ゆうちょ銀行の予想株価1,400円、PERは割高でPBRは割安で悩ましい・・・

Sponsored Link

 遂に上場承認がなされた日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命。3社一気に親子上場という前代未聞の試みは、果たしてうまく行くのでしょうか?

 親子上場とは言え、1社ずつ目論見書は開示されているので、各社の上場時の想定株価について見て参ります。まずは第一弾はゆうちょ銀行(東証1部7182)。普通の銀行とは若干毛色の違う銀行ではありますが、銀行は沢山上場しており、一番他社と比較しやすい会社です。

 そんな、ゆうちょ銀行上場時の売出の予想(想定)株価は1,400円!

 PERで見れば割高、PBRで見れば割安と言う、結構悩ましい水準です。配当利回りは他のメガバンクと比べると若干高い水準となっています。
 
 最終的に1,450円で着地したいうゆうちょ銀行の売出株価、高いor安いの判断をつけにくい、結構悩ましい水準ですが、主幹事・野村証券の苦心の跡が見受けられる株価となっていました。

 そして注目の11月4日(水)の上場初日、ゆうちょ銀行の初値は1,680円で終値1,671円(+15%)という結果となりました。上場スタートとしては成功と言っていい内容。上場成功おめでとうございます!(2015年11月5日更新)

関連記事①:かんぽ生命の予想株価2,150円、同業他社より配当はいいが特徴の無い値付け

関連記事②:日本郵政の予想株価1,350円、ヤマト運輸ではなくメガバンク(銀行)が類似会社だった!

ゆうちょ銀行の株価を考える上での基礎データ

 ゆうちょ銀行の株価を考える上での基礎データを目論見書から下記のように抜き出してみました。

15.9.11ゆうちょ銀行基礎データ-min
 
 ただし、これだけでは何ら意味を持ちませんね。次にゆうちょ銀行を想定株価1,400円で計算したらどうなるかをやってみました。

ゆうちょ銀行の予想株価1,400円の場合のPER、PBR、配当利回り

 上記の基礎データを基づき、ゆうちょ銀行を予想(想定)株価1,400円でPER、PBR、配当利回りを算出したのが下記となります。

15.9.11ゆうちょ銀行PER、PBR、配当利回り-min

 ゆうちょ銀行は2015年8月に1→30株の株式分割を実施していますが、上記数字は分割を加味した数字(期末に分割したと想定)となっています。

 どうですかね、PERを見ればこんなものかなぁ、という感じでしょうか。PBRを見ると割安という感じを受けます。配当利回りは3%超えているので、高めではあります。(今期の配当は計画値の2倍以上とすると公表されているので、「予想配当利回り2」を見ています)
 
 ゆうちょ銀行単独の数字を見れば、売出で想定されている1,400円という株価は、若干割安もしくはこんなものかなぁ、という株価水準ではあります。

 では、同じ銀行業のメガバンクとこれらの指標を比較するとどうなるのかを、次にやってみます。

※PERとPBRについては下記記事をご参考ください

東京三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行とゆうちょ銀行の株価指標の比較

 下記で東京三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3行と、ゆうちょ銀行の株価指標の比較を行ってみました。(尚メババンク3行の株価は、2015年9月10日終値を採用)

15.9.11ゆうちょ銀行とメガバンクの株価指標比較-min

 ゆうちょ銀行の株価指標、メガバンク3行と比較すると、ゆうちょ銀行単体を見た時と、また違った光景が見えてきます。

 PERで比較すれば、ゆうちょ銀行はメガバンク比で約1.5~2倍となっており割高。

 PBRで比較すれば、ゆうちょ銀行はメガバンク比で約0.8倍前後と若干割安。

 配当利回りで比較すれば、ゆうちょ銀行はメガバンク比で若干割安。
ただし配当利回りはみずほ銀行の実績利回り3.55%と比べると、ほぼ同等。

 さて、これをどう見ますか?

