定価格)が2,450円となっているJR九州。株価2,450円で計算すると時価総額は3,920億円となります。昨年は時価総額5,000億円で上場か?、と言われた時期もあったので、約2割ほど安い水準となっています。

 それではこの2,450円という水準は高いのか、それとも安いのか。1株当たりのデータは下記のように開示されています。

16/3期EPS▲2,706.81円、BPS1,876.72円、1株当たり配当金0円
17/3期(予想)EPS238.75円、BPS-、1株当たり配当金37.50円

 JR九州は16/3期の当期純利益が赤字なのでEPS(1株当たり利益)は使えません。株価の算出は通常予想利益を使うこともあるので、17/3期EPS238.75円を採用。そしてBPSは実績ベースの16/3期の1,876.72円を採用します。

 予想株価2,450円の時の予想PERとPBRは下記となります。
・予想REP10.2倍
・PBR1.3倍

 
 ではこの予想PER10.2倍とPBR1.3倍という数字、既に上場しているJR3社と比べるとどうなるのでしょうか?(株価は9/15終値を基準)

JR東日本(9020)
・予想PER13.0倍
・PBR1.4倍

JR東海(9022)
・予想PER9.4倍
・PBR1.4倍

JR西日本(9021)
・予想PER11.1倍
・PBR1.3倍

3社平均
・予想PER11.1倍
・PBR1.3倍

 JR九州の予想株価の予想PER10.2倍、PBR1.3倍というのは、上場JR3社の平均値が、予想PER11.1倍・PBR1.3倍であり、極めて妥当な水準、と言うことができます。
 鉄道事業が儲かっていないJR九州と他JR3社を同列で比較するのはいかがなものか、という声もありますが、全体の数字で見ればJR九州の予想株価、JR3社の株価を参考にして、穏当に決められています。

 個人的には昨年の郵政3社の上場時の予想株価の時より穏当に値付けがされている、と感じます。まあ、鉄道事業をどうとらえるか、という問題はありますが。

JRの民営化のIPO投資は1勝2分け

 折角JR3社の話題が出てきたので、その流れで過去のJR3社がIPOの時、公募価格と初値の勝ち負けがどうだったのか、こちらに記しておきます。

「JR東日本(1993年10月)」
公募価格380,000円-初値600,000円
勝ち!(+220,000円、+57.9%)

「JR西日本(1996年10月)」
公募価格357,000円-初値360,000円
引分け(+3,000円、+0.1%)

「JR東海(1997年10月)」
公募価格380,000円-初値385,000円
引分け(+5,000円、1.3%)

 IPO投資という観点ではJR東日本は大勝してますが、JR西日本とJR東海は引き分け。さてJR九州はどうなるのでしょうか?

 尚、過去の政府の民営化案件の勝ち負けの詳細は下記をご覧ください。

 また昨年の日本郵政3社は3社とも勝ちでした。

・関連記事:日本郵政グループ3社の初値と終値と売出価格からの値上がり率

対個人株主を見据えた株価設定ではないかと推察される

 JR九州のIPOの内容、株価2,450円というのは時価総額4,000~5,000億円で上場と以前から報じられていたので、若干安いな、とは思いましたが、枠には収まっているのでこんな感じか、という感想。
 一番驚いたのは、株主の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有している全株を売出しで売却してしまうところ。

 流動比率100%となり下手をすれば株価が日常的にトンデモナク上下する可能性があるので、JR九州の経営陣としては、株主には長期に株を保有して欲しい、との思いが他の銘柄以上に強い願いとなります。

 そう考えると、公開価格を抑えておく、という方法は、IPO時に株主になった株主には上場後も株を持ち続けてもらう、ことに繋がります。1単元100株なので、1株245,000円でJR九州の株は購入可能。配当も株主優待も出すので(後述します)、そのまましばらく株を持っておいてください、そんな願いを感じました。

 九州地区の方は地元愛が非常に強いので、確かにこの戦略は”あり”だよなぁ、と思います。個人株主が長く株を保有する、と言えば東京ディズニーのオリエンタルランドが代表例ですが、JR九州もその仲間入りを果たすことになるのでしょうか?

 ちなみに1単元で考えるとJR東日本900,000円、JR東海1,700,000円、JR西日本600,000円、といった額の投資資金が必要になります。JR九州の場合は245,000円となるので、個人投資家がとっつきやすい株価水準にもなっています。

JR九州の配当及び株主優待

 IPOを契機にJR九州は配当を開始して、株主優待制度も創設します。

 まずは配当金を見てみます。

・1株当たり配当金37.50円
→株価2,450円の場合、配当利回り1.53%
→株価2,600円の場合、配当利回り1.44%

 配当利回り1.44~1.53%、悪くない水準です。

 そして株主優待制度は2本立てです。(3月末時点の株主に配布)
①5割引の鉄道株主優待券(100株毎に1枚)
→運賃(乗車券)、料金(特急券、グリーン券、指定席券)のいずれかまたは双方の割引に利用可能
→片道行程の範囲であれば、1枚で複数列車の料金を割引(要は乗車券の往復利用は不可能と言うこと)

②JR九州グループ株主優待券(100株以上所有で一律5枚)
・高速船ビートル(福岡-釜山) 特別割引運賃 往復10,000円
・うちのたまごEGG&SWEETS 会計100円引き
・八百屋の九ちゃん 会計100円引き
・ステーションホテル小倉 宿泊基本料金5割引
・ホテルオークラJRハウステンボス 宿泊基本料金5割引
・JR九州ホテル 宿泊基本料金3割引(休前日は2割引)
・豊後・大山ひびきの郷 宿泊基本料金3割引(休前日は2割引)

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JR九州のサイトより

 以前、JR3社の優待制度を調べていますが、JR九州の株主優待割引はJR西日本と同じ50%引きと、JRグループで最高水準となっています。

 そして特筆すべきはJR九州グループ株主優待券。九州出張が多い方は非常に重宝しそうですね。株主優待面からも、JR九州の個人株主重視の姿勢が見えてきます。

JR九州の上場主幹事及び幹事団

 JR九州は上場に際し、下記4社の証券会社が主幹事を務めます(国内分)。

・野村証券
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券
・JPモルガン証券
SMBC日興証券

 主幹事団はネット利用の個人投資家には敷居の高い証券会社が並んでいますが、SMBC日興証券はネットからのIPO株申し込みも可能です。

 主幹事以外では非常に多くの証券会社が幹事団(委託販売含む)に名前を連ねています。ネット証券では、カブドットコム証券、SBI証券マネックス証券GMOクリック証券岡三オンライン証券SBI証券楽天証券が幹事団に参加しています。

 JR九州のIPO株、多くの証券会社で取り扱いがあるので、どうしても欲しい方は多くの証券会社に口座開設をして申し込む、と当たる可能性が上がります。IPO投資の鉄則は、多くの証券会社の口座を持つことにあります。

まとめ

 昨年から2016年のIPOの目玉はLINEとJR九州と言われてきましたが、LINEは上場して、遂にJR九州も上場目前となりました。

 鉄道会社でありながら、鉄道事業は赤字水準で一番儲かっているのは駅ビル事業というユニークなJR九州、その辺りを投資家はどう判断するのでしょうか?

 またJR九州は、現在の株主の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有株式を全株売出に拠出して、流動比率100%になってしまうというチャレンジングなIPOの内容ともなっています。

 株価的には、上場済みのJR3社と比べて穏当な値付けになっていると考えられるJR九州。果たしてどんな株価で上場初日を迎えることになるのか?JR九州のIPO初値、そして流動比率100%となる上場後の株価推移にも注目です。

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