餃子の王将を展開する王将フードサービスの社長が本社前で射殺されて2年。昨日、王将フードサービスが設置した第三者委員会の同社に対する調査報告書が明らかになりました。
社長射殺の謎は各方面で既に報じられているので、そちらに任せるとして、調査報告書を見て気付くのは、王将側が証券会社や証券取引所に対してその場を取り繕うような嘘を繰り返してい点。
王将の闇は深かった、と言うことなのでしょうが、資本市場に対する誠実さが感じられない状態。舐められた形の東証は今後どんな対応を取るのでしょうか?
概要
下手な小説よりスリリングな王将の第三者委員会の調査報告書
発表された王将フードサービスの第三者委員会の調査報告書。ザッと見ましたが、下手な小説よりスリリングな内容となっています。
第三者委員会は会社側が設置した、という面があり多少の遠慮はありますが、それでも過去の不適切な内容を手厳しく批判しています。
この報告書、王将という法人が創業者一族との関係に苦慮した歴史を綴っています。その過程で209億円もの資金が流出し、176億円が回収不能という事態に。この辺りは各報道が詳しいので、そちらをどうぞ。
「王将、不適切取引で260億円流出 第三者委が経営陣批判」(産経WEST)
ザッと読んだ報告書、スリリングな展開はなかなか読ませる内容でしたが、管理人が一番気になったのは、対証券会社と東証へのスタンス。簡単に言えば、嘘をつきまくっとるなー、との印象。
いくつか王将側の嘘をピックアップしてみます。
王将側の証券会社に対する嘘
31ページにありますが、王将は乙証券から、問題あるA氏との関係について詳細の説明を求められています。その際に経緯書を提出し、同氏との関係を絶ちました、と断言しています。
ところが、王将はA氏との関係(謝礼支払、保守委託契約、自己株式取得の関与)を継続。上場会社が文書まで出した内容が嘘でした、って少々驚きです。
東京証券取引所に対する嘘
王将は東証1部上場の準備を進めるなかで、東証からA氏との関係について質問を受けます。(この質問に至る経緯も王将の苦悩がにじみ出てます、詳しくは35ページをどうぞ)そして東証に対し「上場審査追加質問への回答書」で、A氏は接点があってはならない相手と位置付けております、と回答。
ところが王将はA氏に対する謝礼の支払い、自己株式取得の経緯の関与等は明らかにせず。嘘というか、黙っていたというか、いずれにしても書いてあることと、やってることが違うよね、という状態です。
上場審査って何なんだろう・・・
王将の報告書を読んで、一体上場審査って何なんだろう・・・、と少し思ってしまった。王将の場合、既に上場会社だった訳ですが、発行会社が巧妙についていた嘘、証券会社並びに東証が見抜けなかったら・・・。
王将のケースは、直ちに上場廃止、という事態ではありませんが、簡単に言って証券会社も東証も舐められたもんですね。実際に本当に怖かったのはA氏、ということだったんでしょうが。
王将の場合は業績の面では問題なく、だからそれ程問題視されなかった面も多分にあるでしょうが(これが業績の虚偽記載ならアウトでは?)、上場会社が証券会社なり東証に分かっていながら事実とは異なる文章を出していたと言うのは驚きではあります。
不祥事はあれど業績は安定している「餃子の王将」
王将フードサービスの上場廃止は無さそう
王将フードサービスは東京証券取引所市場1部(コード9936)に現在上場しています。
この調査報告、東証の上場直後だったりすると”上場廃止!”となっていた可能性もありますが、主に1993~2006年頃の話であり、既に結構な月日が流れています。確かにまだ片付いていない問題もありますが、それらをもって上場廃止とするには少々ハードルが高いかと。
このまま東証が黙っているかどうかは分かりませんが、上場廃止という厳罰を東証が王将フードに与えるには少々古い出来事であり、王将の上場は維持されるのではないか、と考えられます。(あれだけ世間を騒がして、決算を大幅に下方修正している東芝だって上場廃止になってませんし)
ついでに言えば、アベノミクス相場のおかげもあり、問題発生時と比べると王将の株価も結構上がっており(後述)、大半の投資家は実は損してない可能性もあります。
株価は堅調な王将フードサービス
折角の機会なので、王将フードサービス(9936)の株価を見てみます。5年分の月足チャートは下記。
株価は堅調に推移しています。現在4,000円付近の値位置にいますが、何らかのポジティブ要因があればチャート的には高値を目指せそうなチャートパターンとなっています。
今回の報告書が株価にどんな影響を与えるのか?それとも影響無しか?これは相場に決めてもらうしかありません。とりあえずは4,000円付近をキープできるかどうかがポイントです。
※チャートは「株羅針盤」を利用しています
まとめ
王将の報告書、反社会的勢力でもないA氏と何故いつまでたっても関係が切れなかったのか、という面は切り込み不足。この当たりが会社が設立した第三者委員会の限界かと。
尚、報告書と「LITERAの記事」を合わせて読むと、A氏の件をはじめ報告書では見えにくかった部分も分かりやすくなります。真相は分かりませんが・・・。
社長射殺を契機に表沙汰になった餃子の王将の影の部分。報告書を見ると、その闇は深いなぁ、と思わざるを得ません。そして証券会社と東証に対する、不誠実と言わざるをえない王将の対応、正直驚きでした。
この報告書を受けて東証は何らかの対応を取るのか?それも見ものです。
三つ子の魂百までも、と言うとおり、会社もそう簡単に社風は変わりませんが、王将は今後健全な会社として立ち直っていくのか?タマに餃子を食しつつ、その姿を見守ろうと思います。