USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)が再度IPO(株式上場)を目指すようです。そしてカジノ事業にも進出予定!
ハリーポッターのアトラクション、そしてアニメキャラクターの特別企画等で、事業好調のUSJ。最近は外国人観光客も殺到しているようで、完全復活、と言ってもよい状態です。
かつて上場していたものの株価低迷と業績不振で非上場化したUSJ、現在の事業の好調を受けてやはり再上場を目指すようです。そして次の成長戦略はカジノを中心とする統合型リゾート事業。USJの快進撃はいつまでつづくのか?(2015年7月2日更新)
概要
社長がUSJの再上場検討を認める
USJがその先に見据えるのが09年に上場を廃止した株式市場への再上場だ。ガンペル社長は再上場を検討していることを認めた。(日本経済新聞15/5/12)
これまで噂のあったUSJの再上場、遂に社長自らがお認めになった格好です。ただし、USJはゴールドマンサックス(ファンドで持っています)の子会社。社長といえども、雇われ社長で、株主=ゴールドマンの意向を体現するのがミッション。ファンドは当然、どこかの時点で持っている株をEXIT=売却しなければいけないのですが、どうやらゴールドマンは再上場で売却を目指すようです。
時期は明らかにされなかったようですが、いずれにしてもUSJは再度上場を目指すようです。
USJが再上場(株式公開)しても売出のみ、資金調達は行わない
USJの再上場(株式公開-IPO)、実現すれば大阪にとっては非常にメデタイことですが、興味深いのは下記のコメント
ガンぺル社長は再上場を検討していることを認めた上で「(実現したとしても)USJに出資する金融機関などの株主のためで、事業拡大の資金調達ではない」と話した。(日本経済新聞15/5/12)
ズバリ株主=ゴールドマンのための上場と言い切っています。
ゴールドマンサックスもファンドでUSJを保有しており、ファンドを使って非上場化したのが2009年、それから6年の月日が経っているわけで、そろそろEXIT=回収の時期に来ています。尚且つ、USJはゴールドマンのファンドが100%近くの株を持っているハズなので、となると、仮に再度IPOしても、売出一本で公募をする余裕はありません、ということになりそうです。
USJ自身は残念ながら資金調達を行うことはできません。
何の為の再上場かって?え、株主のファンドのEXITですが、それが何か?ということです、要するに・・・。
沖縄USJの建設費はどうやって調達?
若干話はそれますが、オヤ?、と思ったのは下記記事。
再上場で得た資金を、沖縄で検討が進む新パーク建設などに充てるつもりはないとした。(日本経済新聞15/5/12)
以前、USJは沖縄にテーマパークを作ると発表しています。
USJが沖縄に新テーマパーク(沖縄タイムス)
そりゃ再上場しても株主の売出だけなら、お金は一銭もUSJに入りませんが、沖縄のUSJの計画、建設費どうやって捻出するんでしょ?銀行からの借り入れ?
手金だけではまず無理な沖縄USJの建設、計画を打ち上げたはいいのですが、今後どうやって資金調達をするのか、結構難題ではないだろうか。
関連記事:USJは本当に沖縄に進出?再上場の打ち上げ花火にならぬよう・・・
USJの次の事業はカジノ事業
大阪湾の一角で事業を行っているUSJ、設立の際にお世話になった大阪市と土地代巡って裁判中と言うこともあり、今の敷地を拡大して・・・、と言うのは難しそう。そんな訳で、現在次なる事業として計画中なのは、統合型リゾート(IR)、いわゆるカジノ事業。
参入を検討しているカジノを中心とする統合型リゾート(IR)について、グレン・ガンペル社長は同日の記者会見で、事業参画に改めて意欲を示した。(日本経済新聞15/5/12)
大阪市と大阪府が積極的に誘致を行っている日本版カジノですが、実はUSJも手をあげています。ただし大阪市・大阪府から見れば、USJの動きはどうぞ御勝手にというモード。何せ土地代の問題で、大阪市とUSJ関係悪化しています。
ここはオール大阪で、という話は外資系の会社のUSJに対してはあまり出てこないようです。
いずれにしても既に発表済みの沖縄USJに続き、お次はカジノ事業でUSJは事業の成長を図る計画のようです。
実はカジノ産業は世界的に不況業種という事実
日本版カジノが解禁されれば大阪の景気もよくなる、という話も耳にしますが、本当かなぁ、と管理人は心配。世界的に見ればカジノって既に不況業種なのですが・・・。例えば下記記事。
「Caesars Entertainment/シーザーズ・エンターテイメントが破産申請」
「(香港)マカオ・カジノ株急落、2月カジノ収入下振れでMGMは7.5%安」
経済が絶好調のアメリカでもラスベガスのカジノは苦戦中。そして世界ナンバーワンのカジノ地帯となったマカオでもカジノの収益は大幅に減少中。大阪に統合型リゾート(IR)作るといっても、ホントそんな設備投資する余裕のあるカジノ会社あるのか?いやホテルみたいに、施設は日本側が作って(回収できるかどうかは別)、運営はカジノの会社がやって、というのはアリですが、本当にお客さん来るのか?
