上場承認が下りた、日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命の3社。第一弾としてゆうちょ銀行(東証1部7182)の株価について、あーでもない・こーでもない、とやってみましたが、第2弾はかんぽ生命(東証1部7181)。
関連記事:ゆうちょ銀行の予想株価1,400円、PERは割高でPBRは割安で悩ましい・・・
実は3社で一番馴染みが薄かったりしますが、それでも日本屈指の生命保険会社の上場となります。大手生保では、第一生命とT&Dホールディングス(太陽生命と大同生命の持ち株会社)しか上場していないので、国内では3番目の生保上場となります。
そんな、かんぽ生命の上場時の売出予想(想定)株価は2,150円!
そして最終的に売出の株価は2,200円で着地。この2,200円という株価、PERで見れば割高、PBRで見れば業界平均、配当利回りでみれば業界平均より高いと言う状態。しかしながら、良くも悪くも特徴のない値付けとなっていました。
そして迎えた11月4日のかんぽ生命の上場。初値は2,929円そして終値3,430円(+56%)となり見事スタートダッシュに成功。オメデトウございます!(2015年11月5日更新)
関連記事:日本郵政の予想株価1,350円、ヤマト運輸ではなくメガバンク(銀行)が類似会社だった!
概要
かんぽ生命の株価を考える上での基礎データ
かんぽ生命の株価を考える上での基礎データを、目論見書から下記のように抜き出してみました。
当然、この数字だけでは何が何だか分からないので、かんぽ生命の売出想定株価2,150円を用いて、各種指標を計算したらどうなるかをやってみました。
かんぽ生命の予想株価2,150円の場合のPER、PBR、配当利回り
上記の基礎データに基づき、かんぽ生命の予想(想定)株価2,150円でPER、PBR、配当利回りを算出したものが下記となります。
PERが約15倍というのは、こんな感じ?PBR0.66倍というのも資産規模を考えればこんなものか。配当利回りも2%内外というのは、高くもなく・低くも無く。
尚、配当について、ゆうちょ銀行は2倍以上に増やす予定、という記載が業績予想の開示資料にありましたが、かんぽ生命は業績予想の開示資料に、同様の記載はありませんでした、かんぽ生命も配当性向を増やす意向、とこれまで報じられていますが、証拠となる記載が見つからなかったので、2016/3期の配当金は開示資料のまま56.0円として予想配当利回りを計算しました。
もしかんぽ生命が2016/3期の配当を2倍にする、というこであれば、配当利回りは5.2%。結構おいしい配当利回りとなります。
※PERとPBRについては下記記事をご参考ください
第一生命、T&D-HD(太陽生命・大同生命の持ち株会社)とゆうちょ銀行の株価指標を比較
生命保険会社は大手と言えども上場している会社は第一生命とT&D-HD(太陽生命・大同生命の持ち株会社)に限られます。ゆうちょ銀行のように、メガバンク3つと比べれば一目瞭然、ということにはなりませんが、それでも傾向値を見ることが出来るので、かんぽ生命と第一生命とT&D-HDの株価指標の比較を行っていました。(2015年9月10日終値を利用)
かんぽ生命と第一生命、T&D-HDの株価指標を比較してみると・・・、
・PERではかんぽ生命は割高
・PBRではかんぽ生命は業界の平均値と言える
・配当利回りはかんぽ生命は業界平均と比べ確実に高い
、という状態になっています。
生命保険という基本的に息の長い商品を扱う業界、配当利回り重視で株を買うのであれば、かんぽ生命という選択肢は”あり”と言えそうです。(ただしあくまでも生保業界内での比較)
かんぽ生命の予想株価、良くも悪くも平凡な値付けだな、オイ
かんぽ生命の2,150円という予想(想定)株価、各方面に対して無理のない株価と言えます。
PERから見れば、なるべく高い値段で株を売りたい政府の意向にもそっているし、PBRで見ればほぼ業界平均の数字(IPOディスカウントはありませんが)、配当利回りでみれば個人投資家も確かに興味をしめす水準。
