東芝が原発事業をやめると7934億円の請求書が回ってくる件

 原発事業の損失計上にて2016年12月時点で債務超過に陥ってしまった東芝。目下のところ、半導体事業の切り出しと株式売却により債務超過を回避すべく動い ています。

 けど冷静に考えてみれば、これだけ大穴を開けてしまった原発事業、もうやめてしまえ!、と普通は考えるのですが、あまりそんな声は聞こえてきません。

 何故かと言えば、原発事業をやめてしまうと7934億円の請求書が新たに回ってくるから、という部分が非常に大きく影響しています。

 前門の狼・後門の虎、という状態がまさにピッタリの東芝。果たして今の苦境を乗り切り、見事復活を遂げることができるのか?原発事業を抱えながら、当分苦しい展開が続きそうです。

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アメリカの原発事業の状況

 原発事業で大穴開けて、2016年12月時点で債務超過になってしまった東芝ですが、一番問題となっているのはアメリカで建設中の4機の原子力発電所。この」4期の原発が予定通りのコストで完成しそうもないので、今回の事態に陥っています。

 原発事業を積極的に展開するために原子力発電の会社(ウエスティングハウス)だけでなく原子力発電所を建設する会社まで買収したらえらいことになってしまった、というのが東芝の原発事業の損失の非常に簡単な図式となります。

 もろもろあわせて1兆円近い損失を、東芝はこれまで原発事業で計上したことになっています。

原発事業から撤退すると新たに7934億円の請求書が回ってくる

 ここまで大穴開けてしまった原発事業、もうやめてしまう=損切りする、と言うのが一つの判断となりますが、今のところは東芝が原発事業から撤退する、という報道はあまり聞こえてきません。

 稼ぎ頭の半導体事業の切り離しは話題となるのに、大穴開けた原発事業の撤退話が聞こえてこない大きな理由は、原発事業を辞めると新たに発生する7984億円の請求書に大きな理由がありそうです。

AP1000は、ウェスチングハウスが建設中の原発に導入する予定の新型原子炉だ。客先とは、原発建設をウェスチングハウスに発注した電力会社のことだ。もしいま、ウェスチングハウスが米国の原発4基の完成をあきらめて撤退すると、電力会社に「7934億円」の違約金を支払う義務があるということだ。そして、東芝は親会社としてそれを保証しているのだ。この保証は現時点も続いている。 (毎日新聞

 東芝が子会社としているウェスチングハウスは、アメリカで建設中の原発4機の完成をあきらめると電力会社に対し7934億円の違約金を支払う義務が生じます・・・。

<電力会社>この予算で出来るって言いましたよね→<東芝>大幅に予算オーバーです
<電力会社>責任持って建設するって言いましたよね→<東芝>途中でやめると違約金支払いの義務が発生

 状況的にはこんな感じ。

 簡単に、原発事業を辞めると新たに7934億円の請求書が回ってくる、と言いますが、既に昨年12月の段階で債務超過となっている東芝に、8000億円近い違約金を払う余裕は全くありません。

 よって、そもそも原発事業から撤退=問題の原因であるアメリカの原発建設から撤退、という選択肢は現状ではありえない、と言うことになります。

完成まで残りどの程度の予算が必要かは不明

 直近の記者会見等で、それじゃあとどの程度の期間と予算でアメリカの原発が完成するのか、という話は聞こえてきません。

 既に1兆円近い損失を計上しているアメリカでの原発事業ですが、まだ原子力発電所というモノ自体は完成しておらず、まさに現在建設中。これ以上の損失が発生することなく、完成に至ることができれば何ら問題ありませんが、予定通りに建設が進んでいないから東芝はこんな事態に陥っています。

 よって、今後は予定通りに原発の建設が進みます、と言われても、本当に大丈夫?、と思ってしまうのが人間心理。融資継続を依頼している銀行筋に東芝はアメリカの原発事業について、今後の見通しをどう説明しているのか、非常に興味深いところです。

関連記事:東芝の倒産危機、再建の鍵は地方銀行が握る可能性も

 ちなみにフランスの原子力発電の政府系企業のアレバもフィンランドの原発をなかなか完成させることができず、基本的に政府が抱え込んで困ってしまってます。三菱重工がアレバに出資するようですが、いずこも原子力発電所の会社は苦労しています。

