イタリアの12月4日の選挙(国民投票)、為替はユーロに警戒?

16-11-25ユーロドル-月足チャート1

 トランプ相場に浮かれている感のある金融市場ですが、2016年12月4日にイタリアで憲法改正を問う国民投票が実施されます。この選挙、ヒョットするとユーロ危機を招く引き金となる可能性があるため、少々注意が必要。

 上院の権限縮小という国民投票なのですが、イタリア・レンツィ首相は自らの信任投票に位置付け、負けたら退陣する、と明言。上院の権限縮小を問う国民投票が、気が付けが首相の信認=EUへの信認を問う投票となっており、憲法改正が否決されるとイタリアのEU離脱論が加速しかねません。

 トランプ相場の陰で、ジリジリ下がり続けるユーロはイタリア問題を先取りしているのか?

 12月4日(月)のイタリアの国民投票、その結果に要注目です。

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イタリアの選挙(国民投票)の日程と内容

 2016年12月4日にイタリアで憲法改正を問う国民投票が実施されます。実は当初は秋に行う予定だったのが、政治的駆け引きであーでもない・こーでもないとやっているうちに12月になってしまった、といういきさつがあります。

 そんなイタリアの国民投票、イタリア政治史の中では重要な改正が提案されています。それは上院の権限を大幅に縮小して、下院の優位を明確にする、という点。

 これまでのイタリア議会は上院と下院がほぼ同等の権限を有していて、あちらで決めてもこちらで決められない・・・、という事態が続発。また下院で信認された首相が、上院で不信任というネジレも発生しやすく、決められないイタリア政治を象徴するのがイタリアの議会制度となっていました。

 散々上院と下院のネジレに苦労してきたイタリア政治ですが、ここでようやく下院の優位を図るべく、今回の国民投票に至っています。

ムッソリーニの独裁の反省と元々別の国を経て統一国家になったという歴史的経緯

 上院と下院が同等の権利で非効率だよね、というのは素人目にも明らかなんですが、歴史的にみれば現在のイタリアの政治制度は、戦前のムッソリーニの独裁の反省から来ています。2度とムッソリーニのような独裁者を出さない、という観点から現在の上院と下院が同等の権限、という制度が編み出されています。

 それとイタリア政治を知るには、歴史を知る必要があります。詳しくは記しませんが、イタリアが統一国家になったのは1861年。日本で言えば明治維新の6年前。それまでのイタリア半島は別々の国が群雄割拠している状態。よってイタリアという国が1つになって、まだ155年しかたってません。これは裏を返せば、それぞれの地域での国(ヴェネチア、ナポリ等)の歴史の方がイタリア国としての歴史より長い訳で、イタリア政治を語る上ではその地域性抜きに語ることはできません。

 実は統一イタリア建国の際、初代首相となったカブールが、まさかシチリアも同じ国になるとは思わなかった、との発言も残っており、イタリアの地域性の問題は日本で想像するよりはるかに根深いものがあります。(イタリアの統一史、非常にマイナーな分野ですが、非常に面白い分野です)

 よって現行の上院と下院が同等の権限を持つ、という制度、元々地方が群雄割拠していたというイタリアの歴史を考えると、実は国をまとめるのに非常に都合のよい制度であった、という面も見逃すことはできません。

気が付けば国民投票が親EUか反EUかの選挙になっている件

 今回のイタリアの国民投票、上院の権限縮小がその目的なのですが、ここに来て急に雲行きが怪しくなっています。当初は問題なく賛成で流れていくと思われていたのですが、6月のイギリスのEU離脱決定もあり、国民投票が親EUか反EUかの選挙になりつつあります。

 あせったイタリア・モンティ首相が、国民投票に自らの進退をかける、何て明言してしまったらかさぁ大変。国民投票で憲法改正が否決されると、モンティ首相は辞任が決まります。親EU路線で様々な国内改革を行い手腕を評価されているモンティ首相が去ることになれば、イタリア政治は混乱の可能性大です。

 面白いのは、その後モンティ首相も、国民投票に自らの進退をかける何て言わなきゃよかった・・・、と発言している点。

 だったら初めから言うなよ、と思ってしまいますが、もう言ってしまったものは取り返しがつかない状態になっていて、憲法改正否決=モンティ首相退陣、が既定路線となっています。

