さすがの東芝も倒産の危機的状況に、原発事業で数千億円の減損計上へ

 外部の人間も、そして恐らく殆どの内部の人間も、よもや、と思ったのが東芝の12月28日に行った、原発事業で新たに数千億円の減損損失発生の可能性がある、という記者会見。

 確かに事前に報道は流れていましたが、1,000億円レベルだったハズ。金額が数千億円に膨れ上がっているのにも驚きましたが、一番驚いたのは、新たなる損失、という点。ある程度追加の減損発生の可能性は読んでいましたが、今回発表された減損は全く新しく出てきた損失です。ビックリ仰天。

 さすがの東芝も数千億円レベルの損失計上では、倒産の危機的状況、と言わざるを得ません。資本増強が迫られますが、既に市場からソッポを向かれている東芝、公募増資のハードルは非常に高いため、資本増強は簡単ではありません。

 グループ企業やその家族まで合わせると、十万人レベルで日本の雇用を支えている東芝。今後の行方に注目せざるを得ません。

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東芝で数千億円レベルで新たな減損が発生の可能性

 東芝の減損問題は、不適切会計問題発生の頃からついて回っている問題であり、昨日(12/27)の日経新聞朝刊を見た時、またか・・・、と正直思いました。そして久しぶりに東芝関連で下記の記事を書いています。

東芝が1000億円の特損、まだ原発で消耗しているの?

 そして東芝は夕方に記者会見を行い、減損の発生の可能性が高いこと、その金額は数千億円レベルとなること、この減損はこれまでとは別の新しい内容のものであること、を発表しました。

 ・・・管理人の認識が甘かったようです。いやけど新しい減損って一体。いやもうてっきり、以前から残っていたのれん代の減損のお話かと思ったら、全く別の所から数千億円レベルの減損の話が出てきてビックリ仰天。東芝の内部も、上から下へと大騒ぎなのは間違いありません。

 これはいくら財務分析しても読めないな。。。今回新たに発表された東芝の減損について、簡単にまとめてみます。


東芝の記者会見の模様

約87百万ドルののれん代が気が付けば数十億ドル規模へ・・・

 今回の新たな減損の発生、簡単に言えば、2015年に買収したアメリカの原発関連会社(S&W社)がトンデモナイ損失を抱えていた、と言うことになります。

同(S&W社)買収の結果、WECグループ(東芝の原発事業の会社)及び当社連結ベースで約87百万米ドルののれんの計上を想定している旨公表しておりました。取得価格配分手続きの期限である12月末間近のこの段階で、のれんが数十億米ドル規模(数千億円規模)にのぼり、当該のれんの一部又は全額減損を実施することで、当社業績へ影響を及ぼす可能性が判明したことから、影響額は依然未確定ではありますが、決算発表の期日を待たずに本日お知らせします。(東芝のIR

 読んだままの内容ですね。約87百万ドル=約100億円については、のれん代を計上しておりコノ部分は決算書上からも認識できますが、新たに発生した部分は決算書上では分からない部分。そう、これまで誰も認識していなかった部分となります。

 東芝も不適切会計問題で大きな傷を負った後にやってしまってますね、コレは。

 S&W社の買収価格は公表されていませんが、仮に200億円で買収していたとして(100億円の企業価値+100億円ののれん代)、蓋を開けたら数千億円レベルで損失を抱えていた、ということになります。コレ事前に分かっていたら、のれん代を先に数千億円レベルで計上の内容です。まぁそれが分かっていたら、東芝も買収なんかしない訳ですが。東芝も完全にババを引いてしまった感があります。。。

減損は純資産(自己資本)の額から、倒産の危機的状況の東芝

 東芝で新たに発生する数千億円レベルの減損、メガトン級の破壊力を有しており、東芝は一気に倒産危機のレベルに達します。純資産(自己資本)の額を見れば一目瞭然。

 昨日の記事を書く際に調べましたが、2016年3月期末時点の純資産とのれん代他の額は下記となっています。

・のれん及びその他無形資産 639,889百万円
・資本合計 672,258百万円

東芝の2016/3期有価証券報告書より

 のれん代及びその他無形資産の大半は原発事業が占めていますが、コレは今回の減損損失発生が発覚する前に既に認識されていた数字。コノ数字は不適切会計問題でスルーされた部分が多く、いずれ減損の対象になると考えていた訳ですが、今回新たに数千億円レベルで減損が発生します。

 新しい減損の発生前で、のれん代他=資本合計、となっていたため今回の新しい減損の対象を加えると、のれん代他+新たに発生する減損>資本合計、となります。

 数千億円レベルの数字がハッキリ分からないのがモドカシイのですが、既に認識されているのれん代に新たに発生する減損をまとめて処理すると、東芝は債務超過転落です。。。

 もう原発事業はあきませんわ・・・、と監査法人が認識すれば、計上している原発関連ののれんの一括減損の可能性もあるので、最悪のケースとして考えられうる事態ではあります。まぁ既存ののれん代は、各方面が必至で守ろうとするのでどうにかなるとしても、実質的にのれん代=自己資本がバランスしている中で、新たに数千億円レベルの減損発生は東芝にとっては重すぎます。

