東芝は既に上場廃止確定かもしれない説を検証

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 原発事業を行う米国ウェスティングハウスの破産法申請を行い、漸く再建の方向に進み始めたかに見える東芝ですが、実はそうは問屋が卸してくれません。何せまだ2016年4-12月の第3四半期決算の数字が確定できていません。当然2017年3月期決算も数字が出来ている訳は無く、数字面で東芝は完全に宙に浮いてしまっている状態。

 そんな中、既に東芝は債務超過2期確定で上場廃止が確定かも、という説を発見。なるほど、確かに東芝は完全に監査法人に生殺与奪の権を握られてしまってますね。そんな、既にお前は死んでいる、とも言ってしまえる東芝の上場廃止確定説を検証してみました。

「闇株新聞」で東芝上場廃止確定かもしれない説が掲載

 その筋では有名過ぎる程のサイトの「闇株新聞」。管理人は朝起きてから目覚まし代わりに読んでいます。「闇株新聞」朝の早い時間に更新されているんです。

 そして「闇株新聞」の4月4日のテーマは「明確な上場廃止基準に抵触していた恐れがある東芝」。東芝はお前は既に死んでいる(=上場廃止)状態じゃないか、というお話。

 当サイトが「闇株新聞」についてどうこう言うのはおこがましい限りなのですが、なるほどーと思ったので、時系列で東芝の状態を追ってみて、既に東芝が上場廃止に当たっているかどうか考察してみようと思います。

2期債務超過となると上場廃止、過去の純資産を振り返る

 東証の上場廃止基準によると、

債務超過の状態となった場合において、1年以内に債務超過の状態でなくならなかったとき(原則として連結貸借対照表による)(日本取引所グループ-上場廃止基準

 簡単に言えば、1期だけなら債務超過も許してあげるけど、次の決算までに債務超過解消しないと上場廃止だからね、となります。
 東芝は2017年3月期の決算は債務超過突入で腹を括っており、2018年3月期中に半導体メモリー部門の売却によって債務超過の解消を図ろうとしています。2017年3月期だけなら債務超過を許してもらえるのでまぁコレはメモリー事業を高値で売るための1つの経営判断ではあります。

 そして東芝の純資産(=株主資本)の状態がこれまでどうなっているか、過去5期分を振り返ってみます。

2012/3期 株主資本718,664百万円
2013/3期 株主資本824,584百万円
2014/3期 株主資本1,027,189百万円
2015/3期 株主資本1,083,996百万円
2016/3期 株主資本328,874百万円
※決算短信より抜粋

 2016/3期時点で株主資本=純資産は3288億円存在しており、まだ東芝は債務超過には程遠い状態と見えますが、何のことはない東芝メディカルをキャノンにウルトラCを使って2016/3期中に売却しており、その売却益があるから純資産3288億円なのであって、東芝メディカルの売却がなければ、純資産はカツカツです。

 ま、とは言えコレで全てが終わっていれば、あぶねー、で終わったのですが、それで終わってないので今の騒動になっている訳です。

関連記事:東芝メディカルはキャノンへの売却が決定、そして諸々がスタート

問題のM&Aを2015年12月末に実施

 東芝の問題、何故ここまで深手になっているかと言えば、東芝の子会社のウェスティングハウス(WH)が、諸々の面倒を片付けるために原発の工事会社のストーン&ウェブスター(S&W)まで買収してしまったから。

 原発の設計と開発の会社のWHは、工事代金の支払いで工事会社のS&Wと揉めていたのですが、それならば自分で工事部門まで持ってしまえとばかりにWHはS&Wを2015年12月に買収しています。ちなみにS&Wの親会社はアメリカの大手ゼネコンのシカゴ・ブリッジ&アイアン。(実は買収後も揉めて裁判になりましたが、最終的にシカゴ社の請求は棄却)