三方よし、で見事に着地してますね。まぁ政府の意向を忖度しすぎて個人投資家が買いそうにない、というヘンテコな状況は避けれれそうですが、ただね面白くない値付けです。
確かに業界平均と比べれば配当利回り2.6%(16/3期予想)というのは悪くないのですが、ゆうちょ銀行だって3%オーバーの予定だし、チョット探せば配当利回り3%オーバーの銘柄まだあります。その中で敢えて配当狙いでかんぽ生命の株を2,150円で買いたいと思うかどうか。
元来報じられていたように配当を2倍に増やします、となれば、もう配当利回り5%オーバーだから長期戦覚悟で買ってしまえー、ともなりますが、現状だとそうも行きません。
生命保険って地味な世界でもありますが、かんぽ生命の株価も地味な値段の付け方になっていると感じます。
で、そんな長い話はどうでもいいから、公募で買ったら初値で儲かるのか?、というIPO投資の醍醐味を味わいたい方は、下記の過去の民営化案件の検証記事をご覧ください。過去の民営化案件は8件あって5勝1敗2引分け、勝率62.5%となっています。
過去の民営化案件、NTT以降の全銘柄を下記の記事で検証しています。
かんぽ生命の売出価格(株価)の仮条件1,900~2,200円に決定
10月7日(水)にかんぽ生命の売出価格(株価)の仮条件が発表されました。
・売出価格(株価)の仮条件→1,900~2,200円
・予想PER→13.57~15.71倍
・PBR→0.58~0.67倍
想定公開株価を2,150円としていたかんぽ生命、仮条件の株価が1,900~2,200円というのであれば、こんな所でしょう。そして昨今のIPOの市場環境と、政府の面子を考えれば証券会社も頑張るので、かんぽ生命の売出価格(株価)は仮条件の上限2,200円で決定されると推察されます。
尚、かんぽ生命の売出価格決定はゆうちょ銀行と同じく10月19日(月)となっています。一方、日本郵政の売出価格決定日は10月26日(月)と1週間後となっているので、ご注意ください。
かんぽ生命の売出価格(株価)は2,200円で決定
予想通り、かんぽ生命の売出価格は仮条件の上限価格2,200円で着地しました。
既に指摘の通り、2,200円という売出価格、PERで見れば割高、PBRで見れば業界平均、配当利回りでみれば業界平均より高いと言う状態。配当配当、という記事を見ますが、配当目的だけなら他の上場会社で他に配当利回りの高い銘柄もあります。
果たして上場後、今後個人投資家がどんな判断をするのか、非常に興味深い所です。
かんぽ生命の初値は2,929円で終値3,430円(+56%)
11月4日(水)に無事にかんぽ生命は東証1部への上場を果たすことが出来ました。
かんぽ生命の初値は2,929円で終値3,430円(+56%)!
人気があり多くの証券会社で売切れとなったかんぽ生命、初値そして初日の終値と見事に売出価格(2,200円)を大幅に上回りました。
オメデトウございます!
尚、上場初日の終値ベースで郵政3社の株価及び値上がり率は下記のようになりました。
・日本郵政→1,760円(売出1,400円:+26%)
・ゆうちょ銀行→1,671円(売出1,450円:+15%)
・かんぽ生命→3,430円(売出2,200円:+56%)
かんぽ生命の株価まとめ
面白みに欠ける値付けではありましたが、上場初値そして上場日初日終値と売出価格を上回る株価がつき、かんぽ生命の上場スタートは成功と言えます。
問題は今後。初値や上場初日天井となるIPO銘柄も多い中、かんぽ生命は今後も株価を伸ばしていけるのか?生保業界では日本生命・第一生命よりデカイ、かんぽ生命の上場。今後は成長戦略や配当政策でうまく株式市場にアピールし、投資家の賛同を得られるかが課題とななります。
ただ、何はともあれ上場の成功オメデトウゴザイマス!今後の堅調な株価推移に期待したいですね。
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