関連記事:三菱重工がフランスの原子力大手アレバに出資へ

完全に原発事業に絡め取られてしまった東芝

 日本を代表する名門企業・東芝。不適切会計問題が出てきた当初、まさか東芝がこんな事態に陥るとは殆どの方は想像もしていなかったと思われます。

 不適切会計問題は、在庫の水増し等の典型的な粉飾決算的内容の問題に収支して、原発事業については殆どお咎めなし、となっていました。ところが原発事業が無傷で済む訳ないでしょ、と管理人は思っていましたが、その予想をはるかに超えて、7000億円以上の損失が今年度に新たに発生し、現在に至っています。

 まさか決算書に載っていない損失が発生するとは、誰も思ってませんって。管理人も無形固定資産の全額減損までは予想してましたが、別のところから7000億円規模の損失が登場、というのはマサカという事態です。ハイ、外部から企業を見る限界ですね、ここの辺りが。

 しかし日本を代表する大企業・東芝が原発事業に絡め取られてしまうとは、分からないものですね。

東芝は2017年3月期を債務超過で突っ走る様子

 2016年12月の時点で債務超過となっている東芝。当初は3月までに半導体部門を分社化して、株式を売却することで債務超過を回避、という方向のようでしたが、ここに来て、2017年3月期は一旦債務超過となって、2018年3月期中に分社化した半導体部門の株式売却をするなり策を考える、という方向になりつつあるようです。

 2017年3月期末時点で債務超過となると財務制限条項(ようはコノ条件になったら貸したお金返してね、という銀行等との契約)に抵触して銀行から受けている融資の返済に迫られる可能性が高い東芝ですが、メインバンク(三井住友銀行・みずほ銀行・三井住友信託銀行)は全面的に支援すると表明してますし、東芝を簡単につぶす訳には行かない国の意向もあるので、財務制限条項の問題はどうにかしてしまうのでしょう。

 上場している東芝株は債務超過転落で東証2部上場に指定変えとなりますが、株式の売買自体に何ら変化はないため、2017年3月期は腹をくくって債務超過で突っ走っても、実は会社側としてはそれ程の負担はありません。(株主総会は荒れるでしょうけど)

 ただし2018年3月期末時点で債務超過となると、それこそ上場廃止となるので、東芝経営陣にとっては2018年3月期は背水の陣で望むことになるのは間違いありませんが。

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東芝の株価は安値155円を割ると一気に下落の可能性あり

 12月の原発事業での新たな損失発覚以降、大幅に下落している東芝の株価ですが、2月17日時点ではまだ昨年の最安値155円は割れていません。

 東芝の株価は6年近く200~550円付近でレンジ相場を形成してきた、という歴史があります。よって現状の200円付近の株価水準であれば、まだレンジ相場の下限、という理解ができます。

 しかしながら今後下げが止まらず最安値155円を割れてくるようなことがあると、一気に株価が下落する可能性があります。多くの投資家が155円割れ=株価は違う次元に突入、と考えるので、下値が分からないから損切りしてしまえ、という行動が予想されます。となると売りが売りを呼んで・・・、という展開がありえます。

 155円をめぐる攻防は非常に活発に行われる見込みですが、買い方が勝つにせよ売り方が勝つにせよ、155円をつけた後の株価は一気に動くのではないかと考えています。

 尚、東芝の株価については下記で詳しく解説しています。

関連記事:東芝株価の今後の見通しと予想


東芝の株価は155円を割れるかどうかがポイント

まとめ

 不適切会計初期の頃から、当サイトでは東芝に注目して参りました。最初の頃から、原発の減損がされていないからまだ損は出る可能性が高い、と思いそんなことを書いていましたが、それにしてもB/Sに無い7,000億円以上の損失が新たに発生するのはホント意外でした。

 そしてまさか東芝がこんな危機的状況になるとは夢にも思わず・・・。企業経営も一寸先は闇だなぁ、と思います。金融機関がつぶれる時はアッという間ですが、まさかメーカーでもこんなことになるんですね。

 東芝問題はまだ何も終わっていません。2017年3月期はどうやら債務超過で突っ走る方針のようですが、となると問題は2017年度内に本当に問題の解決ができるかどうか。当サイト開設当初より追いかけている東芝問題ですが、どうやら3年目も東芝問題を追いかけることになりそうです。

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