阪急百貨店の野望、そごう神戸店を買収で神戸再参入へ

 セブン&アイHDが事業再編の一環で、そごう神戸店他を阪急百貨店に売却。実はM&A巧者として知られる阪急百貨店(正確にはH2O-HD)、神戸の中心地三宮の駅前に立地するそごう神戸店を手にすることになりました。

 神戸は阪急グループとして西の拠点と位置付けられながらも、神戸でのデパート事業は撤退の歴史の阪急百貨店。しかし、そごう神戸店を手にすることで、一気に神戸での存在感を発揮することになりそうです。

 阪急百貨店は大阪(梅田)や博多で見せた、その手腕を神戸でも発揮することが期待されます。
 再開発がまさに始まろうとしている三宮の駅前、そごうあらため阪急神戸店(見込)は三宮の活性化の更なる起爆剤となるのでしょうか?

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セブン&アイがそごう神戸他を阪急百貨店に売却

 コンビニの父・鈴木会長が退任し、事業の見直しに着手しているセブン&アイHDですが、かねてより不採算が言われていた百貨店事業の再編にも着手。その一手として、そごう神戸店・そごう西神店・西武高槻店をH2Oリテイリング(実質的には阪急百貨店グループなので、以下阪急百貨店とします)に売却すると発表しました。

セブン&アイ、3百貨店譲渡へ そごう神戸などH2Oに(朝日新聞)

 この中で、そごう神戸店の売却は驚かれた方も多いようです。何せそごう神戸店は、神戸の中心地・三宮駅の駅前という一等地に立地する店舗。報道によると、阪急側が取りに行ったのではなく、セブン&アイ側が阪急側にお願いしたそうで、セブン&アイの百貨店事業整理にかける本気度が分かろうかというものです。

 けど、まだそごう神戸店等の売却価格等の詳細は未定です。
 セブン&アイ側が売り急いでるなぁ、という印象が正直ありますが、それだけ早く手放したい、ということでは。ただし、詳細未定なので、ポシャってしまう可能性は無きにしも非ず。

 実は買取をお願いされた阪急百貨店にとっては、願ったりかなったりの状況。何せ阪急グループとして神戸は西の拠点なのですが、阪急百貨店は神戸は苦難の歴史の連続なんです。三宮の駅前にデーンと構えるそごう神戸店を阪急グループは羨ましそうに見ていたのでは・・・、と勝手に推察しますが、それが相手側から「買ってくださいお願いします・・・」と転がり込んで来た訳で、阪急側からすれば願ってもない展開でしょう。
 
 そんな訳で、今回は歴史の勉強半分、阪急百貨店の神戸での苦難の歴史を振り返ってみます。

16-10-14そごう神戸店
三宮駅から地下街で繋がっているそごう神戸店

かつて阪急三宮(百貨店)が存在した

 いまは阪急電鉄三宮駅ビルが大改装の真っ最中ですが、現在の阪急三宮の駅ビルにかつて阪急三宮(百貨店)が入っていました。しかしそもそも地上4階+地下1階と手狭なビルの上、1995年の阪神淡路大震災でビルが倒壊し、同年百貨店は閉店しています。

 現在、阪急三宮駅ビルの大工事中で、工事が完成すると29階建での高層ビルが三宮駅の北側に登場します(2021年の完成予定)。ビルは高層部がホテル、中層部がオフィス、低層部に商業施設が予定されていますが、それほど広いとは言えない敷地にどんなビルができるのか阪急グループの腕の見せ所、となっています。

神戸三宮駅ビルは29階建てに 阪急が計画発表(神戸新聞NEXT)

1992年神戸ハーバーランドに阪急神戸をオープンするも2012年に撤退

 阪急グループは三宮とは別に、1992年にJR神戸駅徒歩5分の場所にオープンした神戸ハーバーランドに阪急百貨店は神戸阪急をオープン。1995年の阪神淡路大震災で被災したものの、被害はそれ程でもなく約2か月後には営業を再開しています。

 ところがこの神戸阪急、売上が伸びません。ハーバーランド自体もオープン当初の華やかさは時間の経過とともに薄れ、集客力が減少。同時にオープンしたダイエーの撤退(2006年)や、神戸西武(百貨店)の撤退(1994年)の中、孤軍奮闘していましたが、遂に神戸阪急も2012年3月に撤退。

 ハーバーランドの街びらき当初の華やかさは、バブル最後の煌めきだったのかもしれません・・・。

 ちなみに神戸阪急が撤退の後、その後阪急グループ入りすることになるスーパーのイズミヤが跡地に入っていましたが、そのイズミヤも2016年7月に遂にその場所を撤退しました・・・。

