海外展開を加速するも一風堂の海外事業はまだ赤字

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 先日IPOしたラーメンチェーン店「一風堂」を展開する力の源HD。上場初日に初値が付かず、上場翌日に公募価格の3倍以上の初値が付き話題となりました。

 実は力の源HD(以後、一風堂)は現在海外展開に注力しており、約3割が海外店となっています。しかしながら2016年3月期の海外事業は赤字。一風堂の海外展開、ビジネスとして見た時はまだまだこれからの状態と言う事ができます。

3月21日に一風堂の運営会社・力の源HDがIPO

 TVで話題になりましたが、3月21日にラーメン専門店・一風堂の運営会社である力の源HDがIPO(株式上場)を行っています。一風堂の抜群の知名度もあり、3月21日に上場初値が付かず翌22日に公募価格600円に対し2,230円という3倍以上の初値となり、大きな話題となりました。

 一風堂=国内のラーメンチェーン店、というイメージがありますが、実は海外展開に積極的な会社としての側面を有しています。ご存知でしたでしょうか?

一風堂は196店舗の内で海外店が60店という店舗構成

 力の源HD(以後は、一風堂とします)は2016年12月末時点で196店舗を運営しています。ラーメンの「一風堂」意外にもうどん店等の運営を行っていますが、殆どが「一風堂」となっています。

 そして196店舗の中で、国内店が133店、海外店が63店との内訳となっています。一風堂=ラーメン=国内の会社、というイメージが強いのですが、実は店舗の約3割が海外店、と言うのが一風堂の真の姿となっています。

一風堂の海外店の推移

 当然、国内のラーメン店からスタートした一風堂ですが2008年にニューヨークに出店しており、早い段階での海外進出を果たしています。近年の海外及び国内の店舗数は下記のように推移しています。

2013年3月期 国内85店+海外17店=合計102店
2014年3月期 国内91店+海外35店=合計126店
2015年3月期 国内112店+海外50店=合計162店
2016年3月期 国内116店+海外55店=合計171店
2016年12月末 国内133店+海外63店=合計196店

 2014年3月期→2015年3月期に海外に一気に15店舗を出店。その後も着実に海外店舗数を増やしています。
 また2016年3月期は抑制していた国内出店を、当期は積極的に行っており12月末時点で国内店舗は前期比で+17店となっています。

海外店舗は赤字、事業としての本格立ち上がりは今後の課題

 日本の外食産業の海外進出の代表例と紹介されるケースもある一風堂。急速な海外出店は確かに評価すべきものですが、採算という観点で見ると2016年3月期は赤字。よって事業としての本格立ち上がりは今後の大きな課題となっています。

 同社の有価証券報告書では海外事業の損益は下記のように記されています。

2015年3月期 セグメント利益194百万円
2016年3月期 セグメント利益▲104百万円
2016年12月時点 セグメント利益86百万円

 ちなみに国内事業の利益は下記。

2016年3月期 セグメント利益1,166百万円
2016年12月時点 セグメント利益794百万円

 チェーン店系ラーメンとしては若干高い部類に入る一風堂のラーメン、2016年3月期は国内部門だけなら10億円の利益が出ています。ラーメンって儲かるのね・・・。

 ただし少子高齢化で人口減少社会の日本では、これ以上の成長は望めない、と言う事で海外展開に注力していると考えられますが、収益的にはまだ安定していない状態。2016年3月期は赤字でも2015年3月期は黒字なので、もう一頑張り、と言った所ではありますが。

 2017年3月期の決算はまだ発表されていませんが、12月までの損益は海外事業も黒字化。最後3月に決算を締めた時に一風堂の海外事業が黒字化しているのか?、という点は大きな注目ポイントと考えられます。

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海外展開の成功モデルと考えるにはまだ早い

 短期間で海外60店舗を展開している一風堂を、日本の外食企業の海外展開の成功モデルとして取り上げるケースもありますが、採算面から見ると、黒字→赤字、と来ているので、成功モデル、と言い切ってしまうのはまだ早いのではないかと考えます。

 2017年3月期黒字化して、2018年3月期に数億円レベルで黒字が上がって初めて、海外展開に成功、と言えるんじゃないかな、と思います。

 株式投資と一緒で海外展開もお金があればできてしまう面があります。一風堂の場合、政府系ファンドの海外需要開拓支援機構がIPO前に11.8%の大株主であり資金面は同機構が支援しています。
 ただし問題はチャントそこから利益を生み出すこと。九州のラーメン店から海外への展開って、ストーリー的には管理人も大好きなんですが、数字を見ると喜ぶのはまだ早いでしょう。

まとめ、2017年3月期決算に注目

 一風堂の店舗の約3割が海外店と知って、へぇ、と思いました。ただしもう少し掘り下げて見ると、2016年3月期は海外事業赤字と知り、店舗数は多くても、まだこれからの事業なのね、と思った次第。で、こんな記事書いてみました。

 黒字→赤字と来ているので、2017年3月期黒字化すれば、やれやれ、という段階にはなると思います。その意味で一風堂の2017年3月期決算で海外事業が赤字継続か黒字化達成かというのは非常に注目ポイントと考えます。

 さてどうなりますか。注目してみようと思います。

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