東芝を監査の新日本監査法人に厳しい処分は難しいと思う訳

 東芝の不適切会計問題、遂に問題が東芝の監査を行った新日本監査法人にまで及びつつあります。新日本監査法人にどんな処分が下されるのか注目が集まりますが、厳しい処分は難しいのではないかなぁ、と思います。

 何故かと言えば、東芝問題の本質は原発の減損問題。ただし不適切会計問題で問題視されているのはPC事業等の原発事業以外。原発減損問題が事件化していない中で、新日本監査法人に厳し過ぎる処分を下すのは筋論的に難しいのではないかと。

 ただしオリンパス問題で前科一般の新日本監査法人、思わぬ厳しい処分が下される可能性は残ります。

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東芝の不適切会計問題、遂に新日本監査法人に責任追及の手が

 上場会社の財務諸表は監査法人が監査してます、ということで正確性が担保されています。東芝の不適切会計問題、その意味で考えれば、監査法人がしっかりと仕事をしていればこんなことにならなかった、と思うのは道理で、東芝の監査を担当していた新日本監査法人は何をやってたんだ!、となるのは当然と言えば当然。

 東芝自体の責任追及はどうやらひと段落しつつあり(まだ問題が終わったとは思えませんが)、次の段階として新日本監査法人の責任を問うステージに入りつつあるようです。

 ニュース等を見ていると、かつての中央青山監査法人の例もあり、業務改善命令は当然として、最終的に新日本監査法人が廃業の可能性も、という記事もありますが、東芝の不適切会計問題の推移を見ていると、そこまで厳しい処分を新日本監査法人に下すのは筋論的に難しいのではないかと思います。

新日本監査法人の問題、一体何が悪いのか?

 東芝の不適切会計、新日本監査法人は東芝の不適切会計を見抜けなかった、ということで当然なにやってんだ、という話にはなります。そこで問題、東芝の不適切会計問題、現段階で責任を追及できる問題は?

①PC事業等での不適切会計を見抜けなかった
②原発事業での減損に手心を加えた可能性

 東芝問題の本質は、貸借対照表(B/S)を見れば一目瞭然で、原発事業にあります。東芝はいかにして原発事業での減損を防ぐかに必死になっていた訳で、その生々しいやりとり等が、日経ビジネスで特集されています。

「スクープ 東芝、米原発赤字も隠蔽 内部資料で判明した米ウエスチングハウスの巨額減損」(日経ビジネスONLINE)

 これは流石の日経ビジネスの取材力、と言った所ですが、確かに原発の減損問題は大問題ではありますが、今回公になっていて東芝も認めている不適切会計の問題は、原発分野ではなくPC等の分野。
 だから当サイトでも指摘していて、日経ビジネスでも特集の東芝の原発の減損問題は、問題化するとすればこれから。

 よって、現在東芝が責任を追及されていて、更に新日本監査法人も責任追及されるのは、PC事業等の問題。
 実は東芝問題の本質とは別の部分だったりします。(まぁコレでも会計的に充分大問題なんですが)

 だから原発事業について、確かに管理人も含めて世間の注目も大きいのですが、現段階では責任云々を問えるのは、原発問題はまぁまぁ、という状態が大前提でのお話。

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実際に問題視されているのは原発部門ではないくPC部門他

問題の本質部分以外での厳罰はさすがに厳し過ぎる

 新日本監査法人の問題、コレが東芝の原発事業の減損で手心を加えた、ということであれば、それはもう厳罰が処されてもおかしくはありません。各方面の記事等を見ていると、そんな感じ。管理人もそう思います。
 
 ただし今の所は、新日本監査法人が東芝の原発事業の減損で手心を加えたかどうかというのはそもそも問題化されていません。間違いなく関係者一同は、原発問題が一番の問題と気付いていますが、目の前の議題に乗っていません。

 よって全体の流れで言えば新日本監査法人に厳罰が下されるという流れではありますが、第三者委員会の報告書と同じく、そもそも原発の減損問題はオーダーされていない=事実としては認識されていない状態。

 この状態で新日本監査法人に厳罰を加えてしまうのは正直、やりすぎ。問題の本質部分を、関係各位でまぁまぁとやっておきながら、本質部分でもなく本質に比べると数字のインパクトも少ない部分で監査法人を厳しく処断するって、筋としてはおかしくなってしまいます。

