サントリーが子会社ビームのNY上場を検討、ただ実現のハードルは高い

 サントリーが2014年に買収したアメリカのバーボンで有名なビーム社のアメリカNY上場を検討、と報じられています。

 ビーム社上場で有利子負債が膨らんでいるサントリーにとって、子会社上場での資金調達ができれば非常に助かりますが、サントリーは非上場会社。そしてアメリカは基本的に子会社上場はありえない世界。

 相当ハードルが高そうなビーム社のNY上場。本当にNY上場にまでたどり着けるのか、注目したいと思います。

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サントリーがビーム社のNY上場を検討と報じられる

 1月5日(木)の毎日新聞の一面に、サントリーがビームのNY上場を検討、と掲載。毎日新聞が珍しい記事書くなぁ、というのが第一印象。

国内の食品最大手サントリーホールディングス(HD)は、ウイスキーやバーボンなどの蒸留酒を生産する子会社、ビームサントリー(米イリノイ州)を米ニューヨーク証券取引所に上場させる検討に入った。人口減で国内市場が縮小する中、上場で調達する資金を新興国などの販路開拓に充て、世界でのシェア拡大を狙う。(毎日新聞

 サントリーが世界的なアルコールメーカーを目指すための重要な第一歩となったのが、2014年のビームスの買収。約160億ドルという大金がかかりましたが、おかげでサントリーは世界第3位の蒸留酒メーカーに浮上。ただし未上場会社のサントリーは、ビースムの買収資金の多くを銀行借入に頼ったため、16年9月末時点での有利子負債が1.9兆円を超えており、有利子負債過多の状況となっています。

 サントリー(正式にはサントリーHD)は未上場会社ではありますが、中核子会社のサントリー食品インターナショナル(2587)という子会社を上場させています。ただし本体が未上場会社という事実には変わりなく、本体での資金調達が基本的に閉ざされている、という背景があります。

 以前、サントリー本体が上場を検討、という報道もありました。その後、立ち消えになっていますが。

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 サントリー本体の上場話、その後聞こえてこないのは、流石の東証も、子会社上場を認めた上で更に未上場の親会社の上場も創業家の支配権をそのままにして(サントリーの上場は創業家の支配権維持が絶対条件でしょうから)の上場は無理・・・、と言ったんじゃないかと邪推しますが、さてどんなもんでしょ。
 一応、東証は原則として子会社上場は認めていませんので。

 そしてそんな中で出てきたのが買収したビームス社のNY上場話。サントリーに買収される前にビームス社はNY上場していたので、おーそれなら可能性あるんじゃないか、と思いそうですが、話は簡単ではありません。

子会社上場を認めないアメリカの証券取引所

 欧米の金融関係の方と話をすると、子会社上場について、非常に不思議な顔をされます。

 なぜ子会社の株を上場させる必要があるのか?

 そりゃ親会社の資金調達のためですよ、と言っても間違いなく納得してもらえません。株式=会社の支配のための手段、という側面があるため、一部であれ親会社の株式を外部に流出させる子会社上場は、資本主義の本場の欧米の方からすると、訳ワカメの世界です、ホント。

 実質的には支配権を維持しながら資金調達が可能という子会社上場、実はとってもいいトコ取りの制度なのですが、筋論からすれば、基本的にオカシイ、というのは納得できます。
 
 そんなこともあり、東京証券取引所も以前は子会社上場のオンパレードでしたが2000年頃から世界標準を意識し今では原則子会社上場は認められていません。まぁ原則というのがミソで、サントリーだって子会社上場をしているので、絶対にできない、という訳ではないのですが。

 で資本主義の本家本元とも言えるアメリカの証券市場、当然のごとく子会社上場は原則認めていません。よってサントリーがいくら前はNY市場に上場してましたよ、と言ってもビームス社の上場、簡単ではありません。

 仮に正面玄関からビームス上場を行うのであれば、サントリーから人・モノ・金(=資本)の分離を求められます。ビームスの上場=サントリーとしてビームスのEXIT、というのが前提となってきます。

 別にサントリーがビームスを売却して資金回収を行う、というのが目的であれば、全然ありですが、サントリーはビームスを今後も子会社として継続保有するつもりでしょうから、EXITなんてことは全く考えていないハズ。
 となるとビームスのNY上場、そう簡単に行くとは思えません。

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アリババ上場の例から、NY上場も例外はある

 サントリークラスの大企業、日本であれば東証とネゴってビームス上場、という手は無きにしも非ず。ところがどうやらサントリー本体の東証上場は立ち消えになってますので、中核子会社のサントリー食品インターナショナルの子会社上場が東証が譲歩できる精一杯っぽいです。

 そして次の手がビームスのNY上場。

 正面切って、という観点では非常にハードルが高いのですが、裏技は無くはありません。一例としては、アリババが上場した時、実質的に持ち株会社の子会社上場だったアリババをNY証券取引所は認めています。アリババの上場、準地元とも言うべき香港の証券取引所は子会社上場はダメ、と言っていたのを、NY証券取引所が上場させた、という面を有しており、基本的には”原則”という便利な言葉が生きているのね、と思った訳ですが、アリババの例もあるので、NY証券取引所で子会社上場は絶対できないかと言えば、そう言う訳ではありません。

 ただしアリババはもう中国を代表するEC企業で、NY証券取引所としても多少規則を曲げてでも是非とも上場して欲しかった企業に対してビームスはどうか、という問題があります。そう考えると、いくら以前NY上場していたとはいえ、ビームスの上場、一筋縄ではいかないだろうなぁ、と思います。

 

まとめ

 ビームスというバーボン、正直安いバーボンというイメージしか管理人はありません・・・。けどそんなバーボンがNY上場しており、サントリーが約160億ドルという大金でM&Aした、というニュースを聞いた時は驚いたものです。

 とは言え未上場会社で資金調達力が限られているサントリー、資金的には大変だろうなぁ、と思っていましたが、本体の上場そしてビームスの上場と、色々な策を練っているようです。ただしいずれも相当ハードルが高い・・・。

 借金の金額で言えばソフトバンクが10兆円を超えていますが、そうは言ってもあちらは上場会社。一方サントリーは未上場会社であり、絶対的な資金調達能力に限りがある中での、借金1.9兆円オーバーは重いと言わざるを得ません。

 果たして今後サントリーがどのような資金調達の手段を行うのか、興味を持って見ていきたいと思います。

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