経済状況から親EUの旗色が良くない

 イタリア経済は現在景気が低迷中。反EU派にとっては国民投票を否決の追い風が吹いており、親EU派にとっては逆風が吹いています。

イタリアが成長率見通し下方修正-レンツィ首相は12月4日に国民投票(ブルームバーグ)
 
 それと、以前当サイトでも記事にしている大手銀行のモンテ・パスキの問題がまだ片付いていません。

・関連記事:世界的に銀行株が下落している件、イタリアのモンテ・パスキの株価は赤信号

 下手を打つとイタリアの金融システム不安を招きかねないモンテ・パスキ問題、政府も何とかしようと努力はしていますがEUの顔色を伺いながら進めており、まだ何も着地していません。

 そんな中で国民投票が行われ、その国民投票が親EUか反EUか、という色彩を帯び始めており、国民投票の結果いかんでは、イタリアのEU離脱の最初の第一歩、となる可能性を有しています。

 ただし、イギリスの国民投票と違い、あくまでも憲法改正の是非を問うのが目的なので、仮に憲法改正が否決されても、それがそのままイタリアのEU離脱には繋がらないので、そこはご注意を。(だからモンティ首相も、しまった辞めるなんて言わなきゃよかった、と後で後悔している訳です)

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憲法改正否決→イタリア政治混乱→ユーロが売られる?

 リーマンショック後の世界的な経済混乱で、イタリア経済も大混乱。観光地でゴミ掃除ができない、というニュースを覚えている方も多いのでは?あの時イタリアはEUに助けてもらった訳ですが、その代わりに国内の改革を約束しています。紆余曲折ありましたが、現在のモンティ首相は指導力を発揮して、イタリアの経済混乱と政治混乱を収めたという実績を有しています。
 
 で、国民投票で憲法改正が否決されてモンティ首相が辞任となると、再びイタリア経済及び政治が混乱するのでは?、というのが金融市場の一番の懸念点。決められないイタリア政治に逆戻りするのではないか・・・、という疑心暗鬼があります。

 さらにイタリアではモンテパスキを代表に不良債権問題が噴出しかねず、経済的には親EUor反EUと路線闘争している場合ではなかったりします。

ギリシャ危機に隠れていたイタリアの不良債権問題(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

 諸々の問題、国民投票をきっかけに噴出しかねず、イタリアの国民投票がどんな結果になるのか、トランプ相場でいい気分になっている裏で、イタリアも採用しているユーロは売られています。下記がユーロ/ドルの日足チャートとなります。

16-11-25ユーロドル日足チャート
※画像はTradingviewを利用、以下同様

 トランプ相場でドル円市場は上昇していますが、ユーロ/ドル市場は見事に下落。

 日足で見ると、下がってるのね・・・、としか思えませんが、月足チャートを見るとチャート的に結構重要なポイントに位置しているのが分かります。

16-11-25ユーロドル-月足チャート1

 ユーロドルの月足チャートを見ると、現在の値位置は見事に底にへばりついている状態。何か大きなイベントが発生すれば、一気に底が抜けてしまいますぜ・・・、とチャートは語りかけています。

 為替市場ではユーロドルは1.0000を目指す可能性あり、とそれこそ昨年から言われています。1.0000まであと500~600pipsなので、充分可能性としてはありえます。

 ユーロドルの月足チャートを見て、イタリアの国民投票が12月4日にある、ということを知ると、ユーロは重要な地点にいるのね・・・、ということがよーく認識できるかと。

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まとめ、12月5日の為替市場は念のためご注意を

 トランプ相場の裏側で、ユーロが売られていて、そして12月4日にイタリアの国民投票。イギリスの国民投票は違うので、イタリアの場合それがそのまま”
EU離脱”とはなりませんが、それでもイギリス亡き後のEUでドイツ・フランスに次ぐ経済大国のイタリアでEU脱退の動きが明確になれば、通貨ユーロの信認が問われる事態になる可能性はあります。

 騒いでも結局難なく国民投票は憲法改正が賛成になり、大山鳴動して鼠一匹、となる可能性もありますが、経済の悪化を背景に憲法改正反対=反EUという動きが広まっているのも事実なので、投票日翌日の12月5日(月)の為替市場は念のためにご注意を。
 
 しかしもうユーロドルは1.0000が目前に迫ってますね。イタリアの国民投票関係なくユーロが1.0000を付けに行くのか、非常に興味深い所です。

 しばしユーロ/ドル市場にも注目してみようと思います。

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