アリババとテンセントの前払い金が人民銀行へ預け入れ義務化、変わる中国政府のスタンス

アリババとテンセントが顧客から預かっている前払い金について、人民銀行へ預け入れが義務化されるようです。両社にとって1000億円を超える金利収入がなくなってしまいます。また本措置により中国政府はスマホ決済会社の首根っこを押さえることにもなります。

景気後退の話も聞かれるようになった中国。これまで各方面で余裕を見せていたスタンスが、徐々にスタンスに変化が生じているのではないでしょうか。

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アリババとテンセントが保有の前払い金が人民銀行に預け入れが義務化に

メルカリにも似たようなところがあるのですが、決済サービスを提供の会社って、ユーザーからお金を預かって、支払先にお金払うまでにタイムラグが生じるので、その間は結構な額のお金が会社に積みあがることになります。

メルカリで言えば、ユーザーが中古品売ったはいいけれど売却代金引き出すの手数料がもったいないからそのままにしておこう、となった時、メルカリには顧客のお金が積みあがることになります。

会社に現金は積みあがりますが、とは言っても顧客のお金なので会社側には分別管理の徹底が求められます。そこから先が面白い所なのですが、日本のように金利がない国だと単なる分別管理に終わってしまうのですが、金利がある国であれば分別管理したお金を銀行に預けておくと金利が付きます。この金利がバカにならなくて、お客さんのお金を金利ゼロで預かって、銀行に預けるだけで銀行から金利収入を得ることができます。企業にとってはほぼノーリスク(銀行が破綻したらダメですが・・・)で収益を上げられる訳で、これほどボロい商売はありません。そんな事を知っていると、日経新聞の下記の記事、非常に興味深く読めます。

アリババやテンセントは、前払い金を預かっても利用者への利息はゼロである一方、滞留資金を銀行に預けるなどして金利収入を得ているためだ。アリババなどが受け取っている金利は市場推定で1%台半ばとされる。滞留資金は現時点で5000億元(約8兆3000億円強)規模にのぼり、年換算で1000億円超の金利収入を得ている計算だ。(2018/7/4日本経済新聞)

中国のスマホ決済市場はアリババとテンセントが市場を二分していますが、両社いずれも顧客からの預り金を銀行に預けてサヤを抜いていた、と言う訳です。中国で金利1%台半ば、というのは若干低いような気もしますが、それはさておきほぼノーリスクで1000億円を超える金利収入を得ていた訳です。

そしてこのサヤ抜きが今後できなくなる様子。

~スマホ決済を手掛ける事業者に対し、利用者が前払いしたお金の全てを、中国人民銀行(中央銀行)に預けるよう義務化する。~人民銀が通知を出し、2019年1月までに前払い金の100%に相当する額を指定口座で保全するよう求めた。供託に近い形で、現在の保全比率は約50%だが、18年7月から半年をかけて段階的にどう比率を高めていく。(2018/7/4日本経済新聞)

現状で既に50%の供託率を来年1月までに100%にする様子。これでアリババとテンセントの利益1000億円規模の無リスクビジネスが1つなくなってしまいます。ただしコレは本業から見れば本来オマケの部分であり、しっかりと本業で稼げば問題はありません。

習近平(シー・ビンピン)指導部が勧める過剰債務の圧縮(デレバレッジ)との関係を指摘する声もある。スマホ決済の滞留資金が銀行にとって新たな資金調達手段にもなっているためだ。人民銀行が関与を鮮明にし、野放図な融資を牽制する狙いがある。(2018/7/4日本経済新聞)

どうやら中国にも景気減速の影が迫っているようであり、その前に金融面で手を打ち始めている、その一環の様子。ただし冷静に考えれば、全てを中国共産党が決める国で、顧客から預かった現金を預金して、ほぼ無リスクで年間1000億円を超える金利収入を得ていれば、そりゃ見る人が見れば、なんじゃこりゃ、となります。

中国経済に余裕がある時であれば、放置プレーでもよかったのでしょうけど、既に景気後退の可能性が出ている足元では、そんなムダ金やらんでもよし、となったのは通常の流れではないかと、なにせ会社が自らのビジネスで稼いだ金ではないですし。

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資金を集める姿勢が鮮明な中国政府

中国と言うとアフリカや東南アジアでバンバン経済援助して、お金を海外に出しまくっているイメージがありますが、ここ2~3年は余分なお金は海外に持ち出さない、というスタンスが徹底しています。

個人の旅行者が日本に旅行してお金持ちだす程度であれば何ら問題ありませんが、富裕層が多額の資金持ち出すのはご法度。ついでに言えば海外送金の手段として使える、仮想通貨取引は全面禁止となっています。

そんな状況を背景に、今回のアリババやテンセントに対する人民銀行に対する資金の預け入れ義務化を見ると、やはり中国は資金集めに舵を切っているなぁ、と思います。両社に銀行が支払っている金利は正直な所、外に出さなくてもよいお金な訳で、実際に人民銀行に供託すればそれができてしまった訳です。

今回の措置が直ちに両社の経営に大きな影響を与えることにはならないでしょうが、米中貿易摩擦が勃発もしており、中国政府としては資金を外に流出させない、というスタンスが改めてハッキリしたのではないかと。

スマホ決済会社の首根っこを摑まえた中国政府

資金の流出云々という政府の難しい方針はさておき、1つ明確なのは、今回の措置で中国政府はアリババとテンセンの首根っこを押さえることになった、ということ。

顧客のお金とは言っても約8兆円にものぼる大金、このお金はいずれ支払先に支払うお金です。ただし現金は中国人民銀行に預けてある状態。で何でも共産党が決める中国の場合、スマホ決済会社が人民銀行に預けてあるお金を差し押さえなんて、朝飯前です。中国人は銀行を全く信用していない、と言われますが、それは簡単に差し押さえられてしまうから。

今回の措置で中国政府は、スマホ決済会社の首根っこを押さえることになったと言えるのではないかと。預け入れた資金、差し押さえられたら流石にアリババやテンセントといっても、資金的にやっていけるとは思えませんので。まぁ、中国らしいなぁ、とは思いますが。

まとめ

中国を巡る報道を見ていると、景気後退や余裕がなくなってきているなぁ、というニュースが多くなっています。今回のスマホ決済会社に対する報道も、その1つ。チャイナショックその2が来るかどうかは分かりませんが、ともあれ中国の経済的な余裕がなくなりつつあるように感じます。

即座に中国経済がどうにかなってしまう、と言うことにはなりませんが、流石に楽観視は厳しいのではないかな。米中貿易摩擦問題浮上を契機に上海株も下落してますし、人民元も下落しています。

今やスマホ先進国となり、シェアリングエコノミーの最前線を行く中国ですが、経済的には今後どんなことになっていくのか、継続的に注目したいと思います。

・読み始めているのが下記書籍。老人化する中華帝国って歴史上初ではないかと。日本の高齢化も深刻ですが、中国の高齢化問題はそれ以上かもしれない、と感じる1冊。今や進んでいる国=中国、というイメージもありますが、中国に対するイメージが変わるかもしれません。

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