アメリカは好景気でも、ラスベガスのカジノは景気がイマヒトツ・・・
アジアのカジノの不況は、中国政府の半腐敗運動と中国経済の減速でほぼ説明がつきそうですが、アメリカのカジノが苦戦中というのは、案外知られていない事実だったりします。とは言っても、ラスベガスのショーはそれなりに景気がいいようなので、カジノという業態自体がアメリカでは転換期にあるのかもしれません。
カジノで景気回復できる、とか、カジノが新規事業、というのは、海外の動きを見ていると、正直一筋縄ではいかないような。日本のカジノ、まだ解禁が決まった訳ではありませんが、正直甘い世界ではなさそうです。
USJは5月に上場申請、秋に東証1部にIPO(上場)との報道
5月27日付のロイターは下記のように報じています。
2015年秋の上場ですかぁ。結構、リアリティあるような。そして秋にIPOですか。
しかしながら、その後USJの親会社ゴールドマン・サックスによる保有するUSJ株の売却交渉が報じられ、再上場の時期は延期となりそうです。
関連記事:USJが再上場を延期、上場時期は2016年3~6月か9月以降となる見込み
USJの業績は2015年3月期は売上高1,385億円、当期純利益222億円と報じられています(2015/7/1日経新聞)。外国人観光客中心に連日大賑わいと言われているUSJ、業績は絶好調と考えられます。
想定時価総額6,000~7,000億円。株価はどうなるか分かりませんが、大阪の会社としては目玉の会社の上場です。
2015年3月期の当期純利益222億円、2016年3月期の当期純利益の計画が300億円であれば、時価総額6,000~7,000億円というのは十分狙える数字です。(税前利益から法人税等を支払って当期純利益の数字になっているのが大前提ですが)
まさか今年の上場とは思ってもいませんでしたが、それができれば一番ベストではないかと。
前回上場していた時はマザーズ市場でしたが、今回は東証1部に直接上場する方向のようです。何気に東証1部の上場基準結構厳しかったりしますが(USJの場合はファンドが持っているから、株主基準のクリアが結構ハードルあるような気がします)、ここまで書かれているからには、何かしらの手があるのでしょう、多分。
果たして本当に、今年の秋にUSJが再上場する姿を見ることができるのでしょうか?
UFJの2014年3月期決算の業績
2015年3月期の最新のUSJの数字は分かりませんが、2014年3月期のUSJの決算数字が5月28日の日本経済新聞に掲載されていました。
14年3月期の売上高は前の期比17%増の959億円となり、経常利益は48%増の239億円と過去最高だ。
ここ最近の大量の外国人来場者を考えると、2015年3月期は更なる増収増益が予想されます。仮に経常利益400億円とすると、当期純利益250億円として、時価総額5,000億円程度がザックリとした目安。経常利益500億円で当期純利益300億円とすると、報じられているように時価総額6,000~7,000億円というのも、現実味を帯びてきます。
この辺りは数字が分かり次第、別途記事を書こうと考えています。
まとめ
再上場の方針のUSJ、メデタク再上場できることをお祈りしています。今の株高がいつまで続くのかという、時間との戦いになりそうですが、そこは百戦錬磨のゴールドマンサックス、そのあたりは織り込み済みでしょう。
そしてUSJが進出を表明しているカジノ事業。日本でのカジノ解禁が話題になってはいますが、事業としては一筋縄ではいかない代物。その辺りは株主のゴールドマンも十分承知しているハズ。
事業好調のUSJ、今後の舵取りが注目されます。果たして無事に再上場に至ることはできるのか?非常に興味深いですね。