サントリーの株式上場(IPO)はやり過ぎではないかと思う件

 サントリー(サントリーHD)が株式上場(IPO)を検討、と今日(15/7/28)の日経新聞一面に記事がありました。
 その後、具体的な事実はありません、というお決まりのプレスリリースがサントリーからあった訳ですが、火の無い所に煙は立たぬ、ということで、サントリーは何かしら資金調達の策を考えていると推察されます。

 けどね、サントリーHDという持ち株会社の上場はさすがにやり過ぎではないかと。だってあなた、事業子会社のサントリー食品インターナショナル(東証1部2587)が上場しているじゃないですか。このご時世、正面切って親子上場ってどうなんでしょ?

 サントリーと言えども、少々欲張り過ぎではないかと。

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親子上場も今は昔

 上場している親会社がいて、その子会社も上場会社。10年前までは、日本の株式市場では当たり前の光景でしたが、日本の証券市場のイビツさ象徴として長らく指摘され、またライブドア事件等もあったため、東京証券取引書は、子会社上場は原則認めない、というスタンスに変わり、現在に至っています。

 「原則」なので、絶対子会社上場はダメ、という訳ではありませんが、東証がイメージしているのば、例えて言えばNTTとNTTドコモとのような関係。子会社も事業規模が相当の規模があって、何より親会社との事業がバッティングしていない、というのが大前提。

 事業のバッティングが無いのは当たり前として、相当の事業規模、という点から、子会社上場は過去とは比べものにならない程ハードルが上がっています。

サントリーは子会社のサントリー食品インターナショナルを上場済み

 そんな時代背景の中、サントリーは2013年7月に持ち株会社の事業子会社であるサントリー食品インターナショナルを上場。

 原理原則論で言えば、持ち株会社の事業子会社の上場はおかしいのですが(そもそも持ち株会社を上場させるのが筋)、そこは日本を代表する非上場の大企業サントリー。
 事業規模もでかいし、天下のサントリーだし、東証にとっても日本を代表する非上場企業のサントリーなのでそこまで目くじらを立てなくても・・・、という感じで上場に至っています。

 まぁこれは、大人の事情もあるでしょうし、東証も今や上場会社=日本取引所グループ(8697)の一員で利益を追求する立場なので、商売という観点ではお目こぼしの範疇と考えれば問題ないかなぁ、と思います。

親子上場まで許してしまうのか?

 サントリー食品インターナショナルの上場までは、まぁ仕方ないか、と思いますが、更に持ち株会社まで次に上場するとなると、話は変わってきます。

 持ち株会社を上場させるなら、子会社のサントリー食品インターナショナルはどうする?TOBで同社の株を買い取り→持ち株会社の上場、というのであれば、何ら問題ありませんが、子会社が上場している中で更に親会社まで上場するとなると、もう東証が10年以上かけてやってきた、親子上場廃止運動が根底から覆ってしまいます。

 そりゃ事業会社の立場からすれば、親子上場できれば楽ですよ。子会社の資産=株が市場で評価され、一部の売出で資金が回収できれば、子会社を支配したまま、新しい投資資金の獲得もできる。けど、それっておかしいよね(子会社を支配したまま、資金というオイシイ所だけもらっていく)、ということで10年以上やってきたのですが・・・。

日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命も親子上場なんですが・・・

 年内?に予定されている郵政グループ3社の上場。コレもまた思いっきり親子上場。

 原理原則論で言えば、本当にやるのか?、と思ってしまうのですが、コレは国の政策判断なんですから、仕方ないというか東証がどうこう言える問題ではありません。

 個人的には、とっても低いPERしかつかない銀行株の中、ゆうちょ銀行がどんな株価で上場するのか非常に興味深いところですが、それは横に置いておきます。

 郵政グループ3社が親子上場するんだったら、サントリーも親子上場いいじゃないか、っていくら天下のサントリーとはいえ一民間企業ですので。郵政グループと同じ視点で考えるのはどうかと。

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東京証券取引所の対応に注目

 サントリーHDの上場、今後の議論がどうなっていくのか非常に興味深いところです。親子上場、特に持株会社で子会社の上場させたい会社はごまんとある中で、サントリーを更に特別扱いするのか、それともこれまでの経緯を踏まえて東証が突っぱねるのか。

 一義的には上場審査するのは主幹事証券ですが、親子上場というストライクど真ん中の問題、当然証券会社から東証にお伺いをたてる訳で、その時に東証がどう答えるのか?

 あるべき姿としては、サントリー食品インターナショナルを非上場化させた上、もしくはセットでサントリーHDの上場ですが、上場後に株価が上昇しているサントリー食品インターナショナル、それをするとサントリーの持ち出しが多くなってします(サントリー食品インターナショナルの調達額<非公開化のための株の買い上げ費用)。
 持ち株会社のHDの上場と子会社の非上場化のセットなら何とかなりそうな感もしますが、多額の資金調達をしたい+HDの株主の寿不動産(資産管理会社)が上場後も50%以上のシェアを持つという、課題のクリアは相当ハードルが高そうではあります。

最初から持ち株会社(HD)の上場をしておけば・・・

 日経新聞の記事を読んでいてフト思ったのですが、最初からHDを上場させておけば、こんな面倒なことにはならなかったんですけどね。サントリーHDの筆頭株主の寿不動産のシェアの問題が理由でしょうけど。

 仮にサントリー食品インターナショナルの株価が低迷していれば、同社の非上場化はスンナリ進んだ可能性もありますが(上場時の売出と、非公開化の費用を差っ引いても、手元に十分お釣りが残ります)。

 やはり無理なことをすると、どこかに無理が来るという典型例の感がします。


・2年分のサントリー食品インターナショナル株価推移

資金調達が必要なサントリーはどう動く?

 ジムビームの買収等で多額の資金を投じてきたサントリー。子会社上場等で資金調達をして何とかやりくりしてきた訳ですが、さすがに今のままの未上場では限界、ということではないかと。

 資本市場から調達額する資金=事業の種銭、と管理人は考えていますが、その意味ではサントリーは新しい事業をするための種銭が尽きている状態かと。サントリー自体は黒字の立派な会社なので、しばらく大人しくしていれば種銭はまた利益の積み上げで貯まるのでしょうが、それを待っていられない、ということでしょう。(多くの買収に伴って、銀行からの借入金も増えており、借入金の返済をしたい、という意識もあると考えられます)

 サントリーが親子上場したいという気持ちはよく分かります。ただし、それを認めるかどうかは東京証券取引所の問題。

 個人的には、サントリー食品インターナショナルの子会社上場を大目に見てもらった上に、更に親会社の持ち株会社の上場も認めて欲しい、というのはやり過ぎではないかなぁ、と思います。

 サントリーHDの上場を巡る問題。果たして今後どんな展開となるのでしょうか?興味深く見守ろうと思います。

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