「勝つための確率思考」、投資のタイミングの気付きを得られる良書

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 株やFXのトレードで勝ちたい、投資を手がけている人であれば誰しも思うものです。そもそも負けようと思って投資に手を出す人はいませんので。
 いっちょ投資の勉強をするか、と思って本屋の投資本コーナーに足を運んでいる方も多いのでは?管理人もその一人です。

 直接的な株やFX等のトレードの本ではありませんが「東大卒ポーカー王者が教える 勝つための確率思考」という本、下手な投資本より得るものが多い本ですよ。読みやすいですし、既に株やFXの投資を手がけてそれなりに経験ある方には特におすすめです。投資のタイミング=勝てると思う局面で勝負に出る大切さ、案外忘れがちな気付きを得られる良書です。

ポーカーはギャンブルではなく、ビジネスである

 本を開くといきなり目に飛び込んでくるのが「ポーカーはギャンブルではなく、ビジネスである」という文字。

 確かにギャンブルも確率の世界ですね。そもそも学問としての確率って、どうやったらギャンブルで勝てるようになるか、という所からスタートしてますし。

 「東大卒ポーカー王者が教える 勝つための確率思考」は、東大卒でプロのポーカープレイヤーとなった木原直哉氏が書いた本。ポーカーのやり方が書いてある訳でも、自らの自伝でもなく、こんな風に考えながらポーカーやってます、という木原氏の頭の中を解説した本です。

 ポーカーはギャンブルじゃないですよ、期待値考えながらポーカーしています、ということが書かれています。

そもそも期待値とは

 そもそも期待値というのは何か?

確率論において、期待値(きたいち、英: expected value)とは、確率変数の実現値を, 確率の重みで平均した値である。
例えば、ギャンブルでは、掛け金に対して戻ってくる「見込み」の金額をあらわしたものである。ただし、期待値ぴったりに掛け金が戻ることを意味するのではなく、各試行で期待値に等しい掛け金が戻るわけではない。(wikipedia

 うーむよく分からない???例えばギャンブルで100円賭けて、期待値を計算したら110円だったとすれば、買ったり負けたりを繰り返せば、理論上は最終的に100円が110円になって返ってくる、ということです。100回賭けを繰り返せば期待値に近い結果になるハズであり、1回100円賭ければ最終的に11,000円が手元に残る計算です。よって100円の賭けで110円の期待値のギャンブルであれば、迷う余地なくGoです。まぁ、そんなギャンブルありませんが。

 1回の賭け金に対して確率的にどれだけ返ってくるのか、と言うのがザックリとした期待値の考え方です。

 だから賭け金に対してマイナスの期待値の勝負は避けた方がベター。賭け(ベット)の回数増えるにつれて、結果は期待値に収斂するので、経済合理性を考えれば避けるに越したことはありません。

投資やトレードで期待値考えてますか?

 個人投資家やトレーダーが投資やトレードの際に期待値を考えているかといえば、そこまで考えている方は少数派では?ワシはバフェット流の投資だから一回買った株は売らんのじゃ、という方には本書は必要ありませんが・・・。

 例えば1,000円の株を買ったら、いくらの値上がりを期待しますか?1,500円?2,000円?3,000円?
 そして2,000円の値上がりを期待した場合、株価がいくらまで下がったら損切しますか?200円?500円?800円?

 投資の教科書的に言えば、損1に対して利益2以上の割合で損切と利益を考えましょー、ということになります。よって1,000円の株が2,000円に値上がりを期待するのであれば、損切は500円以上という答えになります。

 と、ここで投資的観点で見た期待値について書いてみましたが、「勝つための確率思考」はこの期待値に基づいたポーカーの考え方、そして人生の考え方が淡々と書かれています。

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勝てる局面で勝負する大切さに気付かされます

 本書の何がよいかと言えば、勝てる局面で勝負する大切さに気付かされる点。勝負であったり相場であったりは、やってみなけりゃ分からない部分もありますが、こと株の投資はある意味でやらなくてもいい世界。やるのであれば、勝てる見込みのあるタイミングでやるべきです。勝てる見込みがあっても負ける可能性は充分ある訳なので、尚更勝てると思える局面でのみ勝負するのが大切。

 人生は勝ち負け関係なく勝負する時がある、というのは分からないでもありませんが、あくまでも投資やトレードの世界の話です。人生でどっちに転ぶか分からないサイコロ転がす決断は否定しませんよ。

 株を買います、じゃあいくらで利益を確定して・いくらで損切をするかという事前準備や戦略の大切さ、指摘されないと案外気付かないもんです。その指摘をしてもらえるのが本書となります。

ただし投資のテクニックは教えてもらえません

 本書は東大卒のプロのポーカープレイヤーが書いた本です。よって当然、投資やトレードのテクニックの類は一切書かれていません。投資本=トレードのテクニックの本、というイメージがありますが、こういった本でも充分に投資の勉強になりますよ。

 勝てる局面がまだ分からない?えーっと、それは別途勉強してください・・・。

15.12.17勝つための確率思考-min
ポーカーの考え方の本なので投資のテクニックは学べませんが得る所は大きいです

まとめ、投資経験者が飛躍の切っ掛けとなる可能性のある本

 それなりに株やFXの投資の経験を積むと、テクニカル分析や銘柄分析がそれなりにできても、何かが足りない(だから勝てない)、という場面があります。

 本書はそのものズバリの株やFXの本ではありませんが、投資やトレードにおける仕掛けのタイミングの大切さに気付かされる本です。
 今まで投資の経験はあるけれど、手元にお金ができたタイミングで株を買ってました、という方にとっては、自らの投資のやり方の見直しがなされて、できる投資家に飛躍する切っ掛けとなりうる本です。

 人生では自らの命運をサイコロに委ねざるを得ない局面も出てきますが、投資は勝てる局面を選んで勝負できる世界。考えてみれば当たり前ですが、普通に株やFXの取引をしていると意外に気付くことが無い、そんな視点を本書は与えてくれます。

 株やFXのお堅い本と違ってサラッと読むこともできるので、通勤電車の中でも問題なく読むことができるという、比較的読みやすい本でもあります。

 手軽且つ通常の投資本では得られない視点を得られる勉強本として、オススメです。

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