Sponsored Link

少なくとも割安でお買い得、と言い切れる水準ではないゆうちょ銀行の株価

 ゆうちょ銀行の1,400円という予想(想定)株価、結構悩ましい水準です。

 PERで見れば買うメリットありません。PBRで見れば買ってもいいかなぁ、と思わないでもない。配当利回り、まぁ無しじゃないですが、配当利回り3%以上の銘柄探せばあるし、REITもあります。

 と言うことで、ゆうちょ銀行の1,400円と言う株価は少なくとも割安でお買い得、と断言できる株価水準ではありません。

 ただし、多くの方は公募価格で手に入れて初値付近で売ったらどうなるか、にご興味おありだと思います。IPO投資の醍醐味はそちらですから。それについては、下記記事で過去の民営化案件をまとめているので、そちらをご覧ください。
 過去の民営化案件は8件あって5勝1敗2引分け、勝率62.5%。これに乗っかるかどうかです。詳しくは下記記事で分析しています。

15.9.11ゆうちょ銀行目論見書-min
証券会社の苦心の跡が垣間見えます

ゆうちょ銀行の売出価格(株価)の仮条件1,250~1,450円に決定

 10月7日(水)にゆうちょ銀行の売出価格(株価)の仮条件が発表されました。

・売出価格(株価)の仮条件→1,250~1,450円
・予想PER→14.65~16.99倍
・PBR→0.40~0.47倍

 想定公開株価を1,400円としていたゆうちょ銀行。仮条件1,250~1,450円であれば、こんなもんでしょう。昨今のIPOの市場環境と政府の面子もあるので、ゆうちょ銀行の売出価格(株価)は仮条件の上限1,450円で決定されると推察されます。

 尚、ゆうちょ銀行の売出価格決定はかんぽ生命と同じく10月19日(月)となっています。(日本郵政の売出価格決定日は10月26日(月)と1週間後)

ゆうちょ銀行の売出価格(株価)は1,450円

 予想通り、ゆうちょ銀行の売出価格は仮条件の上限1,450円となりました。

 上記で指摘の通り、配当利回りやPBRで見れば確かにメガバンク株に比べて割安ですが、PERで見れば割高。新聞や雑誌見てると、配当やPBRの言及は多いのですが、PERへの言及は少なくなっていますのでご注意を。

ゆうちょ銀行の初値は1,680円で終値1,671円(+15%)

 11月4日(水)に無事に東証1部への上場を果たしたゆうちょ銀行。

 ゆうちょ銀行の初値は1,680円で終値は1,671円(+15%)!

 終値ベースで言えば、かんぽ生命の+56%に比べれると+15%ではモノ足りない?イエイエ、贅沢言ってはいけません、過去の民営化案件、JTのように負けているケースだってあるのですから。

 尚、上場初日の終値ベースで郵政3社の株価及び値上がり率は下記のようになりました。

・日本郵政→1,760円(売出1,400円:+26%)
・ゆうちょ銀行→1,671円(売出1,450円:+15%)
・かんぽ生命→3,430円(売出2,200円:+56%)

 まずは、ゆうちょ銀行の上場スタートは成功した、と言えます。メガバンクより図体のデカイゆうちょ銀行。今後はどんな成長をすることができるのか、という部分が株式市場からの評価を得る鍵となるのでは?

 何はともあれ上場の成功おめでとうございます!

ゆうちょ銀行の株価まとめ

 ゆうちょ銀行の売出株価1,450円は、投資する側から見れば多少割安感はありますが、PERを考えると悩ましい株価。ただし、政府が証券会社に圧力加えて株価を変に高くした、という印象はありません。その意味では、ゆうちょ銀行の上場主幹事の野村証券の苦労の形跡が見られ、うまいこと考えたなぁ、という株価ではないかと。

 そしてゆうちょ銀行は、初値として初日終値ともに売出価格を上回ることができ、まずは上場のスタートに成功。ただし個人投資家に長く持ってもらいたい、というのが政府の意向のようですが、であればもう少し配当利回り上がらないと、厳しいのではないかなぁ、とも思います。

 融資が出来ないという特殊な形態を持つゆうちょ銀行。上場したからには、形態の特殊性はあれどメガバンクと似たような尺度で評価されることとなります。そんな中、ゆうちょ銀行は成長戦略を描きつつ、株式市場の評価を得ることができるのか?ゆうちょ銀行は、上場によって間違いなく新しい第一歩を踏み出したと言えます。

 今後のゆうちょ銀行の活躍及び株価の検討を祈りつつ。上場成功おめでとうございました!

「日本郵政上場の関連まとめ記事」を作成しました!
「日本郵政の上場(IPO)、時期や株価等の各種情報まとめ」

スポンサードリンク
スポンサードリンク