向こう数年のIPO市場は開店休業かもしれない、リーマンショックを参考に

2020年4月にIPOを予定していた企業が相次いてIPOの中止を発表しています。3月分の中止と合わせてその数10社以上となります。

コロナショックはIPO市場にも確実に影響を与えており、リーマンショックの際と同様に、今後数年はIPO市場の低迷を余儀なくされる可能性があります。

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IPOのエントリー取り消しが続出

管理人はZuu OnlineでIPOの記事を書かせてもらってます(Zuu IPO Report)。IPOが重なる時期はほぼ毎日目論見書を読んでる状態ですが、今年は4月のIPOエントリー(上場承認)も多かったんです。

珍しいな、と思いつつ若干記事を書き始めたところ、エントリー取り消しのラッシュが発生。手元の資料だと8社が上場承認後に取り消しを行っています。3月も何社か取り消しがあったので、合計すると3-4月で10社以上のIPOエントリーがなくなっています。

新興市場の出来た頃からIPO市場は見てきましたが、前代未聞の状態といっても過言ではありません。

IPO市場の潮目が変わった

これだけ新規上場取り消しがあると、年間のIPO数に間違いなく影響があります。2014年以降年間80-100社で推移したIPO数ですが、今年は大幅に減少するのは間違いなさそう。

そもそも今後の3月4月のIPO銘柄は、この業績でIPOは厳しいなぁ、という銘柄が目立ったので、証券会社も頑張って=少し無理してIPO指導している面が少なからずありました。要は証券会社がIPOの絶対数を押し上げていた部分があったため、コロナショックで今後の景気悪化が間違いない中で、2020年の今後IPOの数は減らざるを得ません。

2014年以降堅調に推移していたIPO市場ですが、コロナショックで潮目が変わった、のは間違いないかと。

リーマンショックの後は年間IPOが50社以下の年が5年継続

今回のコロナショックはリーマンショックと比べられることが多いのですが、IPO市場のリーマンショック後がどなっていたか振り返ってみます。

下記が1999年から2018年までのIPO社数の推移となります。(2019年は東証のIPOは86社)


・「最近のIPOの動向と東証の上場支援活動について」より

リーマンショックがあったのは2008年。そして2008年以降、年間50社以下の年が5年継続しています。最も少ないのは2009年の12社。年間12社のIPOでは証券会社の引受部門もVCも食べてはいけません。2014年に80社になってようやく平常モードに戻った状態ですが、2008-2012年までは年間50社以下のIPOが5年連続しています。

2020年のIPO社数がどの程度まで減少するか分かりませんが、コロナショックによる外出制限により景気の大幅な落ち込みもあり、IPOを希望する企業の業績も悪化を余儀なくされます。よって今後IPOできる企業数も相当落ち込むと予想されます。3月までの貯金が28社あるので50社程度はありそうですが、それでも大幅減は免れそうにありません。

どうやら2020年のIPOの目玉銘柄であったスカイマークも上場申請を取り消してしまったようですし。

IPO市場はここ数年良い時代が続きましたが、良い時代は2019年で終了、ということになりそうです。

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事業会社系VCの動きが注目される

IPO市場が閉まるとVCの経営が非常に苦しくなります。今回注目されるのはここ数年で結構な数が増えた事業会社系VC、いわゆるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)。

事業会社系VCはIPO市場がピークアウトする度にVC部門から撤退を繰り返してきた歴史があり、今回も同じ轍を踏んでしまうのか注目されます。VCは余程うまくやらないと儲からない事業なので、事業会社にとってみれば、そんな儲からない事業はやめてしまえ、と本業が厳しくなるとなってしまいます。

アベノミクス相場以降、相当な事業会社系VCが生まれましたが(まさか鉄道会社がVC作る時代が来るとは夢にも思わなかった・・・)、果たして今回のIPO市場の落ち込みを経て、それでもVC事業を続ける会社は何社あるのか注目されます。

事業会社系VCは高いバリュエーションでVC投資する傾向にありますが、IPO市場が曲がり角を迎えると、高い投資コストがあだとなって身動きが取れなくなります。そして極端に振れて撤退戦→投げ売り、というパターンが多いのですが、今回もそのパターンとなると相当な数のベンチャー企業に影響が生じることになります。

関連記事:100億円超え多数でVCは資金回収できるのか?フィンテックベンチャーの推定企業価値が高い件

まとめ、IPO市場はなくなる訳ではないけれど今後数年は大変

含み益で飲んではいけない、という相場格言があります。要は最後の最後、利益確定して現金化するまで喜んではいけない、ということ。

未上場企業で高い時価総額で喜んでいた企業はIPO市場が曲がり角を迎えると、その砂上の楼閣に気付くことになります。本業が少なくとも追加の資金調達を必要としない企業はよいのですが、追加で資金調達が必要な企業は、大幅なダウンラウンドが迫られます。高いバリュエーションで投資していた事業会社系VCが恐らく今後投資を手控えるので、お高い時価総額でのファイナンスはなくなる可能性が高い。

今回のIPO市場の閉店状況が何年続くか分かりませんが、リーマンショックを例に取れば5年程度は覚悟する必要があります。5年って結構長い・・・。経済のV字回復説もありますが、新型コロナウイルスは社会構造を一変させる可能性もある中で、1年で何とかなる話ではないかと。

個人的には折角日本でも根付き始めたCVCが時代の徒花になった、という事態だけはならないことを願いつつ、それでも毎度毎度の同じことの繰り返しになる可能性が高いのかな、と思います。

ただしIPO市場が完全に閉まってしまう訳ではありません。新型コロナの影響下でどんなIPO銘柄が登場するのか、コロナショック後のIPO市場にも注目を続けたいと思います。


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