インサイダー取引でTOB(株式公開買い付け)情報を利用してのインサイダー取引が増えている模様。証券取引等監視委員会(SEC)は甘くないです、バレないだろうって、バレますから。触らぬ神に祟りなしです。
概要
インサイダー取引のうちTOB絡みが全体の7割
日本の株式市場はインサイダー天国、みたいな話も随分昔にありましたが、ここ最近はさすがにそんな話は聞かなくなりました。そんな中で最近増えているのがTOB絡みのインサイダー取引のようです。
インサイダー取引のうち、TOB(株式公開買い付け)情報を悪用して不正に株式を売買するケースが増えている。証券取引等監視委員会が2014年度に課徴金を勧告したインサイダー取引のうち、TOBに絡むものは22件で全体の7割を占めた。13年度の5件から4倍に増えた。資金的に余裕のある企業が増え、他の企業の経営権を取得しようとする動きが盛んになっていることが背景にあるとみられる。(日経新聞15/7/7)
企業業績が良くなってM&AやTOBが増えた結果、そういった情報に触れる人数が増えて、インサイダー取引が増えた、という流れです。
TOBの関係先の社員が内部情報に触れて、小遣い稼ぎしてみよう・・・、という感じで罪の意識なくインサイダー取引してしまう方が増えている、ということでは。(悪意があったら完全にアウトですが、罪の意識がなくてもアウトです、悪しからず)
証券取引等監視委員会(SEC)は甘くない
証券業界では泣く子も黙る証券取引等監視委員会(業界ではSEC、セックと言われています)、一般人が考えているほど甘くはありません。
SECは取引所と共同でTOBやM&Aといった情報が出ると、インサイダーと疑わしき取引がないか徹底的に調べているハズ。IT業界はビッグデータが流行りですが、高性能のコンピューター使って 、証券会社の口座情報とその属性情報を突合すれば、インサイダーと疑わしき取引をピックアップするのは訳ありません。
SECの内部事情詳しくない管理人でもこれ位は容易に想像できるので、恐らく現実はもっと先を行っているハズ。
いやぁバレないでしょー、って相手は甘くありません。2歩も3歩も素人の先を行っていると推察されます。
インサイダー取引はバレる!証券会社の社員が捕まらないのは?
正確な記録を見た訳ではないのですが、ここ10年位はインサイダーで捕まった方、生粋の証券会社の社員の方、殆どいないのでは?
インサイダーで話題になったのは銀行員(証券会社に出向中)とか官僚とか、TOBの該当企業の社員とか。
証券会社の社員がインサイダーに手を染めないの、職業モラルもさることながら、バレルに決まっているというのが分かっている、というのが恐らくもう一つの理由ではないかと。
バレないようにうまくやっている?証券会社の社員とはいっても、普通のサラリーマンなので、さすがにそれは考え過ぎでは?
株式市場の最前線の方々が、インサイダーはバレると思っている訳で、それを素人がするとどうなるのか、もう火を見るよりも明らかです。
インサイダー取引の罰則
インサイダー取引の罰則は、金融証券取引法に記載があります。
インサイダー(内部者)取引を行なった者は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰則(又は懲役と罰則の両方)がかけられます(金商法第197条の2の13号)。
インサイダー取引で損した場合でも処罰の対象になります。儲けた、という点より、インサイダー取引したという事実、が重いのです。
また当然のことながら、インサイダー取引によって得た財産は没収されます(198条の2の1項1号)。
世の中ウマイ話は転がっていませんから
世の中うまい話は転がってません。株式市場はうまい話に飛びつくと、大抵火傷します。
タマタマTOBやM&Aの内部情報を聞いたからって、それで株の取引したらインサイダー取引でアウトですから。証券業界では一般常識ですが、案外軽い気持ちで取引してしまう方が多い、ということをTOBでのインサイダー取引増加という事実に浮き出ているような。
株で儲けたい気持ちは分かりますが、インサイダー取引は軽い気持ちであろうと無かろうと違法取引。株の取引の際には十分に気を付けたいものです。