日本郵政の予想株価1,350円、ヤマト運輸ではなくメガバンク(銀行)が類似会社だった!

 上場承認が下りて、11月4日に親会社の日本郵政、子会社のゆうちょ銀行・かんぽ生命が3社で親子上場を行う日本郵政グループ。

 これまで、ゆうちょ銀行とかんぽ生命について、予想される株価について記事を書いて参りました。

関連記事①:ゆうちょ銀行の予想株価1,400円、PERは割高でPBRは割安で悩ましい・・・
関連記事①:かんぽ生命の予想株価2,150円、同業他社より配当はいいが特徴の無い値付け

 ハイ、最後はイヨイヨ親玉の日本郵政です。

 日本郵政の上場時の売出の予想(想定)株価は1,350円!そして売出価格(株価)は1,400円!

 調べて見ると驚いた!何と日本郵政の類似会社は永遠のライバル・ヤマトHD(ヤマト運輸)ではなく、メガバンクとなっています。けど日本郵政の部門別損益を見れば、納得できるお話。 

 ヤマトHDと比べると大幅に安く見える日本郵政の想定株価ですが、メガバンク株と比べると若干割安という程度。意外な事実を発見。

 しかしそれでも上場初日の終値は1,760円と売出比で+26%の上昇。上昇率はゆうちょ銀行を上回りました。投資家の期待が感じられるとともに、上場後に日本郵政の真価が問われそうです。(2015年11月5日更新)

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日本郵政の株価を考える上での基礎データ

 まずは最初に日本郵政の株価を考える上での、基礎データを下記のように抜き出してみました。

15.9.11日本郵政の株式上場基礎データ-min

 日本郵政は国際会計基準で決算書を作成。国内基準でも参考数値として数字は開示されていますが、計画数字は国際会計基準ベース。

 ただし基礎データだけ見ても、訳わかめなので、次に日本郵政を想定株価1,350円で計算したらどうなるかをやってみました。

日本郵政の予想株価1,350円の場合のPER、PBR、配当利回り

 基礎データに基づいて、日本郵政を予想(想定)株価1,350円でPER、PBR、配当利回りを算出したのが下記となります。

15.9.11日本郵政のPER,PBR,配当利回り-min

 日本郵政の各種株価指標、全体的に若干低目(割安に設定)のような感がします。特に配当は2016/3期は計画の2倍以上にする、と開示資料にも記載があるため、単純に2倍しても配当利回り3.41%となります。

 日本郵政は減益決算での株式上場(IPO)となるので、それを踏まえて株価を低く抑えたのでしょうか?日本人の株式保有者のすそ野を増やしたいので、割安に設定しました・・・、何て甘い世界では少なくともないと思いますが。。。

※PERとPBRについては下記記事をご参考ください

日本郵政は何で利益を上げている会社?→金融事業です

 日本郵政=郵便局、というイメージを一般的にはもっていますが、こと株式上場となると、それだけではスミマセン。で、一体どんな事業で利益を上げているの?、という部分がポイントになってきます。

 ここで2015/3期の日本郵政のIR資料から、部門別損益を抜き出してみます。

・日本郵政→経常利益2,687億円
・日本郵便(郵便事業)→経常利益478億円
・日本郵便(郵便局事業)→経常利益322億円
・ゆうちょ銀行→経常利益5,935億円
・かんぽ生命→5,293億円
・合計→経常利益12,250億円

「日本郵政グループ平成25年3月期決算の概要」

 全体の経常利益12,250億円中、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の2社の金融事業が経常利益の90%以上を占めています。一般的なイメージとは異なり、
既に日本郵政グループはその収益の殆どをゆうちょ銀行とかんぽ生命という金融事業から上げている
、という構図になっています。

 ちなみに郵便事業・郵便局事業は黒字となっていますが、郵便事業はゆうちょ銀行・かんぽ生命から窓口代行手数料を年間約1兆円弱を徴収しており、それがなければ赤字です。

 日本全国津々浦々まで郵便サービスの提供を義務付けられている郵便局。その実態は、金融事業の利益で郵便事業を維持している、という図になっています。

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日本郵政の類似会社は?実はヤマト運輸ではなく銀行だった!

 なぜわざわざ日本郵政の部門別損益を見たかと言えば、日本郵政と比較対象する企業を考えたかったため。通常であれば、郵便局の永遠のライバル、ヤマト運輸を出すところですが、日本郵政グループを全体で見た時、利益を出しているのは間違いなく金融事業であり、類似の上場会社はゆうちょ銀行・かんぽ生命で利用した5社を利用することにしました。(株価は9月10日終値)
 親子上場の矛盾がここに出ていますが、そこは政府の政策判断であり、スルーします。。。

15.9.11日本郵政の類似会社比較-min

 参考までにクロネコヤマトのヤマトHDの指標も記載しました(結構重要です)。

 この表を見ると一目瞭然ですが、日本郵政の予想(想定)株価は、銀行を参考に算出されている、と読むことができます。PER、PBR、配当利回り、総合的に見てメガバンク3行の数字に近い数字となっています。

 日本郵政=郵便局→ライバルはクロネコヤマト、と連想ゲームをして、ヤマトHDを類似会社に考えると大怪我します。

 日本郵政とヤマトHDを比べれば、確かに日本郵政の想定株価はPERとPBRは大幅に安く設定されており、配当利回りに至っては3倍以上、これは買い!、と言うことになります。

 まぁ株価は期待感で買われる部分も大であり、日本郵政の株を買う殆どの方がヤマトより割安、と考えれば、想定株価は非常に割安、ということになりますが、少なくとも機関投資家と言われる方々は”日本郵政は金融業が柱”との考えを取る、と言うことはお忘れなきよう。チャート屋の管理人でも、エクセル使うとこれくらいは出せてしまいました。

 と言うことで、日本郵政株はヤマトHD(ヤマト運輸)株より割安、というお話、今後色々な所で流れてきそうですが、こんなカラクリがあるので、知っておいて損はないハズです。

 メガバンク3行と日本郵政の株価を比較すると、配当が若干有利な点を除けば、ほぼ同水準。IPOディスカウントしろよ、というご意見は、配当利回りの部分で反映させました、と言うことかもしれません。

 ヤマトHDの株価、もう少し詳しく見たいという方は、下記記事でヤマトHDの株価分析と予想も行っているので、ご参考ください。

15.9.11日本郵政の目論見書-min
日本郵政の予想株価はメバガンクの株価を参考に設定

日本郵政株を銀行株と考えれば買えるかも?

