ソフトバンクがARM(アーム)を約3.3兆円で買収、ポンド円が鍵を握っていた!

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 ソフトバンクがイギリスの半導体関連企業ARMホールディングスを約3.3兆円で買収する、と発表。ひゃー3.3兆円って、これまたトンデモナイ金額が飛び出てきました。けどね、ソフトバンクの海外の大型買収と言えばアメリカの携帯電話会社のスプリントが思い出されますが、ARMはスプリントと違って、ピカピカの優良会社。価格の高いor安いはありますが、いい買い物をしたのだと思います。

 IoTという理由はあれどARMという畑違いの会社を手に入れたソフトバンクはどこに行く?けど今回の買収はさすがは孫社長という案件では。ただし12兆円を超すソフトバンクの借金に、一抹の不安を覚えるのも事実ではあります。

ソフトバンクが約3.3兆円で買収するARM(アーム)とは?

 休みに驚きました、ソフトバンクがイギリスのARMを約3.3兆円で買収する発表があるなんて。

 ARMというのはイギリスの半導体関連の会社。半導体関連と一言ではなかなか表現できない会社で、業界的に言えば、組込みソフトウェアの会社に該当します。分かりやすく説明すれば、PCにウィンドウズやiOSといったOSが必要なように、半導体を動かすにはOSが必要になります。PCやスマホにようにOSに容量をかけられるモノなら高機能なOSも搭載可能ですが、自動車から炊飯ジャーまで様々な製品に利用されている半導体。全部が全部、高機能なOSが搭載できる余裕がある訳ではありません。
 ARMはこの半導体のOSを開発している会社、と表現すると分かりやすいかも。スマホは半導体の塊ですが、ARMのOSはほぼどのスマホにも入っています。確かに、スマホの画面に出てくるOSはアンドロイドだったりiOSだったりしますが、その後ろで半導体を実際に動かしているのはARMのOS(と言う表現がまずければ、ソフトウェア)です。

 後述しますが、組込みソフトと言えば、日本ではルネサスもその筋では有名ですが、ARMは半導体に組み込むソフトに特化して、ライセンスビジネスが展開できている所が最大の特徴。簡単に言えば、ARMの組込みソフトが入った半導体が売れれば、自動的にチャリンチャリンとお金が入ってきます。ルネサスはメーカーと一緒に半導体を作り込んで、半導体が売れれば売上が上がる、という構造。実際に半導体を作らないARMは要はライセンスビジネスをやっているので、非常に高収益の会社です。まぁ、それだけ高度なことをやっている訳ですが。
 
 多少ARMのことは知ってますが、いい会社ですよ。ARMが買収されるなんて、驚きです。なんでARMは身売りしようかなんて思ったんだろ、と言うくらい。

 既にモノ作りの国ではなくなっているイギリスですが、ARMまで手放してしまうと、イギリスはホント金融業くらいしか外貨を稼げる産業がなくなってしまうのでは?、と思ってしまいます。

ARMの株価

 ソフトバンクが買収を発表したARM-HDは上場会社です。ロンドン市場に上場している株価はこんな感じ。

16.7.19ARM株価-ロンドン

https://jp.tradingview.com/x/jn5rzqe4/
※株価チャートはTradingViewを利用、「分」との表記だが「月足」(以下同様)

 実はARMはナスダックにも上場しています。ナスダックの株価は下記。
16.7.19ARM株価-NY

https://jp.tradingview.com/x/1cUjcMXm/

 ロンドンとナスダック、いずれの株価もソフトバンクによる買収発表で値が急騰しています。
 ただしソフトバンクによる買収がなくともARMの株価は1,000ポンド前後or50ドル前後で安定していた、と言うことができます。

 ARMの場合既に時遅しですが、ナスダック銘柄を買うならマネックス証券がオススメです。

ソフトバンクによるARM買収の謎を解く鍵、ポンド円のチャート

 管理人は為替のトレードしているので、ソフトバンクがARMを買収、と聞いた時、為替が大いに影響しているだろうなぁ、と直感的に思いました。ソフトバンクは買収をドルベース(ARMは元々はナスダックに上場していた)ではなく、ポンドベースで発表していたので、よりその思いを強くしました。

 イギリスのEU離脱決定後の大荒れの為替相場、ポンドが売られて、買われた通貨はドルと円だった訳ですが、簡単に言って、イギリスのEU離脱決定を受けて、円は対ポンドに対して円高になっています。円高になると、同じ海外製品が安く買えるようになる訳ですが、今回はポンドを舞台にその現象が発生しています。

 ポンド円の月足チャートはこんな感じ。

16.7.19ポンド円-月足チャート
https://jp.tradingview.com/x/0lglzW6U/

 2015年に1ポンド190円前後だったものが、2016年に入り160円前後に下落、そしてイギリスのEU離脱決定を契機に更に下落し現在は140円前後。2015年に比べると、ポンドは対円で約3割下落しています。

 ARMの株価は2014年以降約1,000ポンドで安定していた訳ですが、ポンドに対する円高のおかげで、同じ株を約3割安く買えることになります!

