テクニカル指標の代表者と言えば、RSI(相対力指数:Relative Strength index)を取り上げる方も多いのではないでしょうか?RSIはテクニカル指標の中で最も知られている存在と言っても過言ではありません。
しかし有名であるが故に、ダマシが多く使えない・・・、と言われる事も多いテクニカル指標です。
テクニカル指標を代表するRSIについて、その特徴や株式トレードでの使い方をご紹介。ダイバージェンスや他の指標と組み合わせて利用すれば、案外使えるテクニカル指標です。ただし逆張りで利用されて大怪我する方も多いRSI、ご利用は計画的に!(2018年8月31日更新)
概要
チャート分析で日常的に利用しているRSI
テクニカル分析から相場分析を始めた管理人、長らくテクニカル分析の世界にドップリとハマりました。今もハマっている、と言えばハマってます。ただし、どうしてもコレ!、という指標や組み合わせには巡り会えず、現在に至っています。そもそも、コンピューターがシステムトレードするならともかく(ここが結構重要な点だと個人的には思っています)、人間が相場に向き合うのにテクニカル分析は合わないのかも、とある時にフト思いました。
そんなこともあり、管理人は若干方向転換して、フィボナッチ中心の分析に方向転換をすることになるのですが、それでもやはり忘れられないテクニカル分析への思い。
マニアックなテクニカル指標を見たりもしていますが、当サイトは基本的には普通に存在しているフィボナッチツールやテクニカルを利用して、株価の分析をしようとするのが基本的なコンセプト。
そんな管理人が唯一と言っていいほど、普段から見ているテクニカル指標はRSI(相対力指数:Relative Strength index)。さすがにRSI単独で判断することはありませんが、チャート分析の際、非常に良い補助線をRSIは引いてくれます。
そもそもRSIの意味
そもそもRSIとは(相対力指数:Relative Strength index)の略です。アメリカのテクニカルアナリストのJ.W.ワイルダー氏によって開発されました。ワイルダー氏は様々なテクニカル指標を編み出したことで知られていますが、RSIはその代表作と言えます。
そのRSIは、あらかじめ決められた期間中の終値について、下落した日数に対する上昇した日数の割合を計算するもので、0~100(%)までの数字で表示されます。数字が0付近なら売られ過ぎ、100付近なら買われ過ぎ。
RSIを極簡単にどんな指標かと言えば、「過去の値動きに対する上昇幅・下落幅の割合をグラフ化」したものになります!
RSIは50%を中心に0~100%の間で動き、株価等の価格の「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を表すと言われており、ストキャスティクスのようにオシレーター系=逆張り系のテクニカル指標として知られており、逆張り系のテクニカル指標としては、ストキャクティクスと双璧とも言える存在です。
RSIの計算式
RSIは下記の計算式で計算されます。
RSI=100-100÷(1+RS)
※RS=過去n日間の終値の値上がり幅の平均を、過去n日間の終値の値下がり幅平均で割ったもの
ハイ、具体的にコレでは何のコッチャということになりますで、簡単な具体例を出して計算してみます。5日RSIを計算してみました。
12月1日株価500円(前日比+10円)上昇
12月2日株価550円(前日比+50円)上昇
12月3日株価510円(前日比▲40円)下落
12月4日株価490円(前日比▲20円)下落
12月5日株価480円(前日比▲10円)下落
まず最初に、上昇した日の上昇値幅合計、と、下落した日の下落値幅合計、を出します。
・上昇値幅合計 10円+50円=60円
・下落値幅合計 40円+20円+10円=70円
次に、上昇値幅合計を、上昇値幅合計+下落値幅合計、で割って100を掛けて%表記します。
