中国株の暴落をきっかけに、世界的に金融市場が大混乱。日経平均株価も20,000円割れして、為替もドル円が大幅円高にと、大変なことになっています。
ただし、お化けと事実を混同してはいけません。中国経済減速を発端とする世界の金融市場の混乱、お化けと事実との関係で考えてみます。
概要
大前提、中国の金融市場は鎖国状態
今回の金融市場の大混乱、案外忘れられがちなのが、中国の金融市場は海外に対して扉を閉ざして入り=鎖国状態、ということ。
中国に行った後、帰国の際に実感しますが、為替という観点では中国の人民元は基本的に国外に持ち出しできません。
そして中国市場に上場している株は、外国人が売買できない仕組みになっています。
為替も株も中国の金融市場は鎖国状態。これを忘れてはいけません。
尚、とは言っても香港経由での元の国際化や上海株式市場で外人投資家が株を売買できる仕組みもある、という話は当然ありますが、まずは大原則のお話。
中国政府としてはドルに対抗して、人民元の国際化を狙っており、AIIBはその先兵としての役割もある訳ですが、今のところは人民元・中国株ともに、まだ中国という閉ざされている世界で流通しているに過ぎません。まぁ閉ざされているとはいえ、人口10億人の国ですから、各方面に与える影響は大なのですが。
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オバケが出てきて驚いている金融市場
管理人はFXトレードをしている影響で、今はお金がどの方向に流れているか、という観点で金融市場を見ることが多いです。
その意味で言えば、閉鎖された中国の金融市場、海外の株や為替に対する直接的な影響は殆どありません。何せ、資金量豊富な外国人投資家が人民元や中国株を売却して、そのお金で他国の通貨なり株を買うということは、出来ないのですから。
よって、今の金融市場の大混乱は、お化けが出たと言って、えらいこっちゃ、と騒いでいる状態かもしれません。お化けなんていない、なんて冷静に考えれば、誰でも気付く事実です。だから今の中国発と言われている金融市場の混乱、お化けはいないと冷静になることができれば、自ずと沈静化するのではないかと。
問題は中国経済悪化から来る直接的な影響
お化け騒動、なーんだ、と言うことになっていずれ沈静化するとして、次に来るのが本当の問題、
あいつ経済状態悪いってよ、と中国経済が想像以上によくない、ということがこの2~3週間で全世界に知れ渡ってしまいました。
確かに金融市場は混乱はあれども、直接的な影響はなさそうですが、会社単位等で見れば中国経済減速の影響をモロに受ける先が必ず出てきます。
中国でモノ作りをしている会社はまだしも、中国で大きな売上を計上している会社は、経済減速の影響をモロに受けます。身近な所では、訪日中国人の財布も堅くなると予想され、インバウンド銘柄が影響を受ける可能性もあります。
現在の混乱がひと段落した後、モロに中国経済減速の影響を受ける企業等が出てくると予想されます。
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けど中国経済やばくないか?
中国経済の減速は間違いないとして、もう完全にGDPの7%成長という錦の御旗を降ろしています。
この7%成長、中国で雇用を満足いく雇用を創出するためには必達数字と2~3年前に言われていましたが、今やそんな話は全く聞こえなくなりました。
けど経済が減速しても、人間の数は変わらない訳で、経済が失速すればそれだけ失業者が増える、ということになります。
そして中国の歴史は、食えなくなった人民が立ち上がって皇帝をやっつける、という繰り返し。中国の歴史は、人民を満足に食べさせる、というのが脈々と流れる最大のテーマであり、当然中国政府は、そうなる前になんらかの手を打って来ると考えられます。(ちなみに歴史マニアの管理人は、今の中国政府は血の繋がりの無い毛沢東王朝と勝手に考えています)
そして早速、昨晩(8/25)に中国人民銀行が金融緩和を発表。金融市場では、先週末発表か?、と言われていましたが、若干遅れても、やはり、という手は打ってきています。
ただし、それで中国経済の減速をどうにかするには、力不足だとは思いますが。
中国経済はまだ景気対策の効果あり、景気対策という切り札が存在
日本では景気対策=公共投資、というと、今更、とか、本当に効果あるの?、という話になります。最近は人手不足で、そもそも公共事業を増やしても、仕事の受け手がいないようですし。
ただし中国ではまだそんなことはなく、景気対策が直接的に経済をプラスに押し上げる効果が期待されます。AIIBを設立する程、タップリ溜めこんだ外貨もあるので、お金の心配も無し。(外貨準備高、実際と計算上と相当差異があるようですが)
そんな訳で、中国政府とすれば、最後の最後は大型な景気対策で景気を押し上げるという、切り札が残っています。
個人的にはゴーストタウンのようなマンションをまだ沢山作るのか?、と思わないでもないですが、ピラミッド建設もエジプトの景気対策だった、という説もあるくらいなので、それは横に置いておきます。
まとめ
中国発の金融市場の混乱、と言われていますが、今はお祭り状態で、問題は祭りの後。
米国経済は利上げが視野に入りつつあるくらい好調だし、日本は経済はさておき(理由は→今後の日本経済の行方は?GDPがマイナスへ、10~12月の数字がポイント)、株はまだクジラが餌を食べる余裕は十分残っている、という事実に変化なし、ヨーロッパはギリシャ問題が一息ついてホッとしている状態、というのが金融市場は混乱していても大きな流れ。
ただし必要以上に株も為替も動いてしまい、金融市場の心理自体がこれまでの楽観モードから一転しているのも事実。
いずれにせよ、まだ金融市場のドタバタはしばらくつづきそうです。こんな時は休むも一計。
しかしお盆明けの次の週とはいえ、いきなりこの動きは焦ります。夏休みをチャンと取っておいて良かった、と思う管理人でありました。
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