 この原発工事の会社のS&Wの買収時期というのが問題で、繰り返しますがWHがS&Wを買収したのは2015年12月。

2016年1月5日「米国CB&Iストーン・アンド・ウェブスター社の買収完了について」(東芝のIR)

 東芝問題の最初のゴタゴタの中で何も変な買収せんでも・・・、というのが誰しも思う所なんですが、スルーしてしまう所が面白くって、日本を代表する経営者が社外取締役に名前を連ねていても、社外取締役は機能しないのね・・・、ということが白日の下になっているのですが、コレはまた別の機会に。(社外取締役って、あまり意味ないと思います、ホント)

 上記IR資料を見ると、「のれんの金額およびその資産価値につきましては~2016年12月末までに最終的に確定する予定ですが・・・」とあります。のれん代確定前によく買収するなー、とコレも素人目には思うのですが、やってしまったのだから仕方ありません。

 現在、東芝で問題になっているのはS&Wの買収後に発覚したトンデモない赤字。WHが破産法の申請もした現在、ほぼ赤字額が見えつつある中で、それじゃ今回の赤字をS&Wの買収した期の決算=2016/3期に計上しなさいよ、と監査法人に東芝が言われたらどうなるのか。

 2016/3期の株主資本は3,288億円しかないので、原発事業の7000-8000億円の損失を計上したら一発で2016/3期は債務超過、そして2017/3期中のメモリー事業の売却はなされていないので2017/3期も債務超過で2期連続の債務超過確定→上場廃止、こんなことになります。

 あちゃー、と思うのは管理人だけではないかと。

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東芝の上場廃止の生殺与奪の権を握る監査法人

 既に一度やらかしてる東芝には監査法人に対して抗弁できる状態ではありません。そんな訳で2016/3期の東芝を債務超過にしてしまうかどうか、即ち上場廃止の決断を下してしまうという生殺与奪の権を握っているのは監査法人と言えます。

 監査法人も相当なプレッシャーだよなぁ、と思いますが、筋論で言えばS&Wが抱えていた損失を計上するのは買収が行われた期の2016/3期となるので、仮にS&W絡みの損失を2017/3期に計上するとした場合、どういう説明になるのか非常に興味のある所ではあります。

 東芝が決算発表できない状態に陥っていますが、案外問題は2016年12月の第3四半期ではなくて、2016/3期の決算も修正しろと監査法人に詰め寄られて東芝が困っている、こんな構図の可能性も否定できません。

 東芝は決算発表の再々延期の可能性まで報じられています(2017年4月4日の日経)。ともあれ東芝の数字が出てくるのを待つしかないのですが。

先に売るべきだったのは半導体メモリー事業だったのかも

 今更ですが、昨年度東芝は東芝メディカルをキャノンに売っています。最終的にはウルトラCを使って、何とか2016/3期中に売却をねじ込んでいる訳ですが、このウルトラCは実は半導体メモリー事業の売却にこそ使うべきだったのかもしれません。

 メモリー事業を先に売って1兆円なり手にしておけば、2017/3期に原発事業で損失を計上してもギリギリ債務超過一歩手前で踏ん張れた可能性もあります。半導体メモリー事業、基本的に金食い虫な訳で、既に昨年の時点で余裕が無いの分かっていたので高値で売れるもんなら先に売ってしまえ的な発想があれば、ヒョットしたらヒョットしたかも。まぁ、タラレバですが、頭の体操ということで。

まとめ

 東芝が決算発表できない理由、何となく見えてきたような気がしないでもないですが、さてどんなもんでしょ。

 いずれにしても監査法人が東芝の上場廃止の運命を握っている、と言うのは間違いないようです。けど、いきなり実は2期連続債務超過でした・・・、となったら一体どうなるんでしょ。市場は東芝ショックで大混乱?それとももう逃げられる人は逃げているのでそんなに影響ないのか?

 変なことにならないことを願いつつ、東芝の決算発表を待ちたいと思います。

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