イギリスがEU離脱を決定したら為替はどう動く?ポンドと円が節目に位置

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 イギリスのEU離脱(ブリグジット)を問う国民投票が6月23日に実施。いよいよその運命の時が迫りつつあり、世界の金融市場もイギリスの世論調査に右往左往しています。

 イギリスがEU離脱を決定したらどうなるの?特に直接的に影響があるのは為替ですが、現在の値位置を見るとイギリスが採用しているポンドドル(GBPUSD)が選挙結果を待ってます、とばかりに既に節目でスタンバイ。そしてポンドにお付き合いする形で、我らがドル円(USDJPY)も価格の節目に到達。

 EU離脱を決定するにせよ、残留を決定するにせよ、一波乱ありそうなポンド市場。チャートの頭の体操かねて、選挙後の為替=ポンドドル、ドル円の値動きを考えてみました。

 ポンドドルは国民投票の結果を受けて、これまで長年に渡り維持してきた底が割れてしまうのでしょうか?そしてドル円も久方ぶりに目指せ1ドル100円、となってしまうのか?

 イギリスの国民投票後の為替の動きにご注目。

ブリグジット問題で世界の金融市場が右往左往

 いよいよ来週6月23日に迫ったイギリスでのEU離脱の賛否を問う国民投票。国を挙げて、意見が真っ二つに分かれています。世論調査は若干EU離脱賛成が優勢ですが、国民投票の結果は蓋を開けてみないと分からない状態。

関連記事:イギリスのEU離脱の国民投票は2016年6月23日、世論調査は離脱賛成が多数

 金融市場シティを抱えるイギリス、そのブリグジット騒ぎのおかげで世界の金融市場も右往左往しており、その影響下6月13日は日経平均が582円も下がっています。

 6月23日の国民投票が終わって、選挙結果が発表されるまで、イギリスの動向にお付き合いせざるをえなそうな金融市場ですが、当事者のイギリスの通貨ポンド(ポンドドル)のチャートを見ると、面白いことに、既に国民投票がどちらに転んでもいいような節目でスタンバイ完了状態。

 面白いチャートの形だったので、今回は特別篇、いつもは株でやっているチャート分析、為替=GBPUSDでやってみます。

ポンドドル(GBPUSD)の月足が節目に位置

 まず大前提として既にFX会社各社から口座持っている方には連絡が入っていると思いますが、国民投票後ポンドは大きく動くと予想されています。確かに先にポジションを持っておいて、方向が当たれば大儲けできますが、外すと損切注文が通らずトンデモナイ損を食らう可能性がありますので、本分析はあくまでも(いつもそうですが)頭の体操です。
 
 では最初にというより、もうスタンバイOKというチャートはGBPUSDの月足チャート。
16.6.14GBPUSD週足1
※チャートはTrading Viewを利用

 現在のGBPUSDは、2001年と2009年につけた最安値水準に位置。

 現在のポンドの位置を解釈するには、もうこのチャートだけで十分。

 イギリスがEU離脱を決定する→経済的には打撃を受ける→ポンドが売られる→2001年・2009年の最安値を割れて奈落の底へ・・・。

 こんな想像が容易にできます。

 世の中うまくできているなぁ、と思いませんか?これがチャートの面白い所ですね。
 
 そして2009年に1.3570付近で最安値を付けたGBPUSDですが、過去のチャートを調べてみると、少なくとも1995年以降で2009年に着けた安値が最安値。

16.6.14GBPUSD週足mt4-min
※チャートはMT4より

 結果は神のみぞ知る世界ですが、GBPUSDが2009年の最安値を割れてしまうと、為替市場にとっては一大転機となるのは間違いなさそうです。

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ポンドが売られた場合、買われる通貨はドルと円?

 仮にイギリスがEU離脱を決定して、ポンドが大幅下落=売られた場合、どこかの通貨が買われることになります。為替市場は株と違って、綱引きの世界なので、全通貨暴落ということは発生せず、何かが売られれば何かが買われます。じゃあポンドが売られた場合、買われる通貨は?

 世界の主要通貨と言われるのは、米ドルを中心にユーロ、ポンド、円、スイスフラン、オージードル、と言った所。
 仮にイギリスがEU離脱を決定して、猛烈にポンドが売られた場合、どこかの通貨が買われます。消去法で行けば、イギリスが去ってしまうユーロを買おうとする投資家は少ないと考えられます。そんな訳でユーロもどちらかと言えば弱い。

 そしてスイスフランも同じくヨーロッパに所属ということで、いつもは有事のフラン買いとも言われ、何かあった時にはユーロと異なる動きをする傾向のあるスイスフランですが、今回はユーロにお付き合いする可能性が。