・上昇値幅合計60円/上昇値幅合計60円+下落値幅合計70円×100=46.2%(5日RSI)
今回算出された46.2%というRSIの数値は12月1~5日の5日RSI。相場が進むにつれて、翌日は12月2~6日、その翌日は12月3~7日(実際は営業日ベース)、と計算していくと、RSI数値の推移が分かるので、その数値の絶対値と推移から、相場が「買われ過ぎ」もしくは「売られ過ぎ」を判断します。
今回の計算では46.2%という50%近辺であり、相場は停滞中、という判断が一般的にはなされます。
RSIの一般的な使い方
RSI単独での使い方とすれば、RSIが70や80を上に抜けて、次に70や80を割ったら「売り」。RSIが20や30を下に抜けて、次に20や30を上回ったら「買い」というものが一般的です。
20-80のセットを、30-70のセットにしてもOK。これは相場及び個人の好みの問題。ただし20-80の方が、発生頻度が少ない代わりに精度は高くなります、当然ではありますが。
画像だと、「買い」の場面では、ボチボチうまくトレードできていますが、「売り」の場面は結構微妙。この「売り」の場面にRSIの欠点が現れています。
RSIの欠点
RSIは基本的に逆張り用のテクニカル指標です。と言うことは、その欠点は、予想通りに反転しないと大火傷することになる、という点にあります。
ストキャスティクスもそうですが、逆張り用のテクニカル指標=オシレーターは天井や底に張り付くことがよくあります。
そんな訳で、RSI単独で利用してトレードすると大火傷するリスクがあります。
上記のケースは、RSI70を超えてセオリー通りにショート=売り、を仕掛けても、上昇トレンドが継続してドツボにはまるケース。RSIではこんなことは日常茶飯事です。
1回目のRSIの仕掛けでやられ、2回目のRSIの仕掛けでやられ、そして3回目のRSIの仕掛けでもやられる・・・。大きなトレンドが生じている相場で、RSIを利用して何度も何度もヤラレタ=損切にあう人、恐らく管理人だけではありますまい。
人間、一度持った相場観ってナカナカ諦められないもんです。だから確かに損切は出来ても(損切できないのは、それ以前の問題として)、また同じ方向に仕掛けてやられてしまう・・・。RSIの欠点とメンタルの欠点が合わさると、ホント思わぬくらい連敗します。
これだけをもって見れば、RSIは正直危険すぎて使えません。変なエントリーしたいために、敢えて見ないほうがいいくらいです、ホント。オシレーター系での仕掛けの失敗、損切せずにそのままにしておくと、大火傷します。また損切しても、自分の相場観に固執して何度も同じ方向にエントリーして、結局大火傷してしまうケースもあります。
ちなみに前者は損切できれば解決しますが、後者は損切の次の問題として生じます。
管理人的RSIの使い方
過去RSIで勉強代を払った管理人ですが、それでも懲りずにRSIを見ているのは、フィボナッチとの組み合わせると、案外よい補助線を引いてくれるから。
①トレンド方向の戻りの判断に使えるRSI
フィボナッチでトレンド方向見つけて、まだトレンドが続いているケース、そこで戻りが発生している場合、殆どはフィボナッチの数字で戻りの目処をつけますが、これにRSIを付け加えると、判断がクリアになることがあります。
フィボナッチも反転ラインだし、RSIも20以下もしくは80以上、となると反転の可能性が高そうだ、と考えられます。 最終的には株価は反転せず損切、ということだって当然ありますが、相場分析は基本的に根拠の積み上げが非常に重要です。フィボナッチだけだと心許ない場合、RSIがOKであれば、多少は安心してエントリーできます。
ただやってみると分かりますが、案外トレンド方向に対してRSIが20や80を超えるケースが少なかったりします。それが悩ましい所ですね。ただし逆張りがウマク決まる場所ってそんなにありませんよ。株なら色々な銘柄を見て、RSI20-80をオーバーしている銘柄探すのがよいのではないでしょうか?
