原油価格は今後まだ下がりそう、出光と昭和シェルの合併と欧米メジャーの設備投資減

 チャートを見ていると、原油価格はまだしばらく下がる、もしくは当面低迷が続くのではないかなぁ、と思ったのでした。

 出光がロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェルの株を買い、経営統合を目指すという記事及び、欧米の石油メジャーが設備投資計画を削減という記事を読んで、丁度良い機会なので、原油価格についてファンダメンタル面とチャート面から色々と考えてみました。(2015年11月4日更新)

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出光が昭和シェルの株を買って、経営統合を目指す

 ロイヤル・ダッチ・シェルが保有する昭和シェルの株式(33.3%)を売りたがっている話、以前から新聞に出ていましたが、最終的には出光が買うようです。

「出光と昭和シェル、「対等統合」で目指すもの」(東洋経済オンライン)

 原油の価格は下がるし、自動車に乗る人は少なくなるし、低燃費車が増えてそもそも車がガソリン大量に食べないしで、結構大変なガソリンスタンドの経営。縮小マーケットでは、規模を持っていた方が有利とばかりに、再編が進みつつある石油業界(いわゆる下流部門)となっています。

 昭和シェルの株式の売却、紆余曲折ありましたが、最終的に射止めたのは出光。出光とシェルの両社のブランドを残しつつ、経営統合を目指すということです。

 ただね、まだしばらくは原油価格の下落が続くのではないかなぁ、と思います。昭和シェルの株を売るのは、世界の石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェル。彼らは世界屈指の情報網と頭脳を持っている訳で、そんな彼らが、表向きな理由はさておき、株を売る!、という判断したのは、当面石油価格の上昇はない=儲からない、と踏んだからではないかと。

 原油価格の下落で、メジャーは上流工程(原油の掘削等)への投資を集中させている、という背景はありますが、原油価格競争の上昇が読めるので下流部門もまだまだ儲かると考えれば、まず売りに出さないでしょうし。

原油価格が上がらないと考えられる、これだけの理由

 株価や為替を見ていれば、ファンダメンタルはそのままトレードには使えない、それどころか負けまくってしまう、ということは散々思い知ることになりますが、それでも敢えて、原油価格がまだ上がらないと考えられる理由を挙げてみます。

  1. シェール・ガス革命の結果、アメリカが自前で石油を手当てできるように
  2. 世界の石油を飲み込んでいた中国の景気後退
  3. イラン産原油が今後国際市場への復帰
  4. OPECは石油価格を意図的に上げるのつもりはないらしい

 管理人は①のシェール革命によって原油市場を取り巻く環境が、その前と後とでは一変している、と考えています。

 原油価格の下落で、シェールガス関連の一部会社が苦況に陥っているとも聞きますが、絶対的なトレンドとしては、世界最大の石油消費国だったアメリカが、石油を自前で手当てできるようになった、という前提が変わらない限り、状況に大きな変化はないのではないかと。

 それに最近のトピックとして、③イラン産原油の国際市場への復帰、も影響が大きいのではなないかと。世界屈指の石油産出国のイラン、これまで経済制裁で国際市場へのアクセスができませんでしたが、今後は大手を振ってイラン産石油を売ることも、買うこともできます。
 経済制裁前は、日本はイラン産石油の大口のお客さんだったので、仮に元の関係が戻るようであれば、国内の石油価格、更に下がる可能性もあります。

 その他②中国経済は失速気味で少なくとも石油の爆食がこれ以上広がる=需要が逼迫、という事はなさそうですし、④OPECは原油価格を安いままにして、生産コストの高いシェールガス潰しの意図も有しているようなので、原油価格に一定の影響力を有しているOPECも原油価格上げる気はないようです。

