東芝の下方修正はスマートメーターが原因?企業買収(M&A)失敗の典型例?

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 東芝の決算下方修正はスマートメーターが原因の可能性が。実は企業買収(M&A)の失敗の典型例という可能性もあります。

 現在、第三者委員会が一生懸命原因の究明を行っている、東芝の会計問題。第三者委員会の報告が出てくるのが7月中旬であり、実際何があったのか分かるのは、それ以降。

関連記事:東芝の会計問題、今後の日程、決算確定は8月予定!

 今後、第三者委員会が藪を突いたら蛇が出てきた、という状況も考えられますが、現段階で原因では?、と言われているのが、息の長い事業での会計処理の問題。
 その中で、大きくクローズアップされているのが東芝が2011年に産業革新機構と合同で買収(M&A)した、スマートメーターを手がける産業革新機構と買収したランディス・ギア社の問題。

 東芝の会計問題、藪から蛇が出てこなければ、M&A失敗の典型例、という結論になる可能性もあります。

東芝の会計問題の中心に位置するスマートメーター

 東芝が2011年に産業革新機構とともに買収したスマートメーターを手がけるランディス・ギア社。東芝は同社の買収に23億ドルを投じ、同社の買収を手掛かりに電気メーター事業=スマートメーター事業に参入しています。

 当時、あのM&Aに保守的な東芝が23億ドルをM&Aに投じた、と話題になったものです。

スマートメーターとは?

スマートメーター (Smart Meter) とは、従来のアナログ式誘導型電力量計と異なり、電力をデジタルで計測し、メーター内に通信機能を持たせた次世代電力量計のこと。(ウィキペディア

 簡単に言ってしまえば、通信機能付きの電気メーターです。既存の電気メーターをスマートメーターに変えることで、電気メーターの検針のオバチャンが必要なくなります。またスマートメーターを使うことで、電機の需要の多い所と少ない所を把握することで、より効率的な電気の活用も可能になります。東日本大震災による福島第一原発の事故で、東京電力管内が電力不足になった際にクローズアップされ、覚えたおられる方も多いのでは?

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東芝が受注して東京電力に納入したスマートメーターが動かない?

 東芝がM&Aにより参入したスマートメーター事業。東京電力の案件を東芝が受注したようですが、事業としては大苦戦のようです。
「東芝不適切会計の過半を占める“非スマート”メーターの惨状」

 そしてやはり気になるのは下記部分。

そして、このスマートメーター事業こそが、現在、世間を揺るがしている東芝の不適切会計で、約半分を占めているのだ。現状では不適切会計の全容はまだ判明していないが、減額修正が必要とされる約500億円のうち、約260億円を占めるとされている。

 どうやら東芝は、スマートメーター事業でやらかしてしまっているようです。

企業買収(M&A)の典型的失敗例

 あの東芝が大規模な企業買収を行った、と話題になったスマートメーターを手がけるランディス・ギア社の買収。今回、会計問題に揺れる東芝の問題の本丸がスマートメーター事業にあるとすれば、ある意味で企業買収の典型的な失敗例ということになりそうです。

 企業買収(M&A)を行って、新しい市場に参入しても、結局うまくいかずに大赤字を計上して失敗、M&Aの世界ではありがちなお話です。

 その失敗を東芝は壮大なスケールで行った、と考えれば、今回の東芝の会計問題、そんなに面倒は話ではありません。(問題がそれだけにとどまればという前提条件付きですが)

 まぁそれにしても、随分と高いモノを掴まされてしまったのね、というのは残りますが。

問題は株式の減損

 東芝の会計問題、スマートメーターの事業が中心、ということであれば、そんなに大事にはならない可能性があります。ただし、「以前の記事」でも指摘しましたが、問題が減損にまで発展すると面倒なことに。

 23億ドルで東芝が買収した、ランディス・ギア社。これまで株式の減損を行ってきた様子はないので(減損してあれば問題ないのですが・・・)、今回の問題発生を機にランディス・ギア社の株式の減損を行おうものなら、会計的な赤字は500億円を大幅に上回る可能性も出てきます。

 スマートメーター事業は当面回復の兆し無し、と第三者委員会及び監査法人が認定すれば、約23億ドルで買収したランディス・ギア社の株式の評価を下げる=減損の必要があります。

 どこまで評価を下げるかは、今の段階では分かりませんが、仮に半額とすれば約12億ドル、日本円で約1,480億円。東芝にとっては一大事になる可能性があります。

 第三者委員会はランディス・ギア社の株式の減損問題にまで言及するのか?今後大きな注目点となりそうです。

 ちなみに東芝は原子力発電事業のウェスティングハウスという会社も、50億ドル以上をかけて買収しており、原子力発電事業の先行き不安とともにウエスチング・ハウスの株式の減損の話題も上ることがありますが、今回の会計問題にはウエスチングハウスは関係していないようです。

まとめ

 スマートメーターの事業面だけであれば、M&Aの失敗事例ですなぁ、という形で終わる可能性のある東芝の会計問題。一方で株式の減損という厄介な問題も抱えています。果たして東芝の会計問題、今後どんな展開となるのでしょうか?

 いずれにしても7月中旬に提出される第三者委員会の報告待ち。しばし様子を見守るしかなさそうです。

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