三井不動産が販売の横浜のマンション傾く、欠陥マンションを販売か?

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 三井住友建設が建設して三井不動産グループ(三井不動産レジデンシャル)が販売した横浜のマンションが傾いているようです。4棟のうちで傾いているのは1棟。地盤に打ち込む杭の長さ不足が原因と思いきや、データ改ざんが見つかり、そもそも欠陥マンションだった可能性も。

 三井不動産という大手不動産会社の手がけたマンションで、こんな事態の発生は衝撃的ですが、果たして今後三井不動産はどう対応するのか?そして本件を受けて株価がストップ安となってしまった三井住友建設の今後はどうなるのでしょうか?(2015年10月16日更新)

傾いた三井不動産が販売の横浜のマンション、原因は杭の打ち込み不足だけではなかった?

「横浜のマンション傾く くい8本が強固な地盤まで届かず 建築基準法違反の疑い 三井不動産が販売」(産経ニュース)

 上記の記事から分かっていることを抜粋すると、
・計700戸で4棟のうち1棟が傾いている
・マンションを販売したのは三井不動産で建設したのは三井住友建設
・50本の杭のうち8本が打ち込み不足
・問題の杭を含め10本の部分の地盤調査が行われておらず、別のデータの転用や加筆があった
・他の棟でも28本の杭についてデータの転用や加筆が確認された。

、ということになります。

 実際建設作業したのは下請けです・・・、というのが最初の反応のような感もしますが、いずれにしてもマンションのディベロッパーは三井不動産、建設の責任会社は三井住友建設、ということになります。

傾いた横浜のマンションで杭の工事を行ったのは旭化成建材

 今回の問題、三井住友建設の下請けとして実際に杭の工事を行ったのは旭化成グループの旭化成建材。

旭化成によると、傾いた建物の補強や改修、ほかの棟の調査にかかる費用は旭化成建材が全額を負担する。(日本経済新聞2015/10/15)

 施工ミス以上に、データの改ざんが問題視されていますが、その点について日経新聞には生々しい記載もあります。

杭を打ち込む際は掘削した土の抵抗を数値化したデータを使う。記録機は重機の運転席の後ろにあり、計測したデータを旭化成建材の担当者が使い回したり、加筆したりしたとみられる。同社は横浜市の調査に対し、こうした事実を認めたという。虚偽のデータを使った同期などはまだ分かっていない。(日本経済新聞2015/10/15)

 重機の後ろの席で一体何をしているのでしょうか・・・。当事者が虚偽データの利用と虚偽データをどうやって使ったかまで説明しているので、じゃぁ一体何でそんなことをしたのか?、という点が次のテーマとなりそうです。

 しかし、先日の茨城県の洪水で旭化成のヘーベルハウスの頑丈さが一躍有名になった訳ですが、今回は一転して旭化成は逆風にさらされることになりそうです。

データ改ざんは前代未聞のようです

 今回の件、今後どんな展開となるか今の段階(2105/10/14)ではまだ分かりませんが、少なくとも建築基準法違反の可能性あり、として横浜市と国土交通省が本格調査を始めているようです。

 建築基準法違反だけであれば、ゼネコン等でタマに聞く話ではありますが、日本経済新聞(2015/10/14)記事に下記コメントが。

国交省の担当者は「(基礎工事時のデータ改ざんは)聞いたことがない。建物の安全性も含めきちんとした調査を求める」(日本経済新聞2015/10/14)

とあります。どうやらお役所としても、まさかデータ改ざんまでするとは、と前代未聞の事態を迎えているようです。

 ミスというより意図的な不正となると思い出されるのが、VWのディーゼルエンジンの不正。下手をすると、一大事になる可能性があります。

三井不動産と三井住友建設と旭化成の株価

 当報道を受けての三井不動産と三井住友建設と旭化成の株価推移は下記。

三井不動産(東証1部8801)の株価推移(4ヶ月日足チャート)
15.10.21三井不動産-4ヶ月日足-min

 当報道を受けた10月14日(水)の三井不動産の終値は▲98円(▲2.86%)の3,325円。さすがと言いますか、今回の報があっても三井不動産の株価はそれほど大きく動いていません。

関連記事:三井不動産株価の今後の見通しと予想

三井住友建設(東証1部1821)の株価推移(4ヶ月日足チャート)
15.10.20三井住友建設-4ヶ月日足チャート-min

 一方、当報道を受けた10月14日(水)の三井住友建設の株価は前日比▲50円(▲31.45%)の109円とストップ安となっています。
 ファンドの下で経営再建を果たした三井住友建設ですが、今回の件の行方次第では、再建モードに逆戻りの可能性も。

関連記事:三井住友建設株価の今後の見通しと予想

旭化成(東証1部3407)の株価推移(4ヶ月日足チャート
15.10.21旭化成-4ヶ月日足チャート-min
 
 そして現場で杭打ち工事を行い、データの虚偽記載を行った関連会社を有する旭化成の株価は上記。旭化成建材の関与が報じられた後の10月15日(木)の旭化成の株価終値は125円安(▲14%)の792.7円、当日の東証1部の値下がり率トップとなりました。

