中村超硬が6月24日にIPO、滑り込みのIPO?

 中村超硬が6月24日に東証マザーズ市場に上場(IPO)、期越上場で滑り込みのIPOかも?2016/3期は利益ほぼ横ばいの計画。

 グノシーの分析から約2ヶ月、お久し振りの新規IPO分析シリーズです。上場株は話題の銘柄中心の分析になりつつありますが、新規IPOは完全に管理人の興味のある会社かどうかでやってます。(2015年6月16日更新)

 最近興味ある会社のIPOがありませんでしたが、6月24日に東証マザーズ上場予定の中村超硬、なかなか面白そうなので、目論見書を見て分析してみました。
中村超硬の目論見書

 結論としては、

経常利益10億円前後出す立派な会社だが、決算を見る限りギリギリIPOに滑り込んだ状況ではないか?

 というところ。2015/3期→2016/3期が売上・利益ともにほぼ横ばい。一昔前だと、もう少し様子見ましょうか、と言われかねない水準です。そこを赤字決算→黒字決算というV字回復時の期越上場でカバーしている状態でしょうか。

 以下、目論見書を見て気付いた点をピックアップしてみました。(2015年6月25日更新)

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中村超硬の事業内容

 中村超硬という会社、大阪の堺市にあって、事業内容としては、主に太陽電池パネルの製造の一工程を行っている会社。

 太陽電池パネルというと、一時のブームは去った感があります。それでも市場自体は拡大しています。確かに家庭用は派手さは無くなりましたが、日本では着実に需要はありますし、メガソーラーも問題はありながらも、各地で設置が進んではいますね。

中村超硬の業績

2015/3期 売上高5,123百万円-経常利益926百万円-当期純利益1,077百万円
2014/3期 売上高3,617百万円-経常利益▲415百万円-当期純利益▲423百万円
2013/3期 売上高4,453百万円-経常利益▲435百万円-当期純利益▲492百万円

 2013/3期、2014/3期と2期連続赤字ですが、2015年3月期は大幅な黒字を達成。いやはやV字回復とはまさにこのこと。まさに業績をV字回復させてのIPOという状況です。

 

中村超硬は期越上場

 6月24日に上場予定の中村超硬、上場申請決算は2014/3期を利用しています。だから3月決算なのに、6月の上場という中途半端な時期。
 というのも2014/3期は赤字決算。さすがに赤字決算で上場というのは、ネット企業でもない同社、仮にできたとしても株価の点からも微妙。そんな訳で2015/3期の黒字決算を揃えて上場、ということになっています。

 期越上場、たまにありますね。主幹事証券(中村超硬は野村証券)と発行会社との時間との戦いですが、期越上場自体は、良くも無く悪くもありません。そーいう決算のタイミングで上場した、というそれだけです。

中村超硬のIPO株価→一応割安な水準

 中村超硬のIPO時の想定株価、目論見書では1,640円と記載されています。

 この1,640円、2015/3期決算で計算すれば、PER14.7倍。

 最近の東証1部上場銘柄の平均PERは約17倍なので(日経新聞の株式欄に毎日出てます)、それと比べれば若干割安の株価と言えます。

※PER14.7倍の計算式
・上場前の発行済株式数3,893,000株+公募株数600,000株=4,493,000株
・2015/3期の当期純利益は500百万円とした(過去の赤字で無税ですが、実質ベースで算出)
・当期純利益500百万円÷4,493,000株=EPS(1株当たり当期純利益)111.3円
・1,640円÷EPS111.3円=14.73≒14.7倍

 しかし、これで割安ですなぁ、とは言えません。株価は基本的に翌期の予想決算数値で算定するもの!(特にIPO銘柄)

 だから確かに2015/3期で見ればPER14.7倍は割安ですが、本来的には2016/3期の計画数字を見ないと、株価が高いの安いのは言えません。

中村超硬の2016/3期予想数字を見ると、滑り込みのIPO

 中村超硬の2016/3期予想数字が開示されました(5/21)。売上高6,674百万円-経常利益1,017百万円-当期純利益943百万円。
 ほぼ2015/3期並の売上と利益。
 
 結構微妙な数字です。

 というのも、2015/3期の決算で上場申請していたら、そもそもIPO出来ていなかった可能性が。ちゃんと2連連続で10億円前後の経常利益を上げているのはご立派ですが、証券市場や証券会社がIPO企業に求めているのは、成長性。

 2015/3期の決算で上場申請して、2016/3期の利益はほぼ横ばいですわ、と言われてしまうと、少し前だと、もう少し様子みましょうか、と主幹事証券会社に言われかねない状況。まぁ、それでも上場まで指導していただける証券会社もありますが、発行会社として価格面でのディスカウントは飲まざるを得ません。

中村超硬は2014/3期の赤字決算→2015/3期にV字回復、という成長ストーリーで上場する訳ですが、開示された2016/3期の数字を見る限りでは成長ストーリー一辺倒では正直厳しい状況。
 この辺りを今後中村超硬がどうやってIRしていくのかは、非常に興味深い所です。

