ソフトバンクも検討の非上場化がうまく行かない簡単な理由

 話は流れてしまったようですが、ソフトバンクが非上場化を検討していた、と報じられています。
 日本の株式市場を代表する銘柄のソフトバンク、そのソフトバンクが非上場化したりすれば、それこそ上へ下への大騒動になっていたと推察されます。

 けど、株式の非上場化ってナカナカうまくいかないんですよ、コレが。そこは百戦錬磨のソフトバンク孫会長なので、何とかしてしまう可能性もありますが、非上場化がうまく行かない理由は簡単。

”普通の学生は定期テストが無ければ勉強しない”、これと一緒です。

 学生も企業も、定期的なテスト無しで結果を残すことが出来るのは極少数しかいない、こういうことが言えるのではないかと。

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そもそも株式の非上場化とは?

 そもそも非上場化とは?
 簡単に言えば、上場会社が株の上場を止めること。ただし”止めます”と言って、急に辞められる訳ではありません。上場している株を株式市場から買い取った上で、初めて非上場化が可能になります。

 非上場化する理由としては、株価が正当に評価されていない(経営者が思っているより株価が低く評価されている)、とか、事業の再編を急激に行うので上場していると株主に迷惑をかけてしまう、という理由で非上場化が実行されるケースが多いです。
 また、非上場化することで四半期決算の必要がなくなり、長期視点で経営をすることができる、というメリットもあります。
 実際に多くのケースで長期視点での経営、との理由付けがされます。

 一度上場していた会社が、オーナー等がTOBして再度非上場化した、という会社は日本でも何社かあります。有名所ではワールド、ツタヤ(CCC)、フランフラン(バルス)、吉本興業。海外ではデルコンピュータも非上場化しています。

 ただし非上場化、当然タダではできません、お金がかかります。
 例えば、時価総額100億円の会社で、株式市場に放出されている株の比率が40%とすれば、その40%=40億円分を株式市場からTOB等で買い取って初めて非上場化が可能となります。時価総額の小さい会社ならまだしも、時価総額の高い会社となると、非上場化はトンデモない金額が必要となってきます。

ファンドや銀行が資金支援して非上場化するケースが殆ど

 非上場化するには、株式市場に流通している株をTOB等で買い取る必要があるので、当然多額の資金調達が必要となります。仮に先ほどの時価総額100億円の会社の例で言えば、少なくとも40億円は必要(株価にプレミアを付けることが大半なので、50億円くらい必要となります)。そしてこの買い取り資金はファンドなり銀行から調達することになります。そして最後にこのお金は返すもしくは、再上場で回収していただく必要があります。

 だから基本的に、非上場化すると言っても、スポンサーがつかないと非上場化はできません。今回のソフトバンクの場合はスポンサーがつかず、非上場化の舵を切れなかったようですが、そりゃそうですよ、時価総額7兆円オーバーのソフトバンク、四季報を見ると浮動株は約7%ですが、外国人株主が多い=非上場化となれば売る株主が出てくるので、非上場化となれば少なくとも兆円単位での資金が必要。ファンドや銀行がおいそれ、Yes、とは言える額ではありません。

 ファンドや銀行にしても、非上場化で出したお金、回収できなければ全く意味ないどころか、金額が金額だけに、下手すれば自分の身が危険になる可能性もありますので。

16.6.17お金-min
非上場化にもお金がかかります

資金の回収は再上場かM&Aか買い取り

 非上場化した会社が、ファンドや銀行から非上場化で調達した資金をどうやって返すかと言えば、①再上場、②M&Aで会社を売ってしまう、③株を自社で買い取る、の3つとなります。

 ソフトバンクの場合②はないでしょうし、③だとそもそも非上場化の意味が無いので、もちろん①の再上場が目的だったと考えられます。お金の出し手とすれば、非上場化の際に100円で株をマーケットから買い取って、200円で再上場できれば、2倍の儲けとなります。(色々と面倒な手続き抜きで極々簡単に説明しています)

 ただしうまく再上場できないと、ソフトバンクの場合は②M&Aで会社を売ってしまう、というのはありえないので、③株を買い取ってもらう、ということになります。けどそうなった時に、既に借金大王のソフトバンクは非上場化の資金を銀行やファンドに返すことができるのか?、と言われれば非常に疑問が残ります。

 と考えれば、必要資金の巨額さもさることながら、非上場化に手を貸した後、うまくいかなかったら資金は回収できるのか?、という観点では、ファンドや銀行がソフトバンクの非上場化に首を縦に振らなかったのは、非常に自然なことと考えられます(ソフトバンク側はアリババの含み益があるから大丈夫、という説明だったと思いますが、含み益はいつなくなっても不思議ではないですから)。

