三菱重工はボンバルの小型機保守部門を590億円で買収、スペースジェットの保守メンテ体制には目途がつくけど本当に売れるのか?

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三菱重工がカナダ・ボンバルディアの小型機保守部門の買収を発表しました。金額は590億円ながら、諸々込みで約800億円。

MRJ改めスペースジェットへの投資が続く三菱重工ですが、本当に売れるのか?、という問題が機体の後に浮上します。

意外に三菱重工の株価は底堅く推移していますが、今後のスペースジェット並びに三菱重工の株価の行方が注目されます。

三菱重工がボンバルの小型機保守部門を590億円で買収の発表

ボンバルディア小型機事業、三菱重工が買収 590億円(朝日新聞)

三菱重工<7011>が諸々込みの約800億円でボンバルディアの小型機保守部門を買収することを発表しました。三菱重工にとれば800億円程度の企業買収、体力的な問題はそんなにありません。

今回の買収で三菱重工はMRJ改め、スペースジェット事業の立ち上げに更にアクセルを踏み込むことに。同社の空機事業にかける本気度が伺えます。

元々MRJの整備はボーイング頼みの予定だった

三菱重工にとって航空機部門への進出は悲願であり、だからこそ予想以上の時間とコストがかかりながらも、三菱重工は必死に投資を続けています。

ただし同社にとってボーイングは大切なお客さん。MRJとボーイングの機種はバッティングしない、という前提でMRJの開発を当初スタートさせています。そしてMRJの機体の保守メンテナンスはボーイングを頼る、そんな路線で開発計画がスタートしています。

関連記事:三菱重工はMRJを売れるのか?ボーイングがエンブラエルの買収を発表

ところがボーイングがブラジルの航空機メーカー、でMRJの仮想的のエンブラエルを2018年に買収し、三菱重工とボーイングが直接バッティングすることが確実になってしまっています。

MRJ改めスペースジェットが完成し無事顧客に納入した後、機体整備についてボーイングとひと悶着ある可能性は否定できず、さりとて自前で保守部門を立ち上げるよりは・・・、と考えれば、今回の三菱重工によるボンバルの保守部門の買収は、非常に合理的ではないかと。部門の収益は分かりませんが、800億円でスペースジェットの整備インフラが手に入ると考えれば、値段的にはリーズナブルといえないまでも、全然“あり”ではないかと。

保守メンテ部門は用意できた、そして問題は売れるのか?

MRJそしてスペースジェットへ紆余曲折があり、さすがの三菱重工も相当体力を消耗しています。同社の各事業部門の予算が相当MRJに持っていかれている様子・・・。

ただしようやくスペースジェットの開発自体は目途が付きつつあるようですし、今回の買収で保守メンテ部門の立ち上げも目途。

そして遂に出てくるのが、本当に売れるのか?、という問題。

その昔に開発したYS-11(1~2回乗った)も期待性能は良くても売れなかった訳で、スペースジェットが同じ轍を踏まないとは言い切れません。三菱重工のようなエンジニア集団の会社が航空機売れるのか???

ボーイングにしてもエアバスにしても、結局政府と一体になって各航空会社に営業かけている訳で、航空機の営業って普通の営業は全く違う世界。いいものを作っても売るのが下手、という日本のメーカーの失敗例をたどるリスクは充分あります。

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株価は底堅く推移する三菱重工

さすがの三菱重工もスペースジェットがこけてしまうと大打撃となります。本当に売れるのか?、という懸念はありますが、今の所は三菱重工の株価は底堅く推移しています。


・三菱重工の株価(月足)
「画像出典:マネックス証券/日本株取引ツール トレードステーション」
マネックス証券Tradestation
※関連記事:マネックス証券のトレードステーション発表会に行ってきました

歴史的に見て3,000~4,000円が底となって、再び上昇する、というのが三菱重工の株価のパターン。

新興バブルの頃に9,000円台に乗っているのと、アベノミクス相場の時に8,000円台に乗ってます。スペースジェットがこけると、屋台骨が心配される事態になり、株価底抜けのリスクはありますが、4,000円台までで仕込めるなら長期スパンで持てる銘柄ではあります。

ちなみに、配当利回り約3%。
三菱重工の配当利回りが3%台というのは、意外に高い印象を受けます。

大企業でバクチを打てる三菱重工の面白さ

三菱重工のスペースジェットの計画、確かに体力的にできない話ではありませんが、殆どバクチ打ちの世界です。大企業になればなるほどバクチは打てなくなりますが、日本を代表する巨大企業の三菱重工でバクチを打てるって、考えてみると非常に面白いです。

個人的には三菱重工ってゼロ戦と戦艦武蔵のイメージなのですが(ついでにスバルは中島飛行機で川崎重工は空母翔鶴のイメージ・・・)、ゼロ戦の夢を令和の時代にまで持ち込んでいる三菱重工には、やはり他の企業にはない何かを感じてしまいます。

まとめ

スペースジェットは本当に売れるのか?、という問題はスグ後に控えている三菱重工ですが、開発は進んでますし、今回の買収で保守メンテの体制も整うことになります

紆余曲折を経ながらも着実に開発は進んでいるスペースジェット。三菱重工という日本を代表する巨大企業が、一世一代のバクチ的に打ち込む航空機事業の立ち上げは、YS-11の轍を踏まずに見事に事業としての立ち上げに成功するのでしょうか?

引き続き興味深く見守りたいと思います。

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