GMOインターネットが仮想通貨事業での損失計上の結果、2018年12月期に▲207億円の最終赤字を計上。2007年12月期に消費者金融事業からの撤退で▲175億円の損失を計上していますが、それを上回る損失額となります。
しかし同社の本業は順調そのもので、屋台骨はしっかりしています。金融事業で高い勉強代を2度も払うことになったGMOインターネット、次回こそ捲土重来を果たす事ができるでしょうか。
概要
GMOインターネットの2018年12月期は▲207億円の最終赤字
GMOインターネット<9449>が2018年12月期決算を発表しました。その内容は下記。
売上高 1851億円
経常利益 191億円
当期純利益 ▲207億円
既に事前に仮想通貨事業で減損を行う等のリリース済みでしたが、仮想通貨関連事業で減損を行い特別損失を▲372億円計上の結果、当期純利益は▲207億円と大幅な赤字を計上。
昨年度から投資を開始していた仮想通貨の特にマイニング事業がやらかしてしまった形であり、同社は高い勉強代を支払う事となっています。
仮想通貨の価格がここまで下落して低迷するとは誰も予想していなかった訳ですが、結構な額の投資を行ったGMOは直撃弾を被弾する形となりました。。。
消費者金融事業でやられて2007年12月期は▲175億円の赤字を計上
GMOの大赤字は今回が初めてではなく、2007年12月期に消費者金融事業でやらかして、▲175億円の最終赤字を計上しています。
(https://ir.gmo.jp/pdf/presen/gmo_h200214.pdf)
買収した消費者金融が過払い金の返還請求で経営が一気に苦しくなり、GMOは一転少雨飛車金融事業から撤退を決定。それに伴い2007年12月期は売上高463億円、経常利益▲96億円、当期純利益▲175億円という巨額の赤字を計上しています。
ちなみにその後、売れるものは全て売るモードで同社は苦境を脱した訳ですが、仮想通貨事業撤退に伴う最終赤字は▲207億円なので、規模としては今回の方が上です。
ただし当時に比べ同社も体力が付いているのと、上場している子会社の株式という虎の子が存在しており、今回は消費者金融事業からの撤退時のような大騒ぎにはなっていません。
本業は好調に推移しており営業利益は増益を果たす
GMOの2018年12月期決算は▲200億円を超える赤字が目立ちますが、もう少し見てみると、実は本業は儲かっていると気付きます。
営業利益217億円は対前年同期比で+23.5%増、経常利益191億円は同+10.5%増。下方修正を出す上場企業が増える中で、営業利益が+20%以上増加しているのは大したものではないかと。
インターネットインフラとインターネット金融の2本柱が増益
GMOインターネットの屋台骨を支えるのは、インターネットインフラ事業とインターネット金融の2つの事業。インフラ事業はドメイン管理・EC支援・決済の3部門から構成されています。上場子会社のGMOペイメントゲートウェイ<3769>の損益は当部門に取り込まれています。
またインターネット金融事業は世界No1FX会社でもあるGMOクリック証券を傘下に持つ、これまた上場子会社のGMOフィナンシャルHD<7177>の損益が取り込まれています。
GMOグループを支えるインターネットインフラ事業とインターネット金融事業ですが、インフラ事業は決済事業を中心に絶好調で、部門別の営業利益は対前年同期比で+35.0%増。インターネット金融事業もFX取引伸びるなどで同+34.7%増。
インターネット金融事業はFX事業が中心であり相場次第の面はありますが、インターネットインフラ事業はそんなに大きく上下に振らない事業と言えます。2018年12月期はインターネット金融事業が堅調に推移しており、運も味方している面はありますが、それでもインターネットインフラ事業の成長は前向きに評価してもよいのではないかと。
金融事業への挑戦は続く
入れ込んだ仮想通貨事業は損切する形となったGMOインターネットですが、問題は次の成長をどこに求めるか、という部分。
同社は昨年GMOあおぞらネット銀行を開業しており、同行の開業により、証券=GMOインターネット証券、決済=GMOペイメントゲートウェイと、主要金融機能をグループに持つに至っています。
なんだ楽天と同じじゃないか・・・、と思えなくはありませんが、当面は地道な種まきが実りつつあ面もある金融事業をケアして、次の成長に繋げる計画。
楽天は三木谷社長が日本興業銀行出身で金融っぽい面がその昔からありますが、GMOは純粋に事業会社からスタートしているので、見事にFXに続き金融事業の立ちあげに成功すれば、面白いのではないかな、と思います。そー言えばソクトバンクの孫社長も金融=投資畑です。
FXでは世界No1の座を築いたGMOグループが、他の金融領域でも存在感を示す事ができるのか注目されます。
しかし消費者金融事業に続き仮想通貨事業でも高い勉強代をはらうGMO、こんな2度も大失敗できる経験って滅多にないのではないかと。
・仮想通貨事業での大赤字で材料出尽くしを好感し、決算発表翌日のGMO株価は急騰
※「画像出典:マネックス証券/日本株取引ツール トレードステーション」
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まとめ
▲200億円以上の赤字を計上しても、経営的にはビクともしないGMOグループって大したもんだと思います。ただし仮想通貨事業で高い勉強代を払うことになったのも事実。
実はGMOグループって金融事業でやらかしたの消費者金融事業に続いて2回目だったりします・・・。消費者金融事業は▲156億円の赤字を計上して撤退、そして今回は仮想通貨で▲200億円を超す赤字。金融事業にこだわるGMOグループですが、高い勉強代を再び支払うことになりました。
仮想通貨で支払った高い勉強代を今後の成長に活かす事ができるのか。今後のGMOインターネットの業績に注目です。
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