新日本監査法人がスケープゴートになる可能性は有る

 原発の減損問題が責任問題の争点となりえない状況下で、新日本監査法人に厳し過ぎる処分はないと考えられますが、ありえるのは新日本監査法人がスケープゴート=生贄、にささげられる事態。

 確かに問題の本質部分ではないものの、東芝のPC事業等の不適切会計を見抜けなかったという責任は新日本監査法人にあります。そしてここまで騒ぎになってしまった東芝の不適切会計問題。誰か大物が責任を取る=スケープゴートになる必要がある、と考えると役目を果たすことが出来なかった新日本監査法人は、必要以上に責任を問われる可能性があります。

 更に言えば、以前問題となったオリンパスの粉飾決算。この時の監査法人も新日本監査法人で、2012年に業務改善命令を受けており、前科一般。新日本監査法人は以前から何も変わっとらんじゃないか、と言われてしまうと抗弁できません・・・。

 そんな訳で、筋論からすれば現在問題となっている東芝の不適切会計問題で新日本監査法人に再起不能な程の厳罰を下すのは”やりすぎ”の感がありますが、世間をお騒がせした責任は誰かが取る必要があり、前科一般ということもあるので、新日本監査法人は筋論とは違う観点で厳罰が下される可能性は有ります。

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敢えて新日本監査法人を庇ってみる

 各方面の記事を見ていると新日本監査法人が悪い、という一色なので、敢えて新日本監査法人を庇ってみます。さすがに原発事業以外の部分が問題の中で、総攻撃を受けているの少々忍びないので。

東芝の監査は原発事業に注力していた

 まぁ個人でも分かってしまう東芝の決算書=原発事業の問題。これを会計士が分からないハズはありません。その原発事業の評価を巡って東芝と新日本監査法人のやり取りが、日経ビジネスに掲載されていますが、監査法人だってマンパワーが限られている中、監査の作業は当然焦点を絞らざるを得ません。よって結果はさておき、監査プロセスとしては、原発事業を中心に監査をしたのだと考えられます。当たり前ですね。

 そして問題化しているのは、PC事業であったり半導体事業。新日本監査法人としては主力を原発事業に充てているので、PC事業や半導体事業まで面倒を見切れなかった、という面が多分にあるかと。
 ちゃんと事業として利益が出ているし(PC事業はそれが怪しかった訳ですが)、帳票も揃っていれば、元来の本業で減損問題も存在しない既存事業、会社の言うこと信じざるを得ませんって。
 そりゃ原発事業と同じくらいのパワーでPC事業の監査をすれば、不適切会計を見抜いたカモですが、台湾等の海外の取引先を巻き込んだ大掛かりなスケールであり、”不適切な処理”と断言するのは相当大がかりな監査が必要と考えられます。

 そして問題が発覚したのが、原発事業ではなくPC等の事業。新日本監査法人の主力部隊が原発事業で忙殺されている中、二次的な戦線で問題が発覚、という状態。
 例えて言えば源平の合戦で、鵯越の奇襲を受けた平家のようなもの?神戸を守る山陽道の主戦場では平家も優位に戦いを進めていたものの、まさか問題は無いだろう、と平家が思っていた神戸北側の鵯越から少数で攻めてきた源義経の為に、平家全軍が大敗北を喫してしまったみたいな。スミマセン、変な例えで。

 砕けて言えば、そっちが問題になるのかよー、と言うことです。

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えーそっちが問題になる?、みたいな

まとめ

 そもそもの東芝の問題は、基本的に問題の核となる原発事業を避けてここまで来ています。確かに原発事業に関わるお話は、日経ビジネスはじめ各方面から出てはいますが、それはこれまで問題化された問題ではありません(今後どうなるかは別)。

 原発問題は大事にしない、という予定調和の中で進んでいる東芝の不適切会計問題。原発事業に本格的に向き合っていない状態で、新日本監査法人に厳罰を下すのは、少々酷ではないかなぁ、と個人的には思います。

 ただし新日本監査法人はある意味で前科一般なので、そんなこと(原発事業以外)も見抜けなかったのか+オリンパスに続いて2度目だよね、と言われてしまうと、新日本監査法人の立場は結構微妙だよなぁ、と思わざるを得ません。

 さて今後、新日本監査法人に対しどんな処分が下されるのか。非常に興味深い所です。

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