神戸製鋼が誇る最強の事業は電力事業、沖縄電力を超える発電能力へ

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不祥事に揺れる神戸製鋼ですが、実は神戸製鋼は日本有数の発電能力を有する、電力会社としての一面を有しています。そして事業の多角化を進めた神戸製鋼において、現在は電力事業は会社の屋台骨を支えた最強の事業とも言える存在となっています。

神戸製鋼を支える電力事業について、その内容を簡単に解説いたします。

神戸製鋼の実態は電力会社

不祥事が各部門で発生し先行きに暗雲立ち込める神戸製鋼。神戸製鋼=鉄鋼会社との一般的なイメージですが、鉄鋼会社として国内3位で2位のJFEに大きく水をあけらています。

新日鉄住金、JFEとの国内大手2社との競争のみならず、海外鉄鋼大手との競争もあり、神戸製鋼は鉄鋼事業単独ではなく、事業の多角化を進め生き残りを図って来た、との歴史的経緯があります。

そもそも鉄冷えと言われ、鉄鋼会社冬の時代も考えてみれば20年近く時代が流れていますが、その時代を神戸製鋼は多角化で乗り切っています。

事業多角化の末、本社が各事業部門のマネジメントできなくなり遠心力が働いた結果が今回の不祥事の背景と考えられますが、今回はその問題は横に置いておきます。

そんな事業多角化を進めた神戸製鋼、実は最強の事業部門と言えるのが、意外や意外電力事業。鉄鋼会社冬の時代から神戸製鋼を支え続けた神戸製鋼の電力事業をご紹介。

17/3期の神戸製鋼の部門別損益

神戸製鋼における電力事業の重要性は部門別損益を見れば一目瞭然。そんな訳で17/3期の部門別損益を見てみます。

・鉄鋼 売上高6,206億円、経常利益▲295億円
・アルミ・銅 売上高3,233億円、経常利益120億円
・建設機械 売上高3,104億円、経常利益▲313億円
・機械 売上高1,507億円、経常利益58億円
・エンジニアリング 売上高1,211億円、経常利益28億円
・溶接 売上高822億円、経常利益68億円
・電力 売上高706億円、経常利益130億円
・その他 売上高748億円、経常利益76億円

本業の鉄鋼事業がやはり売上高6,206億円と他部門を圧倒していますが、経常利益ベースでは295億円の赤字。世界的に見れば、鉄鋼会社としては小規模の神戸製鋼の辛さが垣間見えます。

しかしそこから先が神戸製鋼の決算書の面白い所で、様々な部門が様々な形で利益を上げています。鉄鋼会社のハズなのに、アルミ・銅部門+建設機械部門は合算すると鉄鋼事業と同規模の売上高。神戸製鋼が多角経営企業の代表者と言うことがよく分かります。

そして電力事業については売上高こそ706億円と小規模ながら、経常利益は130億円と各部門別でナンバーワンの利益を計上しています。

鉄鋼事業と建機事業は17/3期のように上下の波がある中で、アルミ・銅事業と電力事業が確実に利益を上げてきた、というのが最近の神戸製鋼の姿です。

17/3期もそうですが、電力事業が無ければ神戸製鋼は赤字転落。電力事業は神戸製鋼の黒字の守護神として、地味な存在ながら、活躍してきた事業と言えます。

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神戸製鋼の発電能力は沖縄電力を超える

神戸製鋼は神戸1,2号機の発電所を既に稼働。さらに真岡(栃木県)1,2号機及び、神戸3,4号機の発電所建設建設計画を発表済み。

計6機の発電所の発電能力は約395万キロワット。沖縄電力の電力供給力は約224万キロワットであり、すでに沖縄電力の発電能力を超える存在となりつつあります。(https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/ir/setumeikai/20170517_02.pdf

このように神戸製鋼の発電事業は、既に沖縄電力超えが確実になるような状況。神戸製鋼は会社の中に沖縄電力を抱えているようなものであり、そうイメージすると神戸製鋼での電力事業の大きさが分かろうかと言うものです。

ちなみに四国電力の資料だと17年6月末時点の四国電力の出力合計は634万キロワットであり、神戸製鋼もさすがに原子力発電所を持つ電力会社程の発電能力は持っていません。ただし四国電力の火力発電所の発電能力は373万キロワットであり、神戸製鋼は四国電力の火力発電能力を上回る発電能力を持つことになります。
http://www.yonden.co.jp/corporate/ir/library/summary/pdf/ir_summary.pdf#search=%27%E5%9B%9B%E5%9B%BD%E9%9B%BB%E5%8A%9B+%E7%99%BA%E9%9B%BB%E8%83%BD%E5%8A%9B%27

高炉跡に発電所を建設してきた神戸製鋼

神戸製鋼は神戸市内に高炉を持っていた訳ですが、順次神戸市内の廃止して現在に至っています。そしてその高炉の莫大な敷地に発電所を建設して、発電事業を行い、現在の神戸製鋼の屋台骨を支えるに至っています。

鉄鋼会社として石炭の購入をしていた神戸製鋼としては、発電設備さえあれば鉄を作るために購入していたた石炭を利用するだけで発電事業が出来た、という状況下、社運を賭けた設備投資ではありましたが、見事花が開いた状態です。

阪神電鉄で神戸方面を走っていると、海側にデッカイ黒い箱みたいな建物が見えますが、それが神戸製鋼の誇る発電所。阪神電鉄で神戸方面に向かう機会があれば、一度ご覧あれ。

まとめ

神戸製鋼の電力事業、実は神戸製鋼の屋台骨を支える存在となっています。

今回各事業部門で不祥事が発生している神戸製鋼ですが、さすがに電力事業では不祥事は発生していません。多角化経営の代表とも言える神戸製鋼、今後の進展次第では事業部門の売却という話にもなりかねません。

果たして今後神戸製鋼はどのような道をたどっていくのか。そして屋台骨を支えてきた電力事業の行方はどうなるのか。そんな視点で神戸製鋼の行方を見ると、また違った見た方あるのではないでしょうか。

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