関連記事:旭化成株価の今後の見通しと予想

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2014年に住友不動産も傾きから杭の長さ不足が発覚

 実は似たような地盤の杭の打込み不足によるマンションの傾き、2014年6月に住友不動産が販売のマンションでも発覚しています。その際の建設会社は熊谷組。全5棟のうち、1棟で杭数本の長さ不足が発覚しています。

 この時、住友不動産は全責任を負う、というスタンスで、居住者に一時転居を要請、下記のようなプレスリリースを出しています。

「引渡済の分譲マンションにおける施工不良の判明について」(14/6/9住友不動産)

 基礎杭が支持層に到達していないという事態の原因は、施工会社の施工不良ですが、弊社は売主として、弊社をご信頼いただいてご購入くださったお客様に損害が生じることのないよう、全責任をもって対応してまいります。
 当該住棟に関し、具体的には以下のとおりの対応を考えております。

1、 お住まいの方の安全を期すため、仮住まいの提供を既に開始しております。
2、 管理組合様のご承諾をいただいたうえで、補修を含む是正工事を行います。第三者の専門家の意見を聞きながら、適切な是正工事の方法を検討し、補修ではなく建替が必要との結論にいたった場合には、管理組合様に建替を提案いたします。
3、 補修工事または建替工事期間中の一時転居先も当社にてご用意いたします。
4、 ご希望の方には、買取り補償も行ってまいります。

 
 そして住友不動産と熊谷組は、建築基準法違反として横浜市から行政指導を受けています。

 ただし住友不動産の場合は施工不良。一方、今回の三井不動産は施工不良だけでなく虚偽データの利用。悪質性からすれば、アメリカでのトヨタのプリウスのリコールと、VWのディーゼルエンジンの排ガス不正と同じような差があります。

問題の物件はららぽーと横浜(横浜市都筑区)隣接のマンション、パークシティLaLa横浜

 問題となっているマンションはララポート横浜に隣接している、パークシティLaLa横浜のようです。

 JR横浜線鴨居駅から徒歩11分。三井不動産が一帯を開発して、三井不動産のマンションだから、ということで安心して購入された方も多かったのだろうと思います。販売時の価格は80平方メートルの3LDKで約4,000万円だったようです(2015/10/15日本経済新聞)。

 ちなみに、ららぽーと横浜の住所は、池辺町、という地名。池の辺りと言うことで、元々地盤のゆるい地域だったのではないかと、地名からは推察されます。

15.10.14ララポート横浜-min
ららぽーと横浜は三井不動産が運営

三井不動産は傾いた棟含めマンション全棟の建て替えを提案

三井不動産レジデンシャルがマンションの住民に対し、傾いた棟を含む全棟の建て替えを提案していることが15日分かった。~住戸を購入価格以上で買い取る方針も示したもようだ。(日本経済新聞2015/10/16)

 三井不動産は上記の住友不動産同様、全責任を取るとばかりに、傾いた棟以外も含め全棟建て替え+希望者には購入価格以上でのマンション買い取り+建て替え期間中の仮住まいの費用負担といった、できることは全部やります、というスタンスのようです。

 さすがの対応、とは思いますが、上記の住友不動産の例と違うのは、三井不動産は請求書を回す相手=旭化成がいるということ。そして請求書を回される側の旭化成も、責任を認めていること。流れで行けば、負担は基本的に旭化成が行う、ということのようです。

4棟すべてを建て替えると、費用は「少なくとも200億円以上」(不動産コンサルタント)。期間は3年以上かかる見通しだ。(日本経済新聞2015/10/16)

 今回の横浜のマンション傾き問題、少なく見積もって損害額は200億円以上。そして、それを実際に工事を施工した旭化成が負担することになりそうです

 しかし住民にとってはお金の問題以上に、時間の問題があります。特に子連れ家庭の場合、子供が学校を引越さざるを得ない、ということも現実的にありえます。 

三井不動産・三井住友建設・旭化成の対応に注目が集まります

 マンションの価格は、やはり新興のディベロッパーの物件と比べると、同じグレードの物件でも大手不動産のマンションは高く販売されています。
 大手のブランド力がモノを言っている訳ですが、マンションを買う側も大手だから何かあっても大丈夫、とある意味保険の意味も込めて高めの値段設定を受け入れています。

 そして今回、三井不動産という日本を代表する不動産会社グループが販売したマンションでマンションの傾きが発生しており、入居者の方はもちろん、三井不動産からのマンション購入者及びその予備軍まで、三井不動産の対応を固唾を飲んで見守っています。

 今後の三井不動産の対応に注目が集まるとともに、ファンドの支援の下で再建を果たしたにも関わらず今回の事態を招いた三井住友建設の株価そして経営はどうなっていくのか?そして実際に工事を施工した旭化成への影響は?

 ことが単なる施工ミスではなくデータ改ざんも含んでおり、今後の事態の行方に注目が集まりそうです。

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