十八銀行とふくおかFGの統合が延期、原因は公正取引委員会

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 地方銀行界隈で大きな話題となった長崎県の十八銀行とふくおかFGとの合併。既にふくおかFGは親和銀行という長崎県内の第一地銀をグループ内に持っており、親和銀行と十八銀行との統合による県内に圧倒的第一銀誕生の行方が注目されていましたが、十八銀行とふくおかFGは経営統合を2018年4月から10月に延期を発表。

 経営統合の難航の原因はズバリ公正取引委員会。長崎県内に圧倒的第一地銀誕生により競争が無くなることを懸念している公正取引委員会は、簡単には十八銀行とふくおかFGの経営統合を認めない様子。

 今後の地銀再編の行方を左右すると言っても過言ではない公正取引員会のスタンス、果たして採取的に十八銀行+ふくおかFGは公正取引員会とどう折り合いをつけるのか?今後の行方に注目です。

十八銀行とふくおかFGが経営統合の延期を発表

 2018年4月の経営統合を発表していた十八銀行とふくおかFGですが、先日経営統合を2018年10月に延期すると発表しています。

 地銀再編時代の号砲か?、とも言われた両行の統合、実は当サイトでも昨年記事にしています。

十八銀行とふくおかFGが経営統合へ、戦国時代の九州第一地銀

 ただしふくおかFGは既に長崎の第一地銀・親和銀行をグループ内に有しており、この親和銀行と十八銀行を統合させることになるので、公正取引員会の審査がクリアできるのか?、というのは当初から懸念されていました。

 そしてその懸念が現実のものとなりつつあるのが現在の状況。

 簡単に言うと、公正な競争環境整備がその存在意義である公正取引委員会は、十八銀行とふくおかFGの統合を認めてしまえば長崎県内に圧倒的シェアを持つ第一地銀が誕生し公正な競争環境の維持ができない、と判断しています。

 そして十八銀行+ふくおかFGと公正取引委員会の交渉が完全に煮詰まってしまっている、というのが現在の状況のようです。


十八銀行は長崎県の第一地銀

公正取引委員会は金融界の事情は関係なく判断

 人口減少社会となっている日本では、地方の衰退が言われていますが、その影響を大きく受けるのは地方銀行。特に地方の殿様的存在であった第一地銀は、地方が衰退すれば、自らの衰退も避けられません。衰退を避けんがために、再編したり・東京に出たり・不動産に活路を見出したり等、各第一地銀は知恵を絞っているのですが、やはり衰退する地元から逃れることはできません。

 経済規模もそれほど大きくなく、高齢化率の進展も全国トップクラスの長崎県、そしてその長崎県の第一地銀である十八銀行が、再編に活路を見出したのは、何も不思議なことではありません。ただし、かつてのライバル親和銀行が既にグループ内に存在しているふくおかFGに飛び込んで行ったのは、業界関係者の度肝を抜きましたが。。。
 いやこれが、別のグループであれば、何の問題もなかったんだと思います。肥後+鹿児島銀行の九州FG、西日本シティFG、佐賀銀行と言った相手であれば、公取委の審査もスムーズに行ったんでしょうが、親和銀行を抱えるふくおかFGだから、交渉が難航しています。

 ただし人口減少の日本で、別に県のシェアなんか関係ないんじゃないか?、というのが金融庁を始めとする金融界の多数の意見。九州を一つの地域で見れば、まさに地方銀行界は戦国時代の最中なので、ふくおかFGと十八銀行が経営統合しても、公正な競争条件は維持されそうなもんです。

 これが金融庁が最終判断する、と言うのであれば予定調和的に十八銀行とふくおかFGの統合はOK、となったんでしょうが、今回その鍵を握っているのは公正取引委員会。

 公取委は金融界の事情関係なく、競争環境及び法律に基づいてジャッジします。

 実務家という側面と法律家集団とも言える側面を持つ公正取引員会は、あまり目立つ存在ではありませんが、法律の世界では競争法というカテゴリーでバッチリ存在感を発揮しています。

