ベネッセは赤字で原田社長退任、今後は原点回帰が復活の鍵?

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 個人情報流出から業績の立ち直りが見えないベネッセHD(9783)。マクドナルド前会長の原田氏を招聘し立て直しを図りましたが、16/3期当期純利益▲82億円と、前期の107億円の赤字に続き、2期連続の赤字で立ち直りのキッカケがつかめません。そして赤字の責任を取る形で原田社長は退任。

 客観的に見て若干迷走気味だったベネッセの戦略。新しい経営体制の下で、立て直しを図ることができるのか?
 教育産業というより、個人情報を集めてその個人情報を活かした商売に長けていたベネッセ、蓄積された揺り籠から墓場まで利用できる個人情報の活用が、今後の復活の鍵?

 果たしてベネッセが復活する日は訪れるのでしょうか?

加速度的に利益をすり減らしているベネッセHD

 個人情報流出事件発生後、経営体制の見直しを図っていたベネッセHDですが、先日発表された16/3期決算の内容がよくありません。

16/3期売上高444,190百万円、経常利益8,732百万円、当期純利益▲8,211百万円
15/3期売上高463,264百万円、経常利益26,838百万円、当期純利益▲10,705百万円

 前の15/3期もリストラ費用計上等で当期純利益は赤字で2期連続赤字なのですが、注目すべきは経常利益。

 15/3期268億円→16/3期87億円と経常利益が約1/3となっています。

 当期純利益の赤字はリストラ費用・減損等、ベネッセに限らず言い訳できる内容が多いのですが、こと経常利益に限って言えば、経営者の言い訳の余地は少なくなります。
 売上高が減少すれば、経常利益も減少するのは道理ですが、それまで200億円以上経常利益を上げていた会社の経常利益が約1/3になりました、となれば一大事。

 2014年7月に発覚したベネッセDHの個人情報流出事件ですが、事件発覚の15/3期に200億円以上の経常利益を上げていたものの、ここに来てイヨイヨ黄色信号が点灯、と言ってもよい状態かと。

ベネッセが倒産する可能性は低い

 完全に失速しているベネッセの業績ですが、とは言ってもまだ経常利益ベースで80億円以上黒字の会社です。
 16/3期末時点で純資産(資本の部に相当)1,792億円で自己資本比率36.4%。まだまだ体力も残っており、チョットやソットで倒産するような会社ではありません。

 ベネッセの課題は倒産するorしない、という問題ではなく、成長路線を取り戻す事ができるのか、もしくは、少なくとも以前の経常利益200億円以上の利益水準の会社に戻ることができるのか、という部分が問題となります。

ベネッセは岡山に本社を置く会社

 ベネッセの本社機能は今は東京にありますが、元々岡山の会社で今も本社所在地は岡山となっています。新幹線で大阪方面から岡山駅に向かう際、窓の外を見ていると駅の手前で一際高くそびえるベネッセ本社ビルの姿を見つけることができます。

 福武書店からベネッセコーポレーションに社名を変更しているベネッセ、福武書店の名前の通り、元々岡山の教育出版会社です。

元マクドナルドの原田泳幸社長が退任

 マクドナルドの会長から、ベネッセの社長に華麗なる転身を遂げた原田泳幸氏。アップル日本法人→マクドナルドとプロ経営者として磨いた腕前を発揮できるか、ベネッセで真価が問われた訳ですが、社長就任約2年で残念ながら結果を残すことなく退任。

 社長就任直後に個人情報流出事件が発生しベネッセの株主から疫病神と言われる等、正直ついていない面も原田氏にはありましたが、結果が全てのプロ経営者。2年連続の赤字、そして経常利益の大幅減は言い訳できず、責任を取る形で退任となりました。

原田泳幸氏はプロ経営者か?