 ちなみに公募価格は1,700円で決定しました。利益水準が2015/3期と2016/3期と同等なので、1,700円という公募価格は一応割安とは言えます。ただしIPO株は成長性に賭けるという面があり、少なくとも2015/3期→2016/3期は横ばいという計画の中村超硬、IPO銘柄の特徴である成長性を欠くという中で割安だから・・・、と言って手を出すと痛い目にあう可能性もあるので、ご注意ください。

 では次に、中村超硬の今後を見る上でのポイントを3つほど上げておきます。

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太陽電池パネル市場をどう見るか

 中村超硬の事業は、太陽電池市場が今後どうなっていくかに大きく左右されます。
 管理人は太陽電池市場のことよく分かりませんので、コメントできません。地味に広がっているとも思いますし、シャープが太陽電池事業でもやられているように、一筋縄ではいかない事業のような気もします。

特定の取引先依存及び取引先が安定しないリスク

 中村超硬は、2015/3期Longiという中国の会社に、売上の半分以上(2,742百万円)を依存しています。大企業の下請けで上場している会社もたくさんあるので、それが悪いとは全く思いません。

 ただし取引が拡大したの2015/3期から(2014/3期は737百万円)。

 過去の相手別売上を見ると、日本国内企業との取引が年々減少している中で、海外との取引に活路を見出し上場まで至っています。2013/3期は三洋電機との取引が最多(1,310百万円)でしたが、パナソニックに変わると、2014/3期は416百万円、そして2015/3期には遂に取引先にパナソニックの名前が消えています(目論見書上)。

 日本向けの売上が、2013/3期3,041百万円→2014/3期2,501百万円→2015/3期1,791百万円と大幅な減少の中、ここに至るまで大変な苦労があったんだろうと想像できます。

 ただし冷静な目で目論見書を見ると、正直取引先が安定しないなぁ、と思わざるを得ません。

中村超硬の筆頭株主の産業革新機構は全株売出で放出

 中村超硬、上場前の筆頭株主は政府系ファンドの産業革新機構。830,000株24.41%を保有しています。

 しかしながら産業革新機構は保有株を売出で全株放出。

 産業革新機構、こんな会社にも出資していたんだ、と少々意外な感もあります。

 で、個人的に思い出してしまうのはジャパンディスプレイ(JDI)。あちらさんは産業革新機構、上場後もまだ株を持っていますが、JDIが上場後に下方修正を繰り返し・・・、というのがどーしても個人的には印象に残っています。

JDIの株価にご興味あればこちらをどうぞ:ジャパンディスプレイ株価の今後の見通し(2015年4月9日版)

 産業革新機構が株主だから・・・、というのは客観的な事実では特に良いも悪いもないのですが、産業革新機構が株主だから中村超硬という会社はよさそうだ、と思われる方がおられたら、産業革新機構は売出で全株放出して、上場後は関係なくなりますのでご注意を、とだけと申し上げておきます。

 ちなみにJAFCOを始めとするVCは、売出で全株放出とまではいかないようです。グノシーの時はJAFCOはロックアップ契約せずでしたが、今回はJAFCOも素直にロックアップを飲んでいるようです。

 そして売出をよく見ると、大阪投資育成が30,000株で全株売出です。大阪投資育成、中小企業の安定株主になるのが使命だった気もしますが、何か事情があるのでしょうか?

堺市が出資するファンドの投資先上場

 実は堺市はベンチャーファンドを組成しています。その投資先の1社が中村超硬。地方自治体がベンチャーファンドを組成するの一時ブームになりましたが、さすがに市というレベルではあまり聞いたことがありません。

 中村超硬は堺市のファンド、さかいベンチャー育成投資事業有限責任組合(フューチャーベンチャーキャピタル:FVCが運営を受託)の投資先の上場会社、ということで、堺市関係者は大変喜んでいるのでは?ちなみに堺市のファンドは50,000株中、33,000株を売出です。

まとめ

 中村超硬は10億円前後の利益をちゃんと出している立派な会社のIPOで応援したい所ですが、2015/3期→2016/3期の売上・利益がほぼ横ばいというのは、IPOに滑り込みセーフという感がしなくもありません。2014/3期の赤字からV字回復で、黒字化・経常利益10億円という実績は立派ですが、IPOって再生ファンドとは違うので、そこから先の成長はどうなのよ、というのが一番気になる所。

 中村超硬の事業、太陽光に希望がなくはないですが、ネット系の会社のように爆発的な成長を夢を見て・・・、という感じでもないです、実業なので。

 公募価格は1,700円とブックアンドビルディングの上限の価格で決まり、関係者一同ホッしている所かと。果たして上場後、中村超硬はどんな評価をされるのでしょうか?2017/3期の数字がどうなるかで、上場後の株価は大きく変わるのではないか、と考えますが、さてどうなりますか。

6/25追記:中村超硬の初値は1,901円

 6月24日(木)に東証マザーズ市場に上場を果たした、中村超硬の初値は1,901円。公募価格1,700円より約12%高く値がつきました。日経平均も堅調な中、IPO市場も引き続き堅調のようです。

 同社は数字的にはギリギリIPOに滑り込み、との感がありましたが、上場初日はまずまずの滑り出し。今後、2016/3期計画の着実な進展で株価も上昇するとよいですね。

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