日本電産がルネサスの買収を検討していた!

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 産業革新機構が筆頭株主となり、自動車業界の協力もあり再建に成功したルネサスエレクトロニクス(6723)。機構はルネサス株の売却を各方面に打診しているようですが、日本電産がルネサスの買収を検討していたそうです。ただし現状では、話はなかったことに・・・、と機構側から断りを入れた様子。
 
 M&Aでは百戦錬磨とも言える日本電産。いずれルネサス株を売らなければいけない産業革新機構、日本電産が簡単に諦めるとも思えず、いずれ第2幕が開く可能性は高いのでは?

※2017年5月ルネサスは産業革新機構の株式売出を発表、詳しくは下記をどうぞ
産業革新機構のルネサス株の売出を分析

日本電産がルネサスの買収を検討

 まず最初に熊本・大分の地震で被災された皆様のお見舞い申し上げます。亡くなられた方も多数いらっしゃるようで、心からお悔やみ申し上げます。

 地震のニュースをTVで見ながら土曜の日経新聞を見ていたら、驚きました。日本電産がルネサスの買収検討をしていた、という記事が掲載。

 ま、考えてみれば自動車業界への食い込みを図っている日本電産、モーターには直接関係ないものの、ルネサスの買収ができれば、自動車業界への食い込み方はこれまでとは比較にならないくらい深くなるわけで、安い買い物ではありませんが、選択肢としては”あり”と言えます。

 以前当サイトでもルネサスについては記事にしています。ルネサスの筆頭株主の産業革新機構は期限付きの組織でいずれなからずルネサス株を売らなければならない。けど一緒にルネサスの再建を行った自動車業界は、下手な先にルネサスの株を売ってもらっては困る訳で、とりあえずは現在の株主+支援先という立場でルネサスには使い勝手のいい取引先、という立場に留まっていて欲しい、というのが本音ではないかと。

ルネサスを知るにはこの1冊、その後リストラはありましたが基本的なマイコンビジネスは変わっていません

 以上を考えると、ルネサス株を売却するのは相当ハードル高いのではないかな、と思っています。けど法律で2024年までと期限が決まっている産業革新機構、どこかで腹をくくるか、裏技を編み出す必要がありますが。

産業革新機構は日本電産に断りを入れている

 日経新聞の記事は終わらず、産業革新機構は日本電産のルネサス買収の提案、一旦お断りをしているようです。自動車業界からの賛同を得られなかった様子。
 自動車業界からすれば、今の使い勝手のいいルネサスが日本電産の子会社になって、価格交渉等ガンガンやられたらタマラナイ・・・、こんな所では?期限がある機構とは言っても、今あせって日本電産に株を売る必要はないでしょ、もう少し時間をかけていい売却先を見つけてくださいよ・・・、機構は自動車業界からこんな風に言われたのではないかなぁ、と妄想しています。

 とりあえず目先はこれで日本電産のルネサス買収は無くなったわけですが、欲しい会社のM&Aのためには何年でも待つ!、と以前より公言している日本電産の永守社長。そう簡単にルネサスを諦めるとは思えません。鳴かぬなら鳴くまで待とう・・・、そんな一句が思い浮かびます。

産業革新機構は2024年までの組織、ルネサス株は必ず売却の必要あり

 
 ルネサスの時価総額は約1兆1,000億円。産業革新機構が約70%の株を持っているので、機構の株を全株買い取りするには7,000億円以上の資金が必要となります。これだけの金額を出せる会社となると数が限られます。

 とりあえず日本電産へのルネサス株の売却はやめたとしても、じゃあどこにルネサスを売却するよ?、という問題がスグに浮上します。そして、相手が簡単に見つかれば苦労はないよ・・・、というのが機構の本音ではないかと。

待てる日本電産と待てない産業革新機構

 
 日本電産以外にルネサスを買います、という会社が颯爽と現れる可能性も当然ありますが、客観的にそう簡単ではないと考えられます。その場合、待てる日本電産と待てない産業革新機構、という構図になります。

 極論すれば別に日本電産はルネサスを買わなくても良いわけですが、産業革新機構はルネサス株を売らなければなりません。時間が立てば立つほど、機構は足元を見られやすくなります。

 さらに言えばアベノミクスに陰りが見られ、世界の景気の調子も狂い始めている中、今後ルネサスの株価がどうなるのか、コレは誰にも分かりません。消費増税を延期したら、アベノミクス相場復活でルネサス株も暴騰、何て可能性も否定はしませんが。

 仮にルネサスの株価が下がった場合、ヤバイ早く売らなきゃ、ということになり、益々機構は買い手との交渉で足元を見られます。

 と、このように考えると自動車業界への配慮でルネサス株の日本電産への売却を今回見送った産業革新機構ですが、今後日本電産に対してルネサスの株を買って下さいお願いします、と立場が逆転する可能性だってあります。自ら買いに行くのではなく、お願いされて買いました、というのはM&Aに限らず通常のお買い物でも、圧倒的に買い手が優位な立場になります。

 相手は日本電産と限った訳ではありませんが、期限が2024年と決まっている産業革新機構。時間が経過するにつれ、ルネサス株の売却の立場は不利になっていきます。

16.4.48ルネサス株価-5年月足-min
ルネサスの株価5年分(月足)
※チャートは「株羅針盤」を利用

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日本電産がルネサスに対してTOBしたら面白い

 ここから先は頭の体操。日本電産がルネサスに対してTOBを仕掛けたら?

 ルネサスの株価ここ最近は600~800円のレンジ相場なので、キリよく株価1,000円で日本電産がルネサスにTOBを発表! 

 そうなった場合、産業革新機構は株の継続保有をするなら合理的説明を求められます。機構の株主は国なので、国に対する説明責任があるかどうかは分かりませんが、少なくとも自動車業界があそこには売らないで欲しいと言っている、という理由は通りません。2024年までに耳を揃えて1,000円以上で売却できる先が具体的にあります、と言えないと継続保有は厳しいでしょう。
 ルネサスの株主、機構が筆頭株主ですが、自動車業界以外の会社も設立母体の日立・三菱電機・NECそしてキャノン・パナソニックも存在しており、彼らは喜んで売却に応じる可能性も。

 日本電産がルネサスを本気で取りに行くなら、産業革新機構が言い訳できなくなるTOBは有力な選択肢となりえますが、TOBだとコストが高くなりますし、よくも悪くもセンセーショナルになります。だからTOBはないような。けど何かと話題になるから、日本電産がルネサスにTOBかけると非常に面白いよなぁ、と外野は勝手に思っています。

 あと、日本電産はタカタの買収も行ったら面白いよなぁ、と思いますが、さてどんなもんでしょ?

まとめ

 東日本大震災で被災して業績が大幅に悪化し、産業革新機構及び自動車業界の援助を得て無事に再生を果たしたルネサスエレクトロニクス。
 ただし投資という観点では、特に産業革新機構は投資分を回収して初めて仕事をしたことになります。通常の株式投資と一緒で、お金さえあれば株は誰でも買えますが、難しいのは利益を乗せて株を売却すること。これはファンドの世界でも一緒です。機構のルネサスの株式保有割合は約70%。これだけの量の株を売却するには、一筋縄ではいきませんn。

 兎にも角にも現段階では日本電産に対してルネサス株の売却を断った産業革新機構。ただしルネサス株の売却は機構にとって時間との戦い。果たしてルネサス株の行方はどうなるのでしょうか?今後も注目したいと思います。

PS 日本電産・永守社長が社外取締役を務めるソフトバンクが英ARMを買収。ARMと同じ組込み業界のルネサス、果たして何か動きはあるのでしょうか?

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