 プロ経営者と言われる原田泳幸氏、その華麗な経歴は以下のようになっています。

1972年 – 東海大学工学部通信工学科卒業
1972年 – 日本NCR(株)入社
1980年 – 横河ヒューレット・パッカード(株)入社
1983年 – シュルンベルジェ・グループ入社 取締役マーケティング部長、取締役ATE事業部長。
1990年 – アップルコンピュータ・ジャパン(株)(当時)入社 マーケティング部長。
1993年 – 同社 ビジネスマーケット事業部長 兼 マーケティング本部長就任。
1994年 – 同社 取締役マーケティング本部長就任。
1996年 – 米国アップルコンピュータ社 ワールドワイドコンシューマーマーケティング/SOHO担当ヴァイスプレジデント就任(米国本社勤務)。
1997年 – アップルコンピュータ(株)代表取締役社長兼米国アップルコンピュータ社副社長就任。
2004年 – 日本マクドナルドホールディングス(株)、日本マクドナルド(株)取締役副会長兼社長兼最高経営責任者 (CEO) 就任。
2005年 – 同両社代表取締役会長就任、社長及びCEO兼任。
2013年 – ソニー(株)、(株)ベネッセホールディングス 社外取締役就任。
2013年 – 日本マクドナルド(株)の代表権及び社長兼CEOを退任し、代表権のない取締役会長に就任。
2014年 – 日本マクドナルドホールディングス(株)の代表権及び社長兼CEOを退任し、代表権のない取締役会長に就任。
2014年 – (株)ベネッセホールディングス代表取締役会長兼社長、及び国内教育カンパニー長就任。
2014年 – (株)ベネッセコーポレーション代表取締役社長就任。
2016年 – (株)ベネッセコーポレーション代表取締役社長退任(予定)。
wikiペディアより

 華麗なる経歴の原田氏。マクドナルド時代の経営に賛否両論あるのは、よく知られたところではありますが、それでもアップル→マクドナルドと社長を歴任したのは間違いない事実。

 ただね、両社とも外資系の日本法人なんですよね。外資系の会社から見た現地法人の扱い、海外の支店長的立場の会社が多いので、原田氏は単なる外資系出身の現地法人社長経験者、とも言えます。ただし、賛否両論あれども、藤田田氏後の日本マクドナルドを米国本社の注文どおりに立て直しを行ったのは事実。

 経営者の定義は何?、という難しい問題にまで突っ込むと話が長くなり過ぎますが、原田氏は外資系企業の日本法人社長経験者としては一流の能力を持っている、というのは間違いないと考えられます。

 しかしながら経営者=企業家、という視点で考えれば、原田氏はマクドナルドで何か新しいビジネスを立ち上げた訳ではなく(基本的には本社から指示の合ったFC化を推進したのが原田氏の役割)、今回もベネッセでも何か新しい事業の立ち上げがなされた訳ではないので、企業家としての評価は、正直微妙なところでは無いかと。(ベネッセは時間が足りなかった面はあると思いますが、後述しますが原田路線はいずれ立ちいかなくなると思ってました)

 ちなみに全くビジネスと関係ありませんが、原田氏の奥様はシンガーソングライターの谷村有美さん。その昔、少しファンだったのと、友人が大ファンでした。

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今後のベネッセは原点回帰、ベタな個人情報活用会社になるしかないのでは?

 約2年の原田社長体制下でベネッセは主力の進研ゼミのIT化を推し進めてきました。今時の学生はスマホを当たり前のように使いこなしているので、IT化は時代の流れです。ただし、やり方を見ていると、多分これじゃダメだよなぁ、というのが管理人の感想。

 どういうことかと言うと、ベネッセはITっぽいカッコイイ会社ではなく、それこそ個人情報保護法施行以前に役所で住民票のデータを手作業で集めていたような、ベタな会社、というのが原点。

 ショッピングモール等でベネッセが自社の端末のプロモーションしている光景をこの2年よく目にしましたが、あれじゃ無理よ、と何度思ったことか。アナログな管理人、あんなので会員集まるのかなぁ、と思ってましたが、やはりうまく行ってない様子。