 実はハーバーランドの付近、ここ数年で高層マンションが非常に増えています。イズミヤはその恩恵を被るのではないか・・・、と思っていましたが、残念ながらそうはならず。散歩するには雰囲気もよい場所なんですが、商売としてはなかなか難しい場所のようです。

人口で福岡市に抜かれた神戸市

 閑話休題。神戸市と言うと港町で華やかなイメージが今もありますが、実は人口減少で人口数は福岡に抜かれてしまい、五大市の位置から陥落しています。

神戸市、人口で「5大市」から転落…福岡市に抜かれ6位に 若者が減少(産経WEST)

 既に人口減少社会に入った日本、人口が減る都市はそれほど珍しくはありませんが、大都市でも神戸は人口減少が進んでいる地域となっています。神戸という街自体、中洲を埋め立てた街であり、そもそも土地が少なく、高度成長期の時代に山を切り開いて住宅地を造成して・・・、と発展してきた都市です。そして少子高齢化で山を切り開いて開発した街に、高齢化が押し寄せています。

 ちなみに福岡は九州新幹線の開業で、熊本他から人口を吸い上げて人口が増えている面がありますが、神戸は逆に大阪に吸い取られている面があります。
 また阪神淡路大震災の被災の影響も、神戸市及び兵庫県の財政には未だ尾を引いており、都市として神戸を見ると転換期に来ているのだなぁ、と思わざるを得ません。

 けど餃子はうまいし、肉は神戸牛はあるし、魚も大阪より安くてうまいし、管理人は神戸は好きな街です。(ただし中華街は横浜のイメージで行くと、その狭さに驚きます・・・、長崎よりは広いですが)

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阪急はそごう神戸店を阪急百貨店に変更を検討

 当然と言えば当然ですが、阪急側は買収したそごう神戸店のブランドを「阪急百貨店」に変更することを検討。関西圏、特に大阪及び神戸での阪急ブランドへの信仰心は、他の地域では伺い知れないものがあります。

 2015年に発生した食材偽装問題、阪急グループのホテルでも食材を偽装しており、あの阪急さんが・・・、と阪急沿線住民を驚かせたのは、まだ記憶に新しい所。関西では阪急電鉄が「ジオ」というブランドでマンションの開発をしていますが、そのブランド力は頭一つ抜けています。(東京のジオのマンションと、全く価値観が違います)

 そんな阪急がそごう三宮店を、阪急百貨店神戸店としようとするのは当然。大阪梅田では伊勢丹を撤退に追いやった阪急百貨店、そのネームバリューは伊達ではありません。

 神戸のデパートと言えば、大丸が圧勝状態ですが、大丸神戸店は立地的には不利な面も抱えているため(元町駅から徒歩3分ですが、直結ではない)、そごう神戸店の阪急百貨店化は驚異となりそうです。

 ただしそごう神戸店も、中に入ると分かりますが、建物が古いので阪急側も相当な投資が必要と考えられます。M&A巧者として知られる阪急グループ、今回も見事にそごう神戸店を手中に収めることとなりそうですが、M&Aは買収したそこから先が本当の勝負の始まり。

 阪急百貨店としては苦戦続きの神戸の地でどんな展開をするのかお手並み拝見、と大丸神戸は見ているかもしれません。

 ちなみに、三宮の駅前には丸井もありますが、若者向けの品ぞろえというのと、建物が狭いので、阪急及び大丸は丸井の存在は殆ど気にしていないと考えられます。。。

16-10-14阪急百貨店梅田店
大阪(梅田)では圧倒的な存在感の阪急百貨店

まとめ

 全国的に見れば、人口減少の日本では百貨店は完全に衰退産業となっています。かつて全国各地にあった百貨店、地方の店は次々に閉鎖されています。都市部の百貨店はここ1~2年外国人観光客の爆買いの影響で一息ついていましたが、爆買いバブルもどうやら収まったようなので、再び苦しい時を迎えつつあります。

 そんな中、大阪で圧倒的な強さを誇る阪急百貨店。そごう神戸店を買収することで、神戸でリベンジに挑戦することになります。

 神戸には大丸とそごうという二大百貨店が存在していますが、そのブランド力は大丸神戸がそごうを圧倒しています。そごうが阪急に代わることで、阪急は大阪(梅田)や博多で見せたその実力をいかんなく発揮することができるのか?

 人口減少で五大都市の座を陥落してしまった神戸市。中心地の三宮の再開発は既に予定されていましたが、駅前そごうの阪急化という思わぬ事態も同時に進行しそうです。

 神戸の街が今後どう変わっていくか、そして阪急はその本領を発揮することができるのか、今後注目を集めそうですね。

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