トレーダーから見たソーシャルレンディングの危険性とリスク

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 自らの興味もあって、現在ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)を研究中です。トーレーダーな管理人、ソーシャルレンディングを見る際もトレーダー的な視点で見てしまいます。

 既に各方面からソーシャルレンディングの危険性やリスクは言われていますが、改めてトレーダー目線で見た時のソーシャルレンディングについてまとめてみました。一般的に言われているリスクは当然として、逃げられないリスクをどう回避するか、というのがポイントではないかな、と思います。ただし、一大事が発生した際は、逃げられない可能性もあるので、小口での投資が可能なソーシャルレンディングは、分散投資が何よりも大切と考えます。

元本を割れたことがない日本のソーシャルレンディング

 実は調べていて分かったのですが、日本のソーシャルレンディング業界は、今の所は募集案件で元本割れを発生したことが無い、という素晴らしい実績を有しています。(ただし業界最大手のmaneoについて、前経営体制の際は話は別)

 これって結構すごいことで、元本割れの投資信託やファンドの類が続出している中で、まだプレイヤーが少ないとは言え、大したものです。ではこれがこのまま元本割れゼロで業界として進んでいくかと言えば、そうはならないと考えます。なぜって市場拡大の中でプレイヤーが増えている中、誰かが最初のババを引くのは、必然です。ついでに言えば、一回ババが出ると連続して出てくる可能性もあります。

 ソーシャルレンディング業界の、元本割れ無し、という実績には賞賛を惜しみませんが、じゃあこれがそのまま続くかと言えば、相場が上に行くか・下に行くかを常に考えているトレーダーとしては、どこかでババを引く会社が現れる、と考えてしまいます。

不動産市場の好調を背景に市場拡大を果たした日本のソーシャルレンディング

 海外のソーシャルレンディングの場合、個人に対する貸し付け案件の比率が高い傾向にありますが、日本のソーシャルレンディング案件の大半は不動産絡みとなっています。不動産関連ビジネスは、儲かる時は儲かります。足元、若干不安定要素も出てきていますが、リーマンショックが一段落したここ数年は基本的に不動産市場は好調に推移してきています。

 そして日本のソーシャルレンディング業界は、リーマンショック後からの不動産市場の回復と軌を一にするような形で成長しています。不動産事業は金のかかる事業ですし、資金調達できさえすれば儲かるケースもあります。大口の案件は銀行が主な資金の貸し手ですが、小口となると銀行だけではニーズは拾い切れず、以前はノンバンクがその隙間を埋めるような機能を取っていましたが、2000年代初頭の不良債権処理の過程で不動産融資を手がけてきたノンバンクの多くは姿を消しています。その隙間を埋める形で、ソーシャルレンディングは活躍してきた面があり、かつてのノンバンク的な役割をソーシャルレンディング運営会社は果たしている、と考えられます。(実際、ノンバンク出身の方がソーシャルレンディング業界には多数おられます)

 ある意味で右肩上がりの市場環境の中、成長を果たしてきたソーシャルレンディング、不動産市場が曲がり角を迎えつつある現在、今後その真価が問われる可能性が高いです。

16-11-4ソーシャルレンディング-不動産
日本のソーシャルレンディング業界は不動産市場に支えられています

ソーシャルレンディングの危険性とリスク

 今回のテーマは”ソーシャルレンディングの危険性とリスク”なので、主に負の面に焦点を当てます。リスクの裏にはリターンがあるので、そのリスクを取れば利回り10%というリターンを得ることもできます。

 管理人が考える、ソーシャルレンディングのリスクは①案件のリスク、②運営会社のリスク、③逃げられないリスク、の3点です。

①案件のリスク

 ソーシャルレンディングのリスクその1は案件のリスクとなりますが、コレは当たり前ですね。前述のように不動産案件に偏っている日本のソーシャルレンディング案件、どの案件に投資するかは投資家が自分で決める必要があります。

 不動産案件がリスク高い、と思えば、不動産以外の案件もあります。ただし案件の内容は何であれ、自分で案件のリスクは判断する必要があります。

 この案件利回りが10%オーバーだから、と単に利回りだけで判断すると、思わぬリスクを背負うことになることもあるので、投資案件を選ぶ際には、よーく案件の内容を確認する必要があります。

②ソーシャルレンディング運営会社のリスク

 ソーシャルレンディング投資には、ソーシャルレンディング運営会社のリスクもあります。株やFX(為替)に投資をする際、証券会社やFX会社に資金を預けて大丈夫か?、と疑う方は少数ですが(以前のFX会社はこの視点も大切でしたが、今は大手であればその心配は殆ど無いに等しいです)、まだ事業規模も小さいソーシャルレンディング運営会社に対しては、どうしても運営会社のリスクを考えざるを得ません。

