ANAがエアバス380を買う?スカイマークはANA案で企業再生へ

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 注目されていたスカイマークの支援。最大債権者のイントレピッドがデルタ航空を連れてきて、どうなることやら、と思っていましたが、債権者集会でANA案が支持され、スカイマークはANAの下で再建が進むことに。

 ただしANAはスカイマークを手に入れるために、エアバスに対してカードを切った模様。やはりANAはあのどデカイ、エアバス380(A380)を購入するようです。(2016年1月4日更新)

スカイマークの支援ANA案が過半数の支持を獲得

 スカイマークの支援、ANA案とイントレピッド+デルタ航空案の2つが提示されていました。

関連記事:スカイマークの企業再生が難航、ANAは悪者ではないような

 イントレピッド+デルタ航空案が優勢か?、と言う話もありましたが、下記のように大差でANA案が支持されました。

議決権額での得票率
→ANA案60.25%-イトレピッド案38.13%
債権者数での得票率
→ANA案 約78%-イントレピッド案 約22%

(日本経済新聞2015/8/6より)

 フタを開けてみれば圧倒的な大差でANA案が可決。ここに至るまでに色々とありますが、落ち着く所に落ち着いた、という感じがします。

エアバスがANA案を支持したのが決定打

ここまで大差がついたのは2位債権者(約29%)のエアバスが ANA案の支持をしたから。そして3位債権者(約16%)の航空機エンジン大手ロールス・ロイスもエアバスに追従。

 ただし当然タダでANA案を支持した訳ではないでしょう。何かしらANAはエアバスに対してカードを切っていると思われます。

ANAがエアバス380を購入へ

 ANAはスカイマークを取るために、エアバスにどんなカードを切ったのか非常に興味のある所ですが、日経新聞(2015年8月6日)には下記のような記載がありました。

ANAが(エアバスに)発注を決めた機種や機数は明らかではないが、スカイマークが国際線への導入を計画していたのと同じ総2階建ての超大型機「A380」が有力。カタログ価格は1機約4億3000万ドル(約530億円)。世界の航空会社から「不人気」の評価を与えられ、エアバスが威信をかけて売り込みに力を入れている最上位機種だ。

 スカイマークが経営破綻のキッカケとなった、あのA380をANAが購入?もし本当であれば、結構なカードをANAは切ったことになります。ANAがA380を買ってくれるのであれば、エアバスにとっては願ったり叶ったり。

 その後しばらくANAがA380を購入するかどうかは分からずじまいでしたが、年明け早々1月1日にANAがA380を購入するという記事が日経新聞の一面を飾っていました。

ANA、超大型機導入 エアバスA380、3機1,500億円(2016/1/1日本経済新聞)

 ANAは3機のA380を購入して、2018年度にハワイ路線等に導入するようです。A380でハワイですかぁ、何か豪勢な感じですね。

A380は不人気機種でエアバスも頭を悩ましている

 2005年に鳴り物入りで登場したA380。2階建のどデカイ飛行機、と言えばニュースを覚えておられる方もいるのでは?シンガポール航空が導入する等、当時は結構話題になりました。

※30秒頃からの離陸の様子でそのデカサが分かります

 ところがこのA380、エアバスにとってはお荷物機種となってしまっています。売れていないんです、財務的に不安があったスカイマークにエアバスが飛びついたの、A380が売れるのなら・・・、という面があります。

 LCC全盛の昨今、ジャンボ機の人気はサッパリ。B747をANAもJALも引退させたのがその象徴ですが、時代はジャンボ機の時代ではありません。流行はB777、B787、B767のようなエンジン2発の中型機です。

 そしてついでに言えば、A380の離着陸には長い滑走路が必要。着陸できる飛行場が限られししまう、という欠点もあったりします。

 そんな訳では、時代の流行から外れていて、更に使い勝手も今ひとつのA380、ANAが買いますよ、と言えばエアバスとすれば、これほど嬉しい話はない訳です。

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けどANAはリスクを抱えることに

 本当にANAがA380を買う、ということであれば、ANAは結構なリスクを取った事になります。元々頼まれ仕事の感があった、ANAのスカイマーク支援、ANAは最終的に腹を括った形になっています。

 ただし採算性悪いとB767を引退させたANA、再び大型機を導入する事になります。当然買うとなれば1台だけということにはならず、更に部品等々の付随費用も結構発生する訳で、スカイマークとA380を天秤にかけて、行ける、と判断したのでしょうが、将来的な負担が少々心配。

ANAの株価は好調だが、悪くなる時に一気に悪くなる航空会社

 現在のANAの株価は好調そのものです。(2015年8月5日現在)

ANAの株価(2年分)

 ただし航空会社の怖い所は、業績が悪くなる時に一気に悪くなる所。
これは規模の大小を問いません(当然、規模の大きい会社は体力がある分、耐性はありますが)

 ANAだって過去の業績を振り返ればそれが分かります。2010年3月期は経常利益860億円の赤字を計上。そしてJALが経営破綻したのも、まだ記憶に新しい所。

 ANAはエアバスにカード切ることでスカイマーク(というより羽田空港の発着枠)を手にしましたが、重い荷物をしょいこんだことに。平常の時はいいのですが、非常事態の時、これが結構な重石になる可能性があります。

ANAはスカイマークの神戸空港便どうする?

 個人的に興味があるのは、ANAはスカイマークの神戸空港便どうするのか、という部分。
 
 神戸空港はスカイマークが最大のお客さんな訳ですが、採算的にはシンドそうな感があります。スカイマーク再建の過程で、採算性悪い、と言うことでスカイマークが神戸空港から撤退、となると神戸空港を管理する神戸市は顔面蒼白でありましょう。
 ただでさえ赤字の神戸空港、更に赤字が拡大することになりますし。スカイマークと神戸空港の関係が今後どうなるのか、非常に興味深いです。

 ちなみに評判が今ひとつの神戸空港ですが、アクセスは最高によいです。神戸空港は三宮駅からモノレールで約20分。
 歴史的な事情はありますが、ここに関西空港作っておけば、と思います。

15.8.6神戸空港-min
ANAは神戸空港のスカイマーク便どうするのか?

まとめ

 ともあれANAの支援の下で再建を行うこととなったスカイマーク。シンドイ航空会社の支援を得意としているANAですから、スカイマークも再生の可能性が高そうです。

 ただしスカイマークを手に入れるために、ANAも結構なカードをエアバスに切っている可能性があり、今後それがどうANAの経営に影響を与えるのか、ここは注意したいところ。

 まずはスカイマークの再建が上手くいくよう、願うのみです。

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