 今回の日本郵政グループ3社の上場、日本郵政以外の2社の株は買える、というご意見をよく聞きます。確かに事業の将来性という観点では、実質赤字の郵便事業を抱えている日本郵政より、ゆうちょ銀行・かんぽ生命に将来性を見て取るのは極めて妥当です。

 ただし日本郵政はゆうちょ銀行の親会社。今回の予想(想定)株価のように、日本郵政=銀行の親会社と考えれば、上記の株価比較を見れば、PERを除けばPBRは安く設定されているし、配当利回りも高め、意外に日本郵政買えるかも?

 と、他人と違う意見を入れてみました。あくまでも日本郵政の予想(想定)株価だけを見た意見です。

 ファンダメンタルを見ると、日本郵政は買えません。将来性もそうだし、ゆうちょ銀行・かんぽ生命からの窓口事務の委託金なくなったらどうなるんでしょ・・・。

 けどやっぱり、公募で買って初値付近で売るIPO投資に興味ある人の方が多いのでは?
 過去の民営化案件は8件あって5勝1敗2引分け、勝率62.5%。IPO投資と言う観点では、この確率に乗っかれるかどうかです。

 過去の民営化案件、詳しくは下記記事をご覧ください。

日本郵政の売出価格(株価)の仮条件1,100~1,400円に決定

 10月7日(水)に日本郵政の売出価格(株価)の仮条件が発表されました。

・売出価格(株価)の仮条件→1,100~1,400円
・予想PER→12.91~16.43倍
・PBR→0.32~0.41倍

 元々、公開時の予想株価1,350円とされていた日本郵政、仮条件が1,100~1,400円となり、政府としてはまずは一安心と言う所。
 あとは証券会社の腕の見せ所。昨今の例で言えば、仮条件の上限で売出価格が決まることが大半であり、政府の面子もかかって来るので、日本郵政の売出価格は仮条件の上限1,400円で決定するのではないかと推察されます。

 尚、日本郵政の売出価格の決定は10月26日(月)となります。ゆうちょ銀行とかんぽ生命の売出価格決定日10月19日(月)から1週間後ろになっています。

日本郵政の売出価格(株価)は1,400円に決定

 10月26日(月)に日本郵政の売出価格が決定されました。その日本郵政の売出価格は、仮条件の上限1,400円。
 ハイ、予想通り仮条件の上限で決定されました。まぁ、ゆうちょ銀行、かんぽ生命も仮条件の上限で決定されているので何ら驚くには値しません。

 ちなみに証券会社では、日本郵政はなかなか購入希望が集まらなかったようですが、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は購入希望者が殺到し(両社は10/19に売出価格決定)、両社の株を買えなかった投資家が日本郵政の株を買いに行った様子。
 日本郵政の仮条件の決定日をゆうちょ銀行・かんぽ生命の後ろにしたのは、作戦的に大成功だったようです。

日本郵政の初値は1,631円で終値1,760円(+26%)

 11月4日(水)に日本郵政は東証1部への上場を果たすことが出来ました。

 日本郵政の初値は1,631円で終値は1,760円(+26%)!

 郵便事業が赤字とか本当に成長できるのか等言われましたが、見事に売出価格を上回る初値と上場初日の終値。無事に日本郵政の上場スタートは成功したと言えましょう。

 尚、上場初日の終値ベースで郵政3社の株価及び値上がり率は下記のようになりました。

・日本郵政→1,760円(売出1,400円:+26%)
・ゆうちょ銀行→1,671円(売出1,450円:+15%)
・かんぽ生命→3,430円(売出2,200円:+56%)

 意外や意外、日本郵政はゆうちょ銀行より初日終値での上昇率は勝っています。

 ゆうちょ銀行やかんぽ生命の売出株が買えずに、日本郵政の株に回った投資家も多かったとのことですが、残り物には福があった、ということでしょう。

 

日本郵政の株価まとめ

 実は日本郵政の類似会社はメガバンクに設定されていた、という思わぬ結論となりました。けど部門別損益を見ると、納得できる話ではあります。

 とは言え、理論通りには動かないのが株価。何のことはない、マーケットは日本郵政の類似会社はヤマトHD=日本郵政株は割安だー、と判断して、上場後一気に株価が上昇する可能性はあります。
 ただし、そもそも日本郵政の株価が銀行を参考に設定されている、というのを知った上でヤマト効果を期待するか、知らない上で期待するかでは、スタンスも大きく変わってくるかと思います。(ハズレた時に早目に逃げられるのではないかと)

 上場初日、ゆうちょ銀行を上回る上昇率を見せた日本郵政株。しかしながら上場前に指摘された、成長率等の懸念とはこれから本格的に対峙していくことになります。各方面の縛りがありながら、見事に株式市場の期待に日本郵政は答えることができるのか?

 今後の日本郵政の活躍、そして株価の伸びに期待したいです。ともあれ、上場成功おめでとうございます!

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