 オージードルは確かに元イギリスの植民地ではありますが、ヨーロッパから遠く離れており、既にイギリスやヨーロッパより中国・日本といったアジア諸国との貿易が経済を支えているのため、イギリスのEU離脱の影響は少なそう。それに、通貨という観点からはオージードルは資源国通貨に位置付けられているので、ポンドがどう動くかというより、資源価格との連動が優先。

 そう考えると、残るのは米ドルと円。

 イギリスは歴史的にもアメリカと関係が深く、アメリカの同盟国。それに何より、米ドルは世界の基軸通貨。ポンドがダメ、となればとりあえずドルを買っておけ、という判断になります。

 そして日本円。世界経済に何かあるとスイスフランと日本円が安全資産と言うことで買われる傾向にありますが、今回の場合はスイスフランがポンドにお付き合い、となりそうなので、世界経済に何かあった際、いつもであればスイスフランと一緒に買われる円ですが、今回は円が単独で買われる可能性が。

 と、こんな風に考えていくと(株とは全く違うストーリー展開の方法ですが、ココが為替の一番面白い所です)、イギリスのEU離脱、日本からは遠く離れた国の出来事ですが、日本にとっても実は他人事ではありません。
 
 イギリスのEU離脱が決定してポンドが売られた場合、ポンド・ユーロ・スイスフランといった欧州系通貨に対してに対して、円高が進む可能性があります。

 日本で一般的に言われる円高=ドルに対して円高、なので、今回1ドル100円割れ、的な事態が生じるかどうかは、円とドルの力関係の問題なので今回コレはどうなるか分かりません。悪しからず。(考え方とすれば、ポンドが売られて日本円と米ドル、どちらがより買われるかで、ドル円の方向が決まります。日本円が米ドルより多く買われれば、一般的に言われる円高となります)

6/15追記:実はドル円(USDJPY)も節目に到達

 当初はポンドドルの分析だけで記事を投稿しましたが、本記事をご覧になっている方は、イギリスのEU離脱後のドル円の動きを気にしている方が多いようなので、ドル円も分析してみます。

 で、改めてドル円の週足チャートを見て驚いたのですが、ポンドドルの相手をするように、ドル円も節目に到達しています。

16.6.15USDJPY週足1
※チャートはTrading View(画像は分足となってますがドル円週足です)

 ドル円の週足チャートを見ると、気が付けばドル円も過去何度もサポート&レジスタンスを形成した105~106円付近まで下落しています。

 そして当サイトお決まりの「フィボナッチ・リトレースメント」を引いてみると、現在の値位置はリトレースメント38.2%付近に位置しています。所謂3割戻った所なので、ここから先、ドル円は上にも下にもどちらにも動くことができる位置となります。

 株価や為替が節目に位置しているとき、何らかのイベントをもとに大きく動くことが多いのですが(特に為替は)、まさにドル円もイギリスの国民投票の結果待ち、というチャートの状態。

 下に行けばリトレースメント50%付近で1ドル100円が待っています。

 改めてドル円のチャートを見てみると、イギリスのEU離脱を問う国民投票、実は日本人にとっても他人事ではなくなってきています。イギリスの国民投票の結果がどうであれ、円高(ドル円が下がる)となると、日本でも大きなニュースとして取り上げられそうです。

6/17追記:日銀政策決定会合(6/16)の後のドル円と株の動き

 イギリスの国民投票までドル円はそんなに動きがないだろう、と構えていましたが、6月16日の日銀政策決定会合を契機に日本株と為替(ドル円)が急落。やはり相場は分からないな・・・、と思いつつも、どちらかと言えば為替が主戦場の管理人、イギリスの国民投票を前にした、ドル円及び日本株(日経225)の方向性等改めて考えてみました。

 まずはドル円の月足。

16.6.17ドル円-月足
 
 6月16日の急落で見事に105~106円の節目を下にブチ抜きましたが、フィボナッチ・リトレースメントで見れば88.6%に到達。更にハーモニックパターンのBatパターンを形成しています。よって上に反転する可能性が漸く出てきた状況。
 しかし急落の勢いが勢いですし、100円付近が底で、100円というキリのよい数字も待っているので、簡単にコレで反転、と言える状況ではありません。

 ちなみに仮に100円を割れが確定してしまったら・・・、その時は相場構成が完全に変わったということで、別途分析するしかありません。尚、下記ではドル円の長期視点での分析を行っています。

 次に日経225(CFD)の週足。

16.6.17日経225週足

 こちらはドル円程は落ちていません。ドル円が2月の最安値をサクッと下に抜けてますが、日経225は2月の安値は下回っていません。
 そして日経225もハーモニックパターンを形成中。こちらはフィボナッチ・リトレースメント76.4%で頑張っているのでガートレー・パターン。