 公取委って、その設立の背景や歴史的な経緯を知ると意外に面白い組織なのですが、あまりにマニアックなのでここでは割愛。まぁGHQの置き土産的な組織だったりします。歴代の公取委の委員長は財務省からの天下りで、委員長は天皇陛下による認証官(意外に知られていせん)。ついでに言うとなぜか北海道大学卒業者が多いことが法曹界では有名な役所です。

 押さえておきたいポイントとしては、公正取引委員会は独立した権限を持つ組織、という点。だから他所の役所が何を言おうと、自分で判断します、とできてしまいます。まぁ十八銀行とふくおかFGの統合は、公取委の委員長が財務省出身なので、後ろから手をまわして・・・、と安直に推測できたりもしますが、普通の役所とは違う組織、一番近いのは裁判所みたいなところなので、そう簡単に根回しができる組織ではありません。

 そんな訳で、法律家集団とも言うべき公正取引委員会を前に、十八銀行とふくおかFGの経営統合はどうやら完全に立ち往生しているようです。

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公正取引委員会の出している条件はハードル高い

 公正取引委員会は十八銀行+ふくおかFGに対して、十八銀行が長崎県内に持っている融資債権を一定の割合で他行に譲渡すれば経営統合を認める、と伝えているようです。ただしそれって簡単に言えば敵に塩を送るのと一緒で、十八銀行にとっては何のメリットもありません。それに何年にも渡り、関係を築いてきた融資先との関係、経営統合するからサヨナラですわ、とは言えませんね。

 同じ業界でシェアの高い企業同士が合併する際に、よく使われる一事業領域のみを他社に売却して競争環境を維持する、という公取委からすればいつもの手段なのですが、今回はとてもではないですが、十八銀行+ふくおかFGが飲みそうではありません。

 ま、それができなければ経営統合は認めませんよ、というのが公取委のスタンスで、報道を見ているとどうやらあまり議論の余地はないようです。

 客観的に考えると、十八銀行+ふくおかFGと公取委の交渉、お互い相当ハードルが高いため、簡単に状況が前に進むとは思えません。何か奇策があれば別ですが、少なくとも公取委のスタンスを変えられる新しいアイディアなりがなければ、時間だけがジリジリ進んでいくような。となると、2018年10月に延期した経営統合も、更に後ろにずれるか、もうやめた、となる可能性も。金融業界の再編、もうやめた、というのが事情は様々ですがそれなりにありますので。

それでも続く九州の地銀再編

 九州と言うと福岡が活気のある街として有名ですが、熊本他の他の九州の街のパワーを九州新幹線で吸い取ってパワーを付けている側面があります。九州の東京とも言うべき福岡は、今後も発展すると考えられますが、他の九州の街は人口減少を迎え結構シンドイと考えられます。

 そんな背景もあり、十八銀行とふくおかFGの経営統合の行方がどうなるかまだ分かりませんが、九州の地銀の再編は今後も続くと予想されます。佐賀銀行、大分銀行という花嫁候補がまだ存在しており(宮崎銀行は地理的に隔離されているので、どうするんだろ)、再編の行方は戦国時代さながらの地図模様で非常に興味深いです。

 ともあれ人口減少は着実に進んでいくので、地銀としては遅かれ早かれ再編の背中を押される形となります。九州はそれでも再編が日本で一番進んでいる地域と言えますが、いずれ日本各地で地銀再編が発生するのではないかと。けど同じ県内同士で第一地銀が合併するような十八銀行+ふくおかFGのケースは、それでも少ないような気がします。


まだ再編は終わりそうにない九州の地方銀行

まとめ

 公正取引委員会という思わぬ強敵に阻まれている十八銀行とふくおかFGの経営統合。公取委の出しているハードルが相当高いので、今後どんな進展となるのか非常に興味深い所です。

 地方銀行再編の先進地域である九州、戦国時代さながらの地図の塗り替えを行っている九州の地銀業界、将来的にはどんな地図が出来上がっているのか、要注目ですね。

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