 個人情報流出事件以後に原田社長が、個人情報集めるの辞めます宣言、してましたが、それって御社の一番の強みを自ら封印することじゃないか?、と思ったもんです。

 ベネッセは日本最強の個人向けマーケティング会社、なぜなら揺り籠から墓場(幼児から老人)までの個人情報を持っているから、と以前とある方に伺いましたが、確かに、と思ったものです。
 個人情報も生物(なまもの)なので、メンテしないとドンドン利用価値が無くなってしまいますが、原田体制下の2年で貴重なベネッセの財産が毀損してしまってます。

 ま、しかしながらとは言っても、三つ子の魂百までも、と言いますので、ベネッセが本気になればその辺りは何とかしてしまうでしょう。また動物園やUSJ等で、ベネッセの個人情報収拾キャラバンの姿を多く見るようになるのではないかなぁ。

ベネッセの至宝の個人情報が簡単に持ち出せてしまった部分が最大の問題

 ベネッセにとって至宝とも言える多くの日本人の個人情報、この至宝がシステムの派遣社員によっていとも簡単に持ち出せてしまった所に、ベネッセの個人情報漏洩問題の大きさがありました。

 ベネッセにとって保有している個人情報は宝の山、と管理人以前から思ってましたが、その管理のズサンさ(ズサンと言うのが言い過ぎであれば、セキュリティー甘すぎ)に、事件発覚当時は驚愕したものです。

 ベネッセって、会社として非常にしっかりした会社なのですが、肝心要の所で一体何をやっているんだろう・・・、とホント思ったものです。まぁ昔話ですが。

”しまじろう”のブランド価値も急落中

 管理人、以前は殆ど意識しなかったのですが、”しまじろう”もベネッセを支える重要な屋台骨。振り返れば、猫も杓子も”しまじろう”という時代が一時期ありましたが、個人情報流出事件以降、”しまじろう”のブランド価値が急落してます。

 少なく猫も杓子も”しまじろう”という時代は終焉を迎えました。ま、個人情報流出の大本が”しまじろう”の受講者だった訳で、仕方ない面はありますが、”しまじろう”の魔法が日本の子育て世代から解けてしまった訳で、個人情報獲得という観点では始めの一歩とも言える”しまじろう”の失速、ベネッセにとって非常に頭の痛い事態と言えます。

 ちなみに、以前は”しまじろう”なり妹の”はな”のぬいぐるみを持った子供の姿をホントよく見ましたが、最近以前と比べるとメッキリ見なくなりました。

ベネッセHDの株価推移(2013年9月以降週足)

 約2年半のベネッセHDの週足での株価推移は下記のようになっています。

16.5.11ベネッセ株価-週足
https://jp.tradingview.com/x/711M6e8m/

 2015年、2016年と5月に決算を発表する度に窓を明けて株価が下落しているという、完全に下落トレンドの株価推移。今回退任する原田氏、時間的余裕がなかった面はありますが、株価という観点で言うと完全に落第。株価が全てを決める、と管理人は思ってはいませんが、さすがにこの株価推移では厳しい評価とならざるを得ません。

 じゃあ原田氏以後の新体制下で株価は復活を遂げることができるのか?、とチャート的に考えるのは、別途株価予想の記事を作成するとします。

まとめ

 日本の教育産業のガリバー的存在であり、かつて女性の就職魅力ナンバーワンで女性が最も活躍できる職場とも言えるベネッセ。個人情報漏出事件で完全に逆回転が始まっていますが、そうは言ってもまだ黒字の会社なので、十分復活の芽はあります。

 管理人もベネッセには小学生の頃から始まって(進研ゼミ、取っているだけでやらない優良会員でした・・・)、各場面でお世話になっているので、何とか以前の輝きを取り戻して頂きたい、と思っています。

 少子高齢化で人口減少社会の日本において、ベネッセが以前の輝きを取り戻すのは容易なことではないと想像しますが、今後の復活に期待したい所。ベネッセが今後、どんな方向に進んでゆくのか注目です。

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