 案件の内容もさることながら、預けたお金をしっかり管理できるのか、という非常に基本的な部分のリスクを考える必要がある、というのが日本と言わず世界のソーシャルレンディング運営会社の実像です。

 例えば預かった資金を会社の資金が厳密に分別管理できていない場合、投資家の資金が運営会社の運転資金に回ってしまう可能性すらあります。この投資家の資金と会社の資金の分別管理は、投資業務の監督官庁である金融庁が投資家保護の観点から最も気を遣う分野であり、実際に2015年にクラウドバンクが金融庁から顧客資産の分別管理を適切に行っていないとして、業務改善命令+業務停止命令を受けています。

 ちなみにFX業界も金融庁の指導はかつて通って来た道なので、ソーシャルレンディング業界もかつてのFX業界と同じく、あるべき姿に向かいつつある、と言えなくはありません。

 しかしながら十数社ある日本のソーシャルレンディング運営会社の全てを金融庁が常時チェックしているかと言えば、そんな訳はないので、この会社に自分の資金を預けられるかどうか、という点は常に自分で判断する必要があります。

 案件の内容も大切ですが、運営会社が信頼できるかどうかという点は、資金を守るという観点で案件以上に大切な要因となります。

③逃げられないリスク

 トレーダー的視点で言うと、ソーシャルレンディングの一番のリスクは逃げられないリスク。まぁソーシャルレンディングは相場制の商品ではないので当たり前なんですが。

 どういうことかと言えば、ソーシャルレンディングは1年なり半年なり期限が決まっていて、その間は換金不可能。もしその間にリーマンショク的な大事故が発生すれば、下手すると全損の可能性があります。相場性の商品であれば、損切で投げてしまえば少なくとも値段さえ付いてくれれば(ここも結構問題なんですけどね)、いくばくかの資金回収が可能ですし、これはソロソロやばいんでないかい、と思えば爆発する前に、火傷程度で撤退することも可能です。

 一方、一度投資をしたら原則途中換金できないソーシャルレンディングは、途中で何かあった場合でも指を加えて見ているしか手はありません。運営会社の回収を信じて待つだけ。だから信頼できる運営会社かどうかという点が、ここでも重要になってきます。

 ソーシャルレンディングは株・投資信託や為替と違い、相場性の商品ではないので、一度投資すれば平常時であれば相場を気にすることなく安心して様子を見ていられます。しかしながらそれは、逆に言えば、何か問題が発生しても自らでは何もできない、ということの裏返しでもあります。

 資産運用は面白くなくていい、と言うのは事実だと思いますが、ソーシャルレンディングは逃げられないリスクを取っている、と言うことは忘れてはいけません。

 逃げられないリスクを取っている代わりに高い利回りをもらっている、と考えると、ソーシャルレンディングに対して新しい視点が得られるのではないかと。利回りという観点で言えば、利回り数%の金融商品はソーシャルレンディングに限らず日本のREITや高配当の海外株式ETF等で存在はしています。ただし利回り約10%ともなると、ソーシャルレンディング以外の金融商品はお目にかかりません。

 よって特に利回り数%のソーシャルレンディングに投資する際は、相場変動のリスクと逃げられないリスクどちらを取るか、という点も考えたほうがよいと考えます。利回り数%であれば、相場変動のリスクが取れるのであれば、まだ検討可能な商品もありますので。

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ソーシャルレンディング投資のリスクの回避方法

 ソーシャルレンディングのリスク回避方法としては、①分散投資を行う、②待つ、③可能な限り毎月分配型の案件に投資する、という点が上げられます。

①案件・運営会社・投資タイミングの分散を行う

 実はソーシャルレンディングは1万円から投資可能な案件もあるので、分散投資に適した金融商品と言えます。株だと1株数十万円とか普通にあるので、分散投資と言うと、相当の資金量が必要になりますが、ソーシャルレンディングの場合は少額でも分散投資が可能です。

 分散投資を行う場合、①案件の分散、②運営会社の分散、③投資タイミングの分散、の3つの分散が必要。

 ①案件の分散、②運営会社の分散は上記でリスクについて説明しているので、そのリスクの回避のためです。③投資タイミングの分散は、いくら案件や運営会社を分散しても、仮に不動産市場が一気に崩壊してしまえば、分散効果もなくなってしまう可能性がありますが、投資のタイミングをずらしておくことで、逃げ切りや現金のままにしてありました、ということが可能となり、被害を避けられることがあります。