 財務的には東芝は倒産危機のレベルと言っても過言ではありません。

東芝の発表を受け12月28日の東芝の株価はストップ安で寄り付き

 管理人も驚愕した東芝の新たなる減損発生、当然市場も驚きを持って受け止められ、記者会見翌日の12月28日(水)の東芝の株価はストップ安の311.6円(▲20.43%)で寄り付きました。

 まぁ当たり前と言えば当たり前ですが、年末相場で材料も出来高もない中、株式市場は東芝に話題が集中している状態となっています。


一報のあった12/27は下落したものの陽線で終わった東芝の株価ですが、正式発表後の12/28はストップ安311.6円で寄り付き

社長の経営責任は問えないよね

 ストップ安の洗礼を受けている東芝株ですが、その東芝の綱川社長は2016年6月に社長に就任したばかり。元々、東芝メディカルやヘルスケア事業で歩んできた方であり、原発事業にはノータッチ。東芝メディカル売却の功で社長に抜擢という背景があります。(ウルトラCの人事に近いような)
 
 記者会見で記者の方が、社長としての経営責任をどう考えるか?、と質問されていましたが、そんなの知らんがな、というのが本心でしょう、サラリーマン的には。まあ聞く方も、答える方も、お仕事なので形通りのやり取りではありましたが、綱川社長にとっては、なんじゃこりゃあ!!!、という事態なのは間違いありません。

 今回の件については、畑も違うし6月に社長になったばかりの現・綱川社長の責任を問うのは酷だと思います。

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公募増資での自己資本増強はハードルが高い

 東芝メディカルという虎の子の売却で一息ついたはずの東芝ですが、再建計画はここで再びスタートラインに戻ることになります。更に前回は東芝メディカル売却、という奥の手がありましたが、今回はそんな裏技も使えません。

 まずは債務超過になりかねない自己資本の増強が迫れますが、不適切会計問題でオオカミ少年になってしまった東芝は、公募増資のハードルは非常に高くなっています。個人的にはチャレンジすれば面白いのでは?、とも思いますが、そこまで度胸のある証券会社もなさそうです。
 
 となるとファンドに受けてもらうか、取引先に受けてもらうしかない訳ですが、東芝はどうするのか?目先は銀行に資金繰りをお願いして・・・、と記者会見では仰られていましたが、いくら東芝とは言え債務超過目前であれば貸せるものも貸せません。

 メモリー事業の分社化そしてIPO(株式上場)、という話題もありますが、問題なのは目先の自己資本増強であり、メモリー事業のIPOが仮にできたとしても、時間がかかります。

 選択肢が非常に狭まっている中で、東芝の経営陣がどんな判断をするのか、注目せざるを得ません。

 ちなみに当然のことながらメインバンクは東芝に対して支援を表明しています。ただし資本面の支援は限界があります。

関連記事:東芝の倒産危機、再建の鍵は地方銀行が握る可能性も

産業革新機構にご登場願っては?

 ここから先は想像の世界ですが、もうこうなった以上、東芝の救済には産業革新機構にご登場願ってはいかがでしょ?東芝は革新機構の出資者でもあり、知らない仲ではありません。

 再生投資はしない、という建前の革新機構ですが、先日決定したJDIの支援はグレーゾーンですし、東芝の場合はまだ新規産業のタネを自身で豊富に持っており、理由付けは充分可能。尚且つ原発事業を切り離してしまえば、本業は黒字で推移しているので、アッと言う間にキレイな会社の出来上がりとなります。

 再生ファンドの出番ですよ、ホント。素人でもEXITまでキレイに絵が描けます。経済産業省に東芝が原発事業から撤退する、という話を飲ませる必要はありそうですが、革新機構の管轄は経済産業省なので、腹を括ればできない話ではありません。グループ企業の家族含め10万人を路頭に迷わす可能性を考えれば、東芝再生のためには、原発事業を切り離すしかないと思うのですが・・・。

 政府系のファンドって、こーいう時に活躍すべきではないかな、と思うのですがどんなもんでしょ。基本的に政府系ファンドはどうかと思っていますが、原発事業と言う国の政策と密接に絡んでいる東芝は、民間ファンドで取り組むにはかなりハードルが高い(と言うかリスクとリターンを考えると、余程好条件でないと民間ファンドは出資できません)ので、JDIの支援よりよほど合理性があると思うんですけどね。

 産業革新機構の動きも注目したいと思います。

関連記事:ジャパンディスプレイ(JDI)が有機EL開発のJOLEDを買収、革新機構は750億円を支援

 

まとめ

 まさか追加で数千億円レベルの減損が発生するとは夢にも思っていませんでした。不適切会計問題で、徹底的に精査されたはずの東芝の決算書、まだ穴があったとは・・・。不適切会計問題とは別に、これで東芝の決算書の信頼はガタ落ちです。

 2017年は東芝の経営再建問題が大きくクローズアップされる年となりそうです。東芝メディカルの売却、と言ったような奥の手は既に使えない東芝、今後経営再建に向けどんな手を打つのか?資本増強は待った無しの状況であり、2017年早々にも方針を示す必要があります。

 新たなステージ入りした東芝の再建問題、2017年早々から注目です。

PS 東芝は半導体部門の切り出し+本体での資金調達のセットで生き残りを目指すようです
東芝は半導体を分社化し株式を売却、今後IPOも検討へ

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