15.7.31ガソンリンスタンド-min
自動車大国のアメリカが、自前で石油を手当てできるようになったのが大きいです

欧米の石油メジャーも設備投資の削減へ

 原油価格の下落を受け、遂に欧米の石油メジャーも設備投資を減らしたり、資産の売却を行い、身の丈をスリムにするという事態に。

 欧米の石油会社=メジャー、と言えば、業界では泣く子も黙る存在。圧倒的な資金力と技術力そして政治力を有し、世界に君臨しています。確かに冷戦期に比べればその影響力は落ちてはいますが、今も原油業界での存在感は際立っています。

 そんな欧米のメジャーも相次いで設備投資減や資産の売却を表明。2015年11月2日の日経新聞に記載の表が非常に分かり易いです。

15.11.2日経新聞-石油メジャー投資削減-min
日本経済新聞(2015年11月2日)

 メジャーも原油価格の低迷は当面続く、と判断し設備投資削減、そして資産売却に走っているようです。そう考えると、原油価格は目先の相場の波で一旦上昇することはあれど、長期低迷、というのが業界のコンセンサスとなってしまったようです。

 ただしメジャーでも最大手のエクソン・モービルは投資計画を見直さず。次の原油価格上昇に備えた仕込みを継続する様子。最大手だからこそ出来る余裕のある判断なのかもしれません。

 いずれにせよ、欧米のメジャーは原油相場の長期低迷を見越して投資の削減や資産の圧縮を進めているという事実は、原油相場の今後を考える際、ファンダメンタル要因として大きなポイントになると考えらえます。

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原油価格チャートは底に張り付き、今後更に下落の可能性も

 当サイトお得意のチャート分析、原油価格でもやってみます。下記が2007年以降の原油価格(WTI)の月足チャート。

15.11.4WTI月足チャート-2007以降-min
チャートはGCI trading(MT4)より(以下同様)

 100ドルから一気に下落した原油価格は現在、2008年に着けた底値のゾーンの辺りに位置しています。ヒゲで何とかこれ以上の下落を耐えている状態となっています。

 そして次が2014年以降のWTIの週足チャートとなります。

15.11.4WTI週足チャート-2014年以降-min

 2008年に着けた底値のゾーンで一旦反転していますが、結局下値を切り下げています。よって依然としてダウントレンドが継続中。

 尚、もし2008年の底値である36~37ドルのサポレジを下に抜けてしまうと、次のサポレジは26ドル付近に存在。
 月足チャートからは、36~37ドルのサポレジは非常に堅そうではありますが。

15.11.4原油月足チャート-26ドルのサポレジ-min
FXCMのMarketScopeより

 完全に下落トレンドで、現在底値ゾーンにいる原油価格。チャート的には、早期の反転は望めない状況となっています。

 チャート的観点で言えば、原油価格の上昇は、少なくともスクイーズ=収縮の期間がそれなりに経過した後でないと、実現は難しいのではないかと考えられます。

まとめ

 出光と昭和シェルの経営統合ネタ及び、欧米石油メジャーの設備投資減にかこつけて、原油価格についてファンダメンタル要因及びチャートから色々と考えてみました。

 2008年に140ドルを超えていた原油価格、それが今では47ドル程度。もっとすごいのは、1年前に100ドルを超えていた原油価格価格が47ドル程度なのですから、価格の下りようがいかに急なのかが、数字を見るとよく分かります。

 実は目先のチャートだけ見ると、逆張りしたくなるタイミングですが、ファンダメンタル及び長めのチャートを見ると、原油価格の上昇は当面やってこないのではないかと、推察されます。

 そして、そんな中での出光の昭和シェルの株式取得、そして経営統合方針、更に海外ではメジャーも設備投資抑制。石油関連業界を巡る再編は、原油価格下落ととも、国内だけでなくエクソンとモービルが合併したように、海外でもまだ続く可能性もあります。

 鍵は原油価格が握っています。石油業界の株価を見るのであれば、原油価格の動向から当面は目が離せなくなりそうです。

PS 2016年の株式市場を考える時、原油価格は引き続き注意が必要です、下記で原油価格もピックアップしました
「2016年の株式市場で注意しておきたい3つのこと」

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