ギリシャ危機2015、デフォルトとユーロ離脱は既定路線?

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 2015年に入り風雲急を告げてきたギリシャ危機。ギリシャのデフォルト(債務不履行)とユーロ離脱は既定路線かもしれません。

 2010年よりあーでもない、こーでもない、とやりながら、何とか危機を凌いできたギリシャ政府。ついに限界到達?
 ギリシャのデフォルト(債務不履行)そしてユーロ離脱は現実のものとなるのか?客観情勢ではギリシャのデフォルト、そしてユーロ離脱が現実なものになりつつあります。(2015年6月11日更新)

遂にギリシャの国庫が空っぽに

 2010年のギリシャ危機以降、何とかやりくりしてきたギリシャ政府ですが、遂に国庫が空っぽの状態になりつつあるようです。

「ギリシャ、救済協議が進展-流動性はひどく緊急の問題と財務相 (ブルームバーグ)」

要は、このままだと2〜3週間でゲームオーバー、と言うこと。

ギリシャ問題、遂に来るところまで来ました。

 当然ユーロ加盟国とギリシャ政府との間で、支援の協議は続いていますが、会議は膠着上代。お金を出す側(主にドイツ)の注文に対し、ギリシャが答えを出してこないので、そりゃあ進むものもすすみません。

ユーロ諸国のお偉いさんがギリシャのデフォルトに言及するように

 もう末期症状というか、ギリシャは既にデフォルト前提で話が進んでいるのかもしれません。ユーロ諸国のお偉いさんがギリシャのデフォルトに言及するようになってきました。

「ギリシャは債務不履行でもユーロ圏にとどまる-伊首相顧問(ブルームバーグ)」

 記事はイタリアの政府高官のコメントですが、イタリアも一歩間違えば、ギリシャ化の可能性があったので、客観的には、お宅はもう大丈夫なの?、と思ってしまいます。ギリシャ問題、次の国に波及しないことを願うのみです。

 いずれにしても同じユーロ加盟国のお偉いさんが、ギリシャのデフォルトを言及し始めるって、事態としては尋常ではありません。

ギリシャは6月5日以降、IMFへ合計15億ユーロの返済ができるのか?

 徐々に追い詰められつつあるギリシャ政府ですが、支払いは待ってくれません。

 5月末に年金と公務員の給与の支払い約25億ユーロが必要。
 そして6月5日にはIMFに対して約3億ユーロの返済が必要。更に6月中は、IMFに対し合計約15億ユーロの返済が必要。6月5日を乗り切ったとしても、正直現状のままではギリシャ政府はIMFへの返済は不可能。

 ドイツを中心とするEUが、ギリシャ支援で合意できれば問題なく6月は乗り切れそうですが、それが出来ないと6月にギリシャ危機が火を噴く可能性も。

 5月末の支払いは国内向けなので理由を付ける等すれば、どうにかできるかもですが、6月5日のIMFへの返済は他所への返済なので待ってはもらえません。

 6月5日にギリシャはIMFに対し約3億ユーロの返済ができるのか?

 世界中が固唾を飲んで見守ることになりそうです。

 ちなみに仮にどうにかこうにか6月を乗り切ったとしても、今後の返済日程としては7~8月に国債の償還等があり、100億ユーロ超の資金がギリシャが必要。ギリシャ問題、抜本策を取らない限りは、しばらくお付き合いの必要がありそうです。

ギリシャ危機は6月末?IMFへ6月末に15億ユーロ超を一括返済

 当初は6月にギリシャからIMFに対して、6月5日を皮切りに複数回返済の日がありましたが、最終的に6月末に一括返済、となりました。

 その額合計約15億ユーロ超。6月30日にギリシャはIMFに一括返済の必要があります。

 IMFとしては苦り切っているようですが、元々ある制度を利用しての一括返済なので、これはやむなし。けど本当にギリシャはIMFに借りたお金を返すことができるのか?