 尚、非上場化して、その後事業がうまく行かない場合、会社は売られてしまうか、新たに借金して非上場化にかかった資金を会社が負担する必要が生じます。非上場化、実は失敗した時のリスクを考えると、非常に難しい判断を迫られます。

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株式の非上場化がうまく行かない簡単な理由

 株価が正当に評価されていない、とか、事業に劇的な変化が必要、との理由は言われますが、管理人は株式の非上場化は簡単には成功しない、と思っています。
 先に挙げた非上場化した会社、再上場すると言って非上場となった会社もあるのですが、なかなか再上場に至っていません。確かにトーカロ(東証1部3433)、チムニー(東証1部3178)、キトー(東証1部6409)のように非上場化して再上場した会社もありますが、鳴り物入りで非上場化した会社って、その後なかなかよい話は聞こえてきません。

 管理人が非上場化が簡単に成功しないと思っている理由は簡単。

 学生が定期試験がないと勉強しないのと同様、企業も上場や四半期決算がないと緊張感が続かない。

 学生時代に、定期試験無しで常に勉強し続けていた人、クラスに1割もいないのでは?殆どの学生は、定期試験の前にガーッと勉強して、というスタイルでは?(受験の年は3月がゴールなので別)
 管理人もそうでしたし、どーですかね、定期試験なしで常に勉強して一定のレベルを保っている人って、クラスでは少なくとも少数派だったのでは?

 それと同じく、定期試験=上場があった会社で、定期試験がなくなるとどうなるのか?
 定期試験無しでも常に成績上位だった、という方もおられるでしょうが、やはり何かしらの縛りが無い中で、同じパフォーマンスを出す、というのは、なかなか難しいのでは?

 例えが身近すぎるかもしれませんが、以前から思っていて、似たような話を会計士の先生からも聞いたことがあるので、恐らく当たらずとも遠からずではないかなぁ、と思います。

実はうまく行っていない非上場化

 
 株式の非上場化は再上場が全てではありませんが、正直国内では非上場化はうまく行っている印象がありません。

・ワールド→業績悪化でリストラ
・フランフラン→海外展開に成功せず、セブン&i-HDの傘下入り
・ツタヤ→音沙汰なし・・・
・吉本興業→少なくとも儲かって儲かって、という話は聞きません

 少なくとも鳴り物入りで非上場化を実行した会社は、上記が例だと思いますが、その後に業績的に飛躍した、という例が殆どありません。個人的には、フランフランが海外展開のため、と大見得を切って非上場化して、その後静かにセブン&iの傘下に入った時は、なんだかなぁ、と思いました。

 ただし、皮肉なことにそのまま上場していたら、株価下落で損をしていた株主が大勢出ていた会社もあるので、非上場化のお陰で株主は損せずすみました、ということになってはいます。それを読んだ上で非上場化していたら、その経営判断は賞賛されるべきものですが、さすがにそれはないような・・・。

15.9.14フランフラン-min
非上場化の後に7&iの子会社となったフランフラン

ソフトバンクの非上場化はアリババの含み益の使い道の一つ?

 ソフトバンクの非上場化、要は兆円単位で発生している、アリババの含み益の使い方の1つとして検討していたのでは?

 数兆円あるアリババの含み益、これを使えば確かにソフトバンクの非上場化は方法論としては”あり”。
 ただし金融機関は、今回はそれには乗らなかった、ということです。

 ただし転んでもただでは起きないソフトバンクの孫社長、アリババの含み益の利用方法、また次のアイディアを出してくるのだろうと思います。

関連記事:ソフトバンク、アリババ株の含み益は約7兆8千億円

まとめ

 日本の株式市場を代表する銘柄、ソフトバンク。そのソフトバンクの非上場化ともなれば、センセーショナルな出来事として話題になっていたと考えらえます。

 ただし非上場化の成功、実は簡単な理由から案外ハードルが高く、管理人としてはやらなくてよかったのではないかなぁ、と思います。
 ついでに言えば、個人向けに社債を随分発行しているソフトバンク、非上場化して開示の負担が軽くなる、というのは他の会社と事情が異なるとも思います。

 国内の携帯事業がドコモの反撃を受け、懸念の米国のスプリントの再建も時間がかかっているソフトバンク。

関連記事①:ソフトバンクがMVNOでドコモの反撃にあっている件
関連記事②:ソフトバンク株価が上がらない理由?スプリントが米国4位転落

 孫会長もアリババの含み益を元手に、色々な手を考えているのだと推察されます。
 果たしてソフトバンクは次にどんな手を打ってくるのか?まだまだソフトバンクの動きから目を離すことはできません。

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