史上初!イタリアの2019年予算案がEUから再提出を命じられる、今後罰金の可能性も

2019年のイタリアの予算案についてEU(欧州委員会)が再提出=やり直しを指示。バラマキ型の予算に欧州委員会はダメ出しをした形です。

しかしイタリア側もダメ出し覚悟で予算案を提出しており、修正する気は殆どありません。

イタリアの2019年予算を巡る欧州委員会との攻防、EUの鼎の軽重が問われており、今後為替市場で大きな話題となる可能性があります。

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イタリアの2019年予算案についてEU(欧州委員会)が再提出を求める

しばらく小康状態を保っていたユーロ圏ですが、実は静かに危機が進行中です。EUはイギリスとはブリグジットを巡る最終合意が12月25日のクリスマスまで延長戦の真っ最中。

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ただしイギリスとの話は、EU側にとっては出て行く相手の話なので実はそんなに相手に気を遣う必要はありません。ハードブリグジットになったら大変なのはイギリスでしょ、そんな状態。EUにとってはソフトであろうとハードであろうと、イギリスがEUから出て行くという事実にそれほど違いはありません。

しかしイギリスとは違い、身内の危機がイタリアで徐々に姿を現しつつあります。そして姿を現したのが、EUがイタリアの2019年予算案について財政規律ルールへの深刻な違反があるとして差し戻して、3週間以内の再提出を求めた事態。

実はイタリアで2018年3月の総選挙で政権交代が発生した後、恐らくそうなるんじゃなかろうか、と危惧していた事態が現実化してしまいました。

EU加盟国は国の予算案をEUが承認する必要がありますが、当初予算案を却下したのはEU市場初。新たな問題がEU内で第3位の経済力を持つイタリアで生じることになりました。

バラマキ型のイタリア2019年予算

イタリアでは政権交代が発生しており、現在の連立政権はそれまでの親EUで財政規律重視の方針を180度変更しています。あまり日本では報じられていませんが、イギリスに続きイタリアでもEU離脱論が出ているくらい。

イタリアは実は大統領制をとっており、象徴としての存在に近い大統領は親EU。しかしながら選挙の結果、連立で政権をとったのは反EUで、財政拡大路線の政党。

政権交代後にばら撒き政策復活が予期されていた訳ですが、実際にイタリアからEUに提出された2019年予算がばら撒き型。日本の財政赤字は深刻ですが、赤字予算を組もうと止める権限を有する機関は存在していません。財務省がかろうじて口うるさく財政再建を唱える程度です。

一方EUは欧州委員会が各国の予算案の承認権限を有しています。破綻寸前となったギリシャでも、バラマキと言われながらもどうにか調整して欧州委員会からのお墨付きを得た予算でやってきた訳ですが、今回はユーロ圏第3位の経済規模を持つイタリアが正面切ってEUに対して挑戦状をたたきつけた形です。

そして欧州委員会は粛々と、イタリアに対して3週間以内に再提出を命じた段階。今後3週間でEUとイタリアは着地点を見出すことができるのでしょうか?

政府債務の残高を問題視

EU基準では政府の債務残高についてGDP比で60%としています。しかしながらイタリアの債務残高はGDP比130%超。そんな中で更にバラマキの財政政策を進めようとしているイタリア政府に対し、EUがNOを突きつけた形です。

そして今回イタリア政府はもう完全に開き直っています。EUのルールを違反しているのは分かってますが、それが何か・・・。

EU側が鼎の軽重を問われる事態になっていたりします。そしてこの場合、EU=ドイツだったりします。緊縮財政至上主義とも呼べるドイツの財政政策をEUは概ね踏襲しているので。

それでもこれまでは真面目なドイツに対して、不真面目な南欧諸国、そしてまぁまぁと言っていたフランスで、何とかうまくやり取りしていたのですが、今回はイタリアが完全に振り切れている状態。振り切れた相手と交渉が果たしてできるのか、実は結構深刻な事態です。

財政規律違反は罰金刑!

実は財政規律に違反した場合、EU加盟国には罰則規定があります。内容としては①GDPの0.2%相当を無利子で供託、②最大でGDP比0.5%相当の制裁金、の2者があります。

完全に振り切れているイタリア政府、3週間以内に内容を変えた予算案を提出するとは思えません。よってこのまま行くと、EU市場初の予算案で制裁を課せられる国が誕生することになります。

けどね仮に罰金刑が決まったとしてイタリアが、ハイ分かりました、と罰金を支払うとも思えません。EUによる各国の予算案承認制度、イタリアが制度自体をぶっちぎってしまうと、制度自体が実は張子の虎だった、としてバラマキ拡大を行う国が続出する事態をEU側は恐れています。

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イタリアの2019年予算、今後の日程

EUが3週間以内の再提出を命じたイタリアの2019年予算。今後の日程は下記の予定となっています。

10月29日 イタリアに対し2019年予算案を差し戻し
11月13日(3週間以内) 欧州委員会への修正予算案の提出期限
12月4日(3週間以内) 欧州委員会が修正案への見解を示す期限
12月13~14日 EU首脳会議
12月末 イタリアの国の決算期末
2019年2月以降(予定) 欧州委員会がイタリアへの制裁手続き開始をEU閣僚理事会に勧告
(2018年10月24日、日本経済新聞)

完全に触れ切っているイタリアは、欧州委員会に妥協するつもりはない様子。史上初の罰金にまで行ってしまうのか、今後の欧州委員会とイタリアの交渉の推移が俄然注目を浴びることになります。

ちなみに12月13~14日のEU首脳会議は、議題としてブリグジットの最終合意案の議論も控えています。12月のEU首脳会談、金融市場から大きな注目を浴びることになるのではないかと。

しかしブリグジットにイタリアの予算問題と、EUも2018年は最後の最後に大変な面倒を抱えることになりそうです。

そして下記はイタリアの10年国債のチャート。2018年は乱高下していますが、今回の事態は既にある程度織り込み済みで、9月から10年債は下落=売られています。今後自体が混迷の度を深めれば、更なる下落の可能性があります。EU内の第3位の経済力を持つイタリアの債券市場が混乱すれば、金融市場に大きな影響が生じる可能性があります。


・イタリア10年債日足チャート(画像はTradingView

まとめ

上記のように実は12月に向けてEUは話題盛りだくさんです。ブリグジットがどんな形で着地するのか、そしてイタリアの2019年予算案の着地点、年末のユーロ相場は大きく動く可能性があります。

2018年は比較的大人しい値動きのEUR/USDですが、ユーロ圏の第3位の経済力を誇るイタリアで何かあれば、年末に向けて大きな値動きが生じても不思議ではありません。

年末に向けてユーロの同行に注目したいと思います。

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