 リトレースメント88.6%まで落ちるのでは?、と考えるのであれば、もう一段の下落に備えるべき。76.4%で反転と考えれば、ヤレヤレと言った所。
 
 日経225とドル円の動きは相関している部分が大きいので、日経225が更に下げる可能性大、と考えればドル円はもう一段の下げの可能性がある(目指せ100円!)、となります。日経225の反転確定、と考えれば、ドル円も6月16日の下げが最終局面、と言えます。
 ただし、今の日経225のチャートで”反転確定”というのはあまりにもリスクが高すぎます。よくてレンジ状態です。

 最後にアメリカ株(US30週足)も見てみます。

16.6.17US30週足

 なんと驚くことなかれ、アメリカ株はここ最近の金融市場の変動にビクともしていません。アメリカは何だかんだ言って景気がいい、という証拠のような気がします。

 チャートにはフィボナッチ・イクステンションを引いています。1.282%を超えて1.618%を目指している所、と言えなくはありません。

 日本株が大きく影響を受ける米国株。残念ながら日本株は米国株から離れて下落していますが、それでも一つ言えることは、アメリカ株というご本尊が落ちていないので日本株が大暴落という可能性は低そう、と言うこと。
 
 そしてこれらをまとめると、現段階では下記のように解釈できるのではないかと。

①ドル円は100円まで下落する可能性は残っている
②日経225もまだ下落の余地あり
③ただしドル円、日経平均ともに既に下落終了の可能性も
④仮に更にドル円、日経225が下落した場合でも、米国株が落ちていないため大暴落の可能性は低そう

 問題はイギリスの国民投票の結果を受けて、相場環境が一変してしまう可能性があること。
 それでも”米国株が大暴落”といった事態にならなければ、日本株・ドル円ともに、ローソク足のヒゲをつけての大変動はあったとしても、大暴落が何日も続くという事態は避けられるのではないかな、と考えますが、さてどんなもんでしょうか。

 ね、こんな風に為替や株の動きを考えると面白くないですか?フィボナッチで相場の補助線引きながら、為替と株のストーリーを考えながらトレードしていくのが、管理人のFXトレードの方法です。ただし、イギリスの国民投票のある6月23日前後はノー・ポジションで臨んで、踊る阿呆にならず見る阿呆になってます(笑)。

為替トレード(FX)なら「SBI FXトレード」から始めるがオススメ

 イギリスの国民投票前後に為替(FX)のトレードするのは全くオススメしませんが、イギリスの国民投票を契機にFXトレードに興味を持たれた方もおられるのでは?

 24時間取引できるFX、トレード対象として非常に面白い商品ですが、当然リスクも伴います。もしFXを始めるのであれば、少額で取引がスタートできる「SBI FXトレード」がオススメです。

 他のFX会社は10,000通貨、ドル円で1銭動くと100円の損益が発生するという単位が標準ですが、「SBI FXトレード」は1通貨から取引が可能です。よって少額からのFXトレードが可能。少額からFX取引が可能、ということで外貨預金的に利用することもできます。

 為替の取引に興味を持ったのであれば、少額取引からスタートできるSBIのFX口座をオススメします。尚、今なら「SBI FXトレード」の口座開設でもれなく500円がもらえますよ。

SBI FXトレードの詳細を見てみる

関連記事:外貨預金、手数料からはレバレッジ付き定期外貨取引という選択肢も

まとめ

 イギリスのEU離脱問題で金融市場が右往左往しているので、今回はいつもと趣向を変えて為替チャートの分析を行ってみました。

 チャート分析って、株も為替も先物もチャート自体は一緒なのですが、その背景にある現象が各商品によって違ってくるので、同じチャートでも見方にはその商品毎にアレンジが必要です。
 株の場合、日経225採用銘柄であればユニクロ等の値動きに影響される、という特徴がありますし、為替の場合は全通貨暴落はありえず、何かが上がれば何かが下がる、という特徴があります。

 とは言え、サポート&レジスタンス(サポレジ)はどんな金融商品であれ、チャートを見ている人は見ている気にして見ている部分。そんなサポレジという観点で、GBPUSDは国民投票を前に見事に相場の節目にスタンバイしているなぁ、と思います。

 繰り返しになりますが、6月23日以降特にポンドは大荒れになる可能性が高いので、FXトレードで下手に手を出すのは危険なので、ご注意を。

 さてポンドドル(GBPUSD)は6月23日以降どんな値動きを見せるのでしょうか?2009年の最安値をアッサリ割れてしまうのか、それともEU残留が決まり、これまでのエネルギーを一気に上昇気流として放出するのか?

 そしてイギリスの国民投票を待たずに一足先に下落が始まったドル円。こちらは目指せ1ドル100円モードに突入してしまうのか?

 イギリスのEU離脱を問う国民投票、その結果のみならず、結果を受けてのポンドドル及びドル円の値動きにも注目です。

PS 何と国民投票の結果イギリスはEUを離脱をすることに、ポンド円はアッと言う間に20円以上動くという大変なことに

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