レオパレス21が2019年3月期Q3決算で▲439億円の赤字を発表しました。▲439億円の赤字を計上したものの、1000億円を超える自己資本を有しており、まだ倒産が危ぶまれる状態ではありません。
しかしながら1990年後半、同社はグアムでのリゾート開発に失敗して、倒産寸前にまで追い込まれた歴史が存在しています。
レオパレスは今回の危機も無事に克服できるのでしょうか?今回は本業の問題だけに、今後の状況の推移が注目されます。
概要
レオパレスがQ3で▲439億円の赤字を計上
テレビ東京の「ガイアの夜明け」がテレ東らしくなく、上場企業を相手に不正追及キャンペーン的に追いかけているレオパレス21<8848>の施工不良問題。
遂にレオパレス側が観念して、2019年3月期のQ3決算で▲439億円の赤字を発表しました。補修工事の費用負担等を見込んで、大幅に損失引当金を積み増した結果の大赤字です。
数字としては下記となっています。
2019年3月期Q3(4~12月)
売上高3763億円、経常利益62億円、四半期純利益▲439億円
▲439億円の赤字計上後も1000億円の自己資本を有し倒産リスクは顕在化せず
▲439億円の赤字を計上したレオパレスですが、それでもまだ1074億円の自己資本を有しています。確かに前年同期の1594億円に比べれば約2/3に自己資本比率も減ってはいますが、自己資本比率35%であり倒産や企業の存続が問題視される状態ではありません。
短期借入金35億円、社債136億円、長期借入金190億円の合計361億円に対し、現預金892億円もあって実質的には無借金会社。更には投資有価証券172億円もあるため、資金的にも何ら問題ない状態です。
今回の問題が発生しなければ財務的には極めて良好な会社であったレオパレスですが、これまでの蓄積が危機的状況下でいきています。
後述しますが1990年代後半、レオパレスは倒産寸前に追い込まれています。そこからここまで財務的な優良会社に立ち直っており、過去の倒産寸前にまで至った教訓があればこそではないかと。
・レオパレス21株価-週足チャート
※「画像出典:マネックス証券/日本株取引ツール トレードステーション」
マネックス証券Tradestation
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Q2時点で営業キャッシュフローは赤字に
十分な体力があり目先スグに会社がどうこうなってしまう可能性は低いレオパレスですが、Q2時点で営業キャッシュフローが▲11億円の赤字となっており、徐々にその基礎体力を失いつつあります。
Q3の決算短信にキャッシュフロー計算書は開示されていませんが、Q2より状況が改善しているとは思えずQ3も営業キャッシュフローは赤字と予想されます。
いくら体力があるといっても営業キャッシュフローの赤字が続けばいずれ資金繰りが破綻します。今後レオパレスの営業キャッシュフローがどのような状況となるのか、という点に注意が必要となります。
倒産の危機があったレオパレス
実はレオパレスは1990年後半に倒産の危機を迎えていました。グアムのリゾート開発に大金を突っ込んだものの見事に失敗し(バブルの時代は既に終わっていましたが)、倒産の危機を迎えています。
1998年3月期は純資産▲267億円となり、債務超過に。レオパレスのサイトから拾える有価証券報告書の純資産の推移がなかなかヘビーです。
1996年3月期 純資産▲166億円
1997年3月期 純資産▲243億円
1998年3月期 純資産▲267億円
1999年3月期 純資産▲179億円
2000年3月期 純資産▲125億円
2001年3月期 純資産173億円
今の会計制度だと恐らく破綻の可能性が高かったレオパレスですが、どうにか本業の黒字でしのいで、無事に生き残っています。(ちなみにちょうどキャッシュフロー計算書や連結決算が導入された頃と同じ時期です)
1990年代後半、レオパレスの経営は大丈夫か?、という話は結構耳にしましたが、今や昔で覚えている人少ないのでは?銀行とかがつぶれた時代によく生き残ったと思います。
実は倒産寸前にまで追い込まれていた歴史をレオパレスは持っていた訳で、人間も企業も歴史を背負って生きているので、今回の施工不良の問題は、かつての倒産寸前の危機的状況の存在が多かれ少なかれ影響しているのでは、というのが管理人の見立てです。
ただし前回の経営危機はリゾート開発でやらかしてしまった一時的な問題と言えますが、今回は本業で問題が発生しています。無事に鎮火すればよいのですが、鎮火できないようだと、いくら体力があるとは言っても時間の問題で経営は苦しくなります。
まとめ、今後の推移は注視する必要あり
足元は充分な体力があって、倒産云々の問題はまだないレオパレスですが、同社の賃貸住宅を借りる人がいないと、アッというまでに経営は苦しくなります。ただでさえアパート余りのこのご時世、悪い評判が立ってしまったレオパレスの物件は敬遠されてしまい、落ちてしまったレオパレスブランドの回復は簡単ではありません。
レオパレスの問題の発端は、サブリースの期間内なのにオーナーへの支払いを安くするようお願いした所から始まっていますが、店子が入らないと再度家賃引き下げのお願いの可能性だってあります。レオパレスは自社物件もありますが、物件はオーナーが持っているケースもあるため、レオパレスの経営悪化は単にレオパレスの会社だけに影響は留まりません。
失墜したしまったブランドの回復は簡単ではありません。果たしてレオパレスが今回の問題について、体力があるうちに無事着地させることができるのか、今後の数字の推移は要注意だと思います。
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