②待つ

 投資というと、どうしても投資資金をMAXまで埋めてしまいたくなりますが、納得できる案件が出てくるまで待つ、というスタンスが大切。これはソーシャルレンディング投資に限った話ではありませんが、トレーダー的には、待てないトレーダーはまず勝てません。

 投資家の好きなタイミングで投資が出来て、それで勝てれば苦労しません。ここを分からないと、常にポジションを持ってポジポジ病のままなかなか勝てない・・・、というパターンになりますが、ソーシャルレンディングも同様。この案件なら投資してもいい、という案件が出てくるまで色々な案件を見ながら待つべきです。待てないのであれば、ドルコスト平均法的に、少額の資金を少しずつ投資すること。コレが次善の策となります。

 ETFや投資信託の場合、期間が無いので、好きな時に開始してドルコスト平均法で少額の投資を続ける、というのが王道ですが、期間のあるソーシャルレンディングは同じ案件で追加投資はできないので、”待つ”というスタンスが、トレード同様大切と考えます。

③可能な限り毎月分配型の案件に投資する

 ソーシャルレンディングの案件は、毎月や四半期の定期的な分配を行う案件と、満期時に一括して分配を行う案件の2種類に分けられます。

 毎月分配型の案件であれば、仮に案件自体が危機的な状況に陥った場合でも、手前で回収している分は手元に残るので回収が殆どできませんでした・・・、という事態は避けられる可能性があります。(案件の成立直後にやられると、意味ないですが・・・、ここは運営会社の目利きを信頼するしかありません)

 毎月分配型の案件は期間が長い等の成約はありますが、手前で回収することができる毎月分配型を始め定期的な分配を予定している案件であれば、もしもの時のリスクを低減することは可能となります。

 世の中そんなにうまくできていないので、そんなに数はありませんが、出来るだけ手前で資金回収をできる案件、というのは留意すべきと考えます。

逃げられないリスクを考えると利回り約10%は欲しい所

 高利回りの後ろには当然リスクもあるソーシャルレンディングの投資。

 トレーダー的な視点では、何はともあれ”逃げられない”というリスクがソーシャルレンディングの一番のリスクではないかな、と思います。数%の利回りであれえば、イザという時に逃げることができる国内REIT、海外ETF、高配当外国株といった選択肢が取れます。ちなみに損切できない、と言うのであれば、話は違ってきますが、資産運用の王道ドルコスト平均法である程度カバーできます。(当然、投資対象を厳選する必要があります)

 よって逃げられないリスクを取るソーシャルレンディングの投資を考えると、利回り約10%は欲しい所です、正直な話。ただそうなると投資対象が一気に狭まってしまいますが、トレードで好きなタイミングでポジション取って勝てないのと一緒で、そんな簡単に好条件の案件はありませんって。だからよい案件が出てくるのを待つのが大切、ということになります。

16-11-8逃げる
残念ながら、リスクからは逃げられません

利回り約10%の案件を提供しているソーシャルレンディング運営会社

 利回り約10%の案件を提供しているソーシャルレンディング運営会社は、日本においても存在しています。

クラウドクレジット
ラッキーバンク
トラストレンディング

 利回り約10%と高い利回りの案件を中心に揃えている、主なソーシャルレンディング運営会社は上記3社となります。

 クラウドクレジットは海外案件特化というユニークな存在。ラッキーバンクは不動産案件特化、トラストレンディングは不動産に特化とは表明していないものの、案件は不動産案件オンリーなので実質的に不動産案件特化となっています。

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まとめ、ソーシャルレンディングはポートフォリトの一環として考えるべき

 利回りの高いソーシャルレンディングへの投資ですが、それでもまだ市場自体が立ち上がったばかりで、今後何が起こるか分からない部分がありますので、運用資金を全額突っ込むというのは、こちらもリスクが高いと考えます。よって運用資金の一部をソーシャルレンディング投資に充てる、というスタンスも必要となります。
 貯金の全部を、ソーシャルレンディングに突っ込む勇気は少なくとも管理人にはありません。リスク覚悟でする分には構いませんが。

 現状、税制(総合課税)や運営会社の安心感という面で他の投資商品と比べると不利な面を有しているソーシャルレンディング投資。ただし案件によっては利回り10%という案件も存在しており、じっくり選べば高いリターンを得られる可能性があります。

 高いリターンの後ろには当然リスクも存在している、という理解は大前提として必要ですが、海外を中心に市場が拡大しているソーシャルレンディング市場。日本でも市場拡大をしているので、投資するかどうかはさておくとしても、注目分野であることは間違いありません。

 ご興味あれば、まず口座開設からしてみてはいかがでしょうか?

 徐々に各方面で取り上げられる機会も増えているソーシャルレンディングの世界、今後も注目していこうと思います。

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