 ソフトバンクが約3.3兆円という大枚を払ってARM買収を行う、大きなカギは為替にあった、と言うのは間違いないかと。それが理由の全部ではないでしょうが、タイミングとしてEU離脱を決定して対円でポンドが下落したこのタイミングは、絶妙と言わざるを得ません。

 ちなみにソフトバンクはARM株価に約4割のプレミアを付けてARMの買収をすることになりますが、為替を勘案してタッタ約1割のプレミアでARMが買収できるのですから、ソフトバンクにとってイギリスのEU離脱に伴うポンドに対する円高は天祐でしょう。

ただし既にソフトバンクは10兆円オーバーの借金大王

 今回のソフトバンクによるARMの買収について、みずほ銀行が1兆円のつなぎ融資を手当てするようです。
 ソフトバンクのARM買収発表後、当サイトの下記記事を「ソフトバンク+(有利子)負債」というキーワードで多数の方が訪れています。

関連記事:ソフトバンクの借金が10兆円オーバー、返済の山は2018年と2020年

 既に10兆円を超して12兆円目前のソフトバンクの有利子負債、今回のみずほ銀行からの1兆円の借り入れでメデタク(?)、有利子負債は12兆円台突入です。負債12兆円って、全く庶民には現実感の無い数字ですが、少なくともトンデモナイ額の負債、というのは間違いないかと。

16.6.22ソフトバンク-有利子負債推移-min
※ソフトバンクの有利子負債の推移

 ARMは良い会社だと思います。金額も為替を考えると、買うならこのタイミング、としか言えないタイミング。だからソフトバンクのARMの買収、さすがだなぁ、とは思いますが、かさんでいる借金を考えると一抹の不安を覚えてしまうのも事実。これはもう、借り入れも結構あって再建に苦労しているスプリントを手放すしかなかったり・・・。ARM買収を機に、ソフトバンクと言うか孫社長がスプリントに対してどんな姿勢で臨むのか、非常に興味深い所です。

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ルネサスもソフトバンクが買収したりして

 ARMの買収により、一気に組込み分野で世界的企業を手にしたソフトバンク。組込みソフトと言えば日本にも有名な会社があります、そう「ルネサスエレクトロニクス」が。

 産業革新機構の傘下でとりあえず再建には成功したルネサス、すでに産業革新機構はルネサス株の売り先探しに走っています。

産業革新機構のルネサス株の売却が容易に進まない簡単な理由

日本電産がルネサスの買収を検討していた!

 ソフトバンクがARMを買ったことで、ルネサスの買収候補先にソフトバンクの名前が出てきたことは容易に想像ができます。時価総額約1兆円のルネサス、ソフトバンクにすれば、全然買える金額ですから。2024年までの時限組織の産業革新機構とすれば、ソフトバンクが名乗りを上げてくれれば願ったりかなったり???けど、そうは問屋が卸さないような。

ソフトンバンクの社外取締役に日本電産・永守社長が存在

 「日本電産がルネサスの買収を検討していた!」にも書きましたが、産業革新機構はルネサス株を売りたいのですが買いたいと言っている日本電産には売りたくないようです。厳しい経営姿勢で知られる日本電産がルネサスの親会社になったら、大口顧客の自動車業界としては面倒なことになる・・・、ということが背景と考えられます。

 面白いのは、日本電産の永守社長はソフトバンクの社外取締役。産業革新機構がルネサスを買いませんか、とソフトバンクに持っていけば、それがそのまま永守社長にも耳に入ります。これじゃ、機構も話を簡単にソフトバンクに持っていけませんね。けどいずれにしても、機構は2024年までの時限組織。いずれルネサス株を売却せざるを得ない訳で、ARMの買収により組込み業界で一気に世界的企業の仲間入りしたソフトバンク、ルネサスに何かしら絡んできてもおかしくありません。その時、ソフトバンクと日本電産の関係、結構キーポイントになるのではないかと。
 
 まだ、頭の体操として考えておくと面白いでしょ、という段階ですが。

まとめ

 ソフトバンクによるARMの買収、金額やソフトバンクの本業に関係あるのか等の話はありますが、企業としてはいい買い物をよいタイミングでしたのではないかな、と思います。Iotの時代を見据えARMの事業をソフトバンクの本業に取り込む、という発表ですが、孫社長お得意の投資→売却、というモデルで考えても、100%の買収ですし売却で利ザヤを稼げる可能性だって十分あります。
 そう考えると、流石は孫社長、と言う案件ではないかと。

 けどね、12兆円オーバーとなるソフトバンクの借金は未知なる世界。ここまで借金を膨らませて大丈夫か、と個人投資家観点からは思います。

 これまで何度もバクチを打ってトータルでは勝ち続けてきたソフトバンクの孫社長。今回のARMの買収、果たして今後どんな結果になるのでしょうか?ソフトバンク、やはり目の離せない会社、ということを再認識したARMの買収発表と相成りました。

PS ソフトンバクはその後10兆円の投資ファンド設立を発表、孫社長は攻め続けています

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