燃費不正問題が火を吹いた三菱自動車。今後自力再建を目指すのか、それとも三菱グループが再度支援するか注目を浴びていましたが、なんと日産の傘下入りへ。
既に軽自動車で提携関係にあった両社ですが、急転直下、日産は三菱自動車を傘下に加えることになりました。日産は2,370億円で三菱自動車へ34%を出資。正直、非常に美味しい案件です。日産を率いるカルロス・ゴーン氏は持っている男なんでしょう。
日産傘下で三菱自動車はどんな形で再建がなされるのか、今後の行方に注目です。
概要
三菱自動車は急転直下、日産の傘下入りへ
いやはや驚きました。燃費不正問題が発生した三菱自動車。意外や意外、海外部門は好調で体力は相応についているので、自力再建を目指すと思いきや、日産との提携となるとは。まぁ最後の手段は三菱グループがしかたなく・・・、と思っていましたが、これで三菱グループは問題児とも言える三菱自動車の相手から開放されることになります。
しかし5/12(木)未明に報道された三菱自動車と日産の提携。前の晩のWBSは、さてどうなりますかね・・・、的な話だったのですが、朝起きて驚きました。
そして5/12(木)に三菱自動車と日産が揃って記者会見。事業提携はスピード感が大切ですが、まさにお手本のようなスピード感と言えます。
日産と三菱自動車の提携・出資の詳細
ここで日産と三菱自動車の提携及び出資内容の詳細を確認してみます。
・日産は2,370億円を投じて第三者割当増資で三菱自動車の34%の株式を取得する
(ただし正式契約は5月末を目処に締結)
・日産は会長を含め取締役の1/3を派遣
・日産より三菱自動車に開発責任者を派遣
・三菱自動車の上場は維持、ブランド及び経営の独立性は維持
・購買部門の連携等によるコスト削減、自動運転技術等で技術提携
一つ気をつけておきたいのは、正式契約はまだ、という点。テレビのインタビューで日産のゴーン社長が、三菱グループの了解は取り付けてある、と仰られていましたが、5/12の段階では正式契約されていません。変なことにはならないと思いますが、三菱グループとしては今回の提携にNOと言ってしまえる立場になります。
三菱グループで34%以上の議決権を有している三菱自動車、今回の提携が嫌なら株主総会で今回の資本提携の議案を否決出来きます。まぁ、三菱重工筆頭に、ヤレヤレ・・・、という感じなので、それは無いと思いますが。ちなみに今回日産は三菱自動車の株を第三者割当増資で引受ける予定なので、既存の三菱グループ保有株については、当面このままのようです。
三菱自動車の国内部門のリストラの可能性は残る
ゴーン氏は三菱自動車のことは極力三菱自動車に任せる、と仰られていましたが、それって後始末はちゃんと自分達でやってね、ということにしか聞こえなかった管理人。日産との提携で、三菱自動車は一息はつけますが、その後に待っているのは、赤字の国内部門どうするよ、という課題。
三菱自動車は既に海外で稼いでいる会社で、国内部門は赤字。今回の日産の傘下入りで、国内部門はそのまま、ということにはならないと考えられます。
既に日産は国内の生産拠点を有しており、三菱自動車の生産拠点をそのまま残すのか?日産は軽自動車のラインを持っていないので、水島(岡山)工場は体制強化、ということになるかもですが、岡崎や京都と言った他の拠点は分かりません。
過去、日産にやってきたゴーン氏が真っ先に行ったのが工場閉鎖、ということもありましたが、三菱自動車関係者にとっては、今回の提携でとりあえず一息付くことが出来ますが、今後どうなるのかが最大の注目点となりそうです。
日産にはトッテモ美味しい案件、ゴーンさんは持ってる男
まだ本決まりではありませんが、現在のまま進めば2,370億円で日産は三菱自動車を傘下に入れられるのだから、安い買い物です。
16/3期の当期純利益890億円の三菱自動車ですが、不祥事がなければ年間1,000億円