『東芝 原子力敗戦』(大西康之)の感想、民間企業が国策に踊る悲劇と喜劇

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東芝問題の背景を知るのに『東芝 原子力敗戦』はオススメの1冊となります。まだ終わっていない東芝問題、その背景を知ることで、今後の東芝の行方を見る際に、新しい視点を得ることができるのではないでしょうか。

『東芝 原子力敗戦』を図書館で発見

近所の図書館をブラブラしていたら『東芝 原子力敗戦』との本を発見。果たして読んでる時間あるのか?、と思いつつ、移動の時間等の隙間時間なら読めるか、と思い早速借りてみました。

実際、専用に読む時間は取れませんでしたが、仕事で長距離の移動があり、その際に読み上げました。ナカナカ面白かったので、読後感など。

民間企業が国策に踊る悲劇と喜劇

『東芝 原子力敗戦』の読後感を一言で言えば、民間企業が国策に踊る悲劇と喜劇、というのが管理人の感想。

原子力なんて本来国が行う事業であって、民間企業がやって採算取れるのか?、との疑問が以前からありましたが、やはり・・・、というのが分かりました。

本著の中で、原子力事業は軍事開発と一体になって本来初めて採算が取れるもの、との内容の記載がありましたが、なるほどー、と思いました。そりゃ、核武装をそもそも前提としない日本では、原子力事業は採算取れませんね。国全体で考えれば単なる経済面のみの採算ではありませんが、民間が関与するとなれば、それは経済面のみの話となります。東芝が足を踏み込み過ぎた原発事業は、民間が踏み込み過ぎてはいけない原発事業にのめり過ぎた故、と言うことができるのではないかと。

サラリーマン全体主義の怖さ

本著に登場する東芝の主人公達は皆サラリーマンであり、著者も書いていますが、会社のため、と思いやったことが、全て今の東芝に帰結しています。

結局悪人は誰なのよ、との観点では、誰も悪人は存在していません。日本の歴史を振り返ると、本当の意味での悪人ってあんまりいないのですが、特に第二次世界大戦の敗戦に至る際にサラリーマン全体主義とも言える状況下で物事が悪化していきます。東芝の蹉跌は、大日本帝国が泥縄式に第二次世界大戦で敗戦を迎える様に一面では似ているような。

それは違うでしょ、と言える実力者がいれば・・・、との感はありますが、そのような異端児は東芝のような真面目な会社では途中で排斥されてしまうのが常。よってない物ねだりだと思います。

余裕のある組織や会社の場合、変わった奴で将来的に役に立つかも、との観点でイザと言う時に重要なポジションに抜擢されて大活躍する人材をプールしておくケースもありますが、東芝はそのケースには該当しなかったようです。

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テンポよく読める本、筆者は『三洋電機 井植敏の告白』の著者の大西康之氏

約250ページに渡るハードカバーの本でしたが、非常にテンポよく読むことができる本です。原子力事業の専門用語部分は、殆ど読み飛ばしていますが、それでも全然話の流れをつかむのに問題はありませんでした。

筆者の大西康之氏は日経新聞の出身だそうで、ライターの一人としては、テンポよく読ませるなー、と思い、さすが・・・、と思ってしまいました。

で読み終わった後で、著者の過去の著作を見て驚きました。著者の大西氏は「三洋電機 井植敏の告白」の著者でもありました。『三洋電機 井植敏の告白』は三洋電機の盛衰を知るためには、個人的には必読書と思っています。過去数度読み返しましたが、テンポよいストーリー展開は読みごたえ抜群でしたが、同じ著者と言うことで非常に納得。久しぶりに読み返してみるかな。

企業の栄枯盛衰を知るため(特にダメになっていく部分)に『三洋電機 井植敏の告白』は抜群のテキストとなります。

まとめ

当サイトでも東芝の記事を随分書いてきましたが、基本的にコタツ記事なので、取材した記者の方の記事にはかないません。実際に取材された方の東芝の著作なので、『東芝 原子力敗戦』は迫力満点の書籍でした。しかし『三洋電機 井植敏の告白』と同じ方が著者とは驚きました。

『東芝 原子力敗戦』は東芝問題について、その背後について知るにはオススメの1冊と言えます。

けどまだ東芝問題終わった訳ではありません、最近書いていませんが、今後も東芝の行方は注目しようと思います。

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