②RSIのダイバージェンスについて
ダイバージェンスというのは、価格が新高値や新安値を付けている一方、その価格を基にしたテクニカル指標が新高値や新安値をつけられない状態のことを言います。
ダイバージェンスはRSIとMACDが二大巨頭です。RSIの場合は、一旦20なり80を超えて、その後一旦落ちてるのに、相場は伸び続けている、という状態であれば、そろそろトレンドが終わりそうだなぁ、と考えます。
RSIのダイバージェンス、こちらもそんなに多くはお目にかかる機会はないのですが、結構決まります。折角表示させているRSI単に20や80オーバーだけ見るのは勿体無い。こちらもフィボナッチと合わせて見ることで、相場判断の根拠積み上げに役に立ちます。
尚、ダイバージェンスについては下記で詳しく説明しています。
RSIの決済場所、短期的には50%付近がオススメ
RSIベースでトレードするなら決済場所は50%付近に戻ったところで行うのがオススメです。
「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」がRSI+アルファで確認できて逆張り→RSI50%付近に戻ったら決済、エントリーの精度を高めることが出来れば、程よい所で決済できますよ。「買われ過ぎ」と「売られ過ぎ」の戻りを狙うという手法となり、どちらかと言うと、スキャルピング手法に近くなりますが、決まると結構爽快です。
ただしRSIで本当にトレンドの転換点を捉える事ができた時にRSI50での決済は正直モッタイナイ。けど押し目や戻りの場合、50での決済はうまく逃げる事ができます。この辺りはRSIと言わず、決済の難しい所になります。
トレンド転換か押し目・戻りかを、他のテクニカルなどで判断して、それに応じて決済方法を変える、コレが理想的です。ただしそれが簡単にできればトレードの苦労は半分くらいなくなります。決済はPIVOTなど、通常の値動きベースのテクニカル指標とはタイプの異なるテクニカルを利用する、という方法もあります。
いずれにしても決済は永遠のテーマなので、どんな指標を使っても試行錯誤が必要になります。ただしその試行錯誤は、その後のトレード人生に大きな武器となりますよ。
・緑の部分でエントリー→決済すれば、勝てます。ただしエントリーの精度が要求されます。
RSIは値が伸びない銘柄や商品と相性が良い
大きなトレンドが出ると連敗のリスクが高いRSIですが、逆の発想が出来れば充分利用できます。それは、値が伸びない銘柄や商品をRSIでの分析対象とする、という事。レンジ相場に入っている銘柄などが対象となります。
RSIは大きなトレンドが出るとやられるので、大きなトレンドが出ない対象なら大負けは無くなります。銘柄によっては何年もレンジ相場が続いている銘柄があります。またサヤ取りのように、上下に同じようなリズムを描く対象をトレードする場合もあります。
全部が全部RSIで見るとうまく行きませんが、値が伸びないという観点で色々見ると、案外”これは・・・”というモノが見つかることがあります。
2018年8月時点、上記の考え方を背景に、管理人にとってRSIはトレードで欠かすことのできないテクニカル指標となっています。何でもそうですが”相性”というものがあるんですよ。この銘柄はRSIに合うかなー、という観点で一度チャートをご覧になると、面白いものが見えるかもしれませんよ。
RSIのまとめ
テクニカル分析、非常に奥が深い世界なので、管理人は単に途中で挫折してしまっただけ、かもしれません。ただしある時に、テクニカル分析はある程度の所まで行くと同じことの繰り返しかも?
、と思うに至り、フィボナッチに方向転換しました。
実はRCIのパターン認識が、テクニカル分析では一番面白いかもしれませんが、RCIの話は下記で詳しく解説していますのでそちらをご覧ください。
テクニカル分析オンリーで相場で勝っている方もおられるでしょうが、管理人は試行錯誤の末でフィボナッチ+テクニカル多少、という今のスタイルに落ち着きました。
RSIは、管理人がフィボナッチ分析に方向転換しても使い続けている、稀有なテクニカル指標となりました。テクニカル分析にご興味ある方、RSIオススメですよ。ただし世間一般で言われているような30-70や20-80を超えたらエントリー等、という工夫のない使い方だと正直トレードの期待値をプラスにするのはシンドイと思います。ましてRSIだけで勝てるほど相場は甘くありません、これはご注意ください。
それらを踏まえてRSIを見てみると、なるほど〜、という新しい世界が広がっているかもしれませんよ。有名なテクニカル指標だからこそ、使えない、と言われることの多いRSIですが、使い方次第です。まずは自分のスタイルに合った使い方を考えてみてはいかがでしょうか?ウマイ使い方が見つかれば、その後のトレードに一生使える宝物になりますよ。
PS RSIとケルトナーチャネルをセットで利用する方法を記事化しています
・チャートのテクニカル分析を行うなら、チャートソフトが必要不可欠です。マネックス証券の提供しているトレードステーションは、世界的に利用されているチャートソフトです、トレードステーションさえあれば、株式チャートのテクニカル分析はほぼ網羅可能です。利用も無料で可能です。株式チャートの分析をするなら、トレードステーションを是非お試しください。管理人も愛用しています。
・無料で利用できるマネックス証券トレードステーション(トレステ)の口座開設詳細を見てみる
テクニカルについてもっと知りたいなら下記もどうぞ
・トレードステーションで3本RCIを表示して活用する方法
・株やFXのダイバージェンスの意味とは?実際の使い方の具体例