シャープが7月に公募増資を行い優先株を買い取る計画を発表。2015年の経営危機の際にみずほ銀行と三菱東京UFJに対しDESで発行された優先株は、シャープの経営危機の象徴とも言うべき存在。本優先株が無くなることでシャープは財務的には危機モードから平常モードに戻ることになります。
足元シャープの株価は3,000円付近でウロウロしていますが、公募増資での優先株買取が株価にどのような影響を与えるのか興味深いです。
概要
シャープが優先株の買い取りと公募増資の計画を発表
鴻海に買収された後、シャープの再建は順調に進んでいる、というニュースはタマに耳にするようになりました。
産業革新機構と鴻海でシャープを取り合った訳ですが、今振り返れば鴻海に買収されてヨカッタと言えるのではないかと。正直な所、産業革新機構のJDI(ジャパン・ディスプレイ)との合併シナリオは単なるお絵かきに過ぎないというのは当時から感じていましたし、その後のJDIの迷走を見ると、仮にシャープと一緒になっていたら今も迷走していたんだろうなぁ、というのは想像に難くありません。
とは言え現在のシャープも鴻海精密工業というバックグランドがあっての再建成功であり、単独で生き残りができたかと言えば、微妙な所。鴻海グループとしてのシャープ、という立ち位置があってこその再建劇ではないかと(当然、マネジメントや社員の努力はあってのことでしょうが)。
そんな中でシャープが発表したのが、優先株の買い取りと公募増資のセットの計画。これが実行されれば、シャープも財務的には危機モードを脱出して平常モードに戻ります。
主幹事は野村証券の可能性が高い
シャープの公募増資、主幹事はドコ、との記載はIR資料にはありません。
ただし優先株の株価算定を野村証券が行っているため、そのまま野村証券が公募増資の主幹事まで務める可能性が高いと考えられます。ご参考まで。
優先株は2015年にみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行にDESで発行したもの
シャープの優先株と公募増資については、IRサイトに詳細は掲載されています。公募増資自体は7月に行われる様子。
今回公募増資で調達した資金で買い取る優先株は、2015年6月にみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行にDESで発行したもので、その金額は2000億円。
優先株なので配当負担が重い条件なのですが(6か月日本円TIBOR+2.5%)、公募で普通株に入れ替われば、その分シャープの資金負担は減少します。
シャープが危機的状況の際に発行した優先株が、公募増資での普通株に入れ替わる訳で、コレでシャープもようやく危機モードから平常モードに戻ることになります。
3年で優先株を買い戻せるようになった訳なので、企業の再建劇としては上出来ではないかと。
下落傾向にあるシャープの株価
それではシャープの株価はどうなっているかと言えば、意外にも下落しています。
「画像出典:マネックス証券/日本株取引ツール トレードステーション」
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16年夏に1,000円を割っていたシャープ株ですが、その後の鴻海傘下入りした後に株価は上昇し、一時は5,000円に到達。流石に最安値から5倍以上の株価は行き過ぎとなり、下落に転じ、現在は3,000円付近をウロウロしています。
3,000円という株価は2017年の安値水準であり、現在の水準を維持できるか・割れてしまうかは、株価的には重要なポイントとなります。
7月の公募増資が株価にどのような影響を与えるのか、非常に興味深いです。
まとめ
シャープは東芝のパソコン事業の買収も同時に発表しており、復活への道を着実に歩んでいます。
株価的には上昇がひと段落しているシャープ。公募増資による優先株の買い取りで財務的にも危機モードから平常モードとなることで、株価には良い影響が生じるのでしょうか。
シャープの経営危機の頃に当サイトをスタートさせており、かつては色々記事を書いていたので、懐かしくもあります。着実なシャープの再建を期待したいものです。
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