 6月末世界中がギリシャの支払いを固唾の飲んで見守ることになりそうです。

歴史的に見ればギリシャは3度目のデフォルト

 実は歴史的に見れば、ギリシャは過去2度デフォルトを行っています。
 19世紀末から20世紀はじめにかけて、2度もデフォルトを行わざるを得ない状態に。

 元々歴史的に経済基盤の脆弱なギリシャ、歴史は繰り返す、という結果になる可能性が高そうです。

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ギリシャ人が税金を払わないのは歴史的伝統

 ここで閑話休題。ギリシャがこの事態に陥ってしまったの、ギリシャ人自身がギリシャ政府に税金を払わないからだ、とも言われています。EUで支援する側のほうからも、タマにそんな意見が出てもいます。

 中世以降、独立するまでの4世紀(日本で言えば、室町時代中期から幕末まで)ギリシャはオスマントルコの支配を受けていました。
 その際にギリシャ人の心の拠り所となったのが、教会(そういえばギリシャは、ロシアと同じくギリシャ正教会です)。その教会は、オスマントルコから徴税を請け負っていましたが、異教徒であるトルコ人の為に税金を払う必要はない、と言わんばかりに、教会はギリシャ人に対して納税を避ける術を様々に指導していた、という歴史的に経緯があります。

 そしてこの教会の当時の指導が、現在に至るまでギリシャの問題となっている、ギリシャ人の脱税に対する大きな背景となっています。そりゃ4世紀も税金払わない工夫をしてきたお国柄、そうは簡単に税金納める、というカルチャーにはなりません。(ギリシャがトルコから独立したのは1830年)

 ギリシャ人の税金問題、歴史的な背景があるため、EU諸国が何を言っても、一筋縄ではいかない問題なのです。

15.5.14ギリシャ問題
ギリシャの税金問題、歴史的な経緯が背景に

ギリシャのユーロ離脱は規定路線

 今の所はギリシャがデフォルトしても、ギリシャはユーロに留まる、という見通しが報じられていますが、実はギリシャのユーロ離脱は規定路線の可能性が。
 なるほどー、と思ったのが下記記事。

「賭け屋の英ウィリアム・ヒル、ギリシャの年内離脱の賭け停止(ブルームバーグ)」

 お堅い話ではありませんが、スポーツの試合等で賭けを行っているブックメーカーが、ギリシャのユーロ離脱の賭けが成り立たなくなったと嘆いている、という記事。

 ギリシャがユーロに留まる、に張れば、5倍になる賭けをなので、オッズとしては悪くないのですが、既にこのオッズでも賭けが成り立たない様子。

 もうヨーロッパの方々は、ギリシャはユーロから年内に離脱する、というのを規定路線として見ているようです。

 大丈夫大丈夫、と言っている時は既にマズイ状態、という過去色々な所で見た光景を、再び見ることになるかもしれません。

ギリシャの今後考えられる展開

 ギリシャの今後の展開、以下の4つに分けられそうです。

  1. EUからお金を引っ張ってギリシャは現状維持
  2. ギリシャはデフォルトするが、その後にEUと協議がまとまりEU残留
  3. ギリシャはデフォルトして、EUも離脱
  4. EU以外の国が支援する等

 4の他の国が支援、というのは、ロシアが・・・、というのは宗教の繋がりを考えれば、可能性ゼロではないような。ただコレは現状では何ともいえません。

 ただし設立準備中のAIIB(アジアインフラ投資銀行)の1号案件をギリシャにしようという噂があるようです。詳しくは下記でどうぞ。
「AIIBの出資国と出資額が決定、ドイツが悩ましい立場に」

 いずれにしても、そんなに時間がたたずとも、どの方向にギリシャが進むか見えてきそうです。
 基本的に日本からは遠い他の国の出来事ですが、ギリシャに何かあった時は、日本の金融マーケットも何らかの影響は受ける可能性があります。

 今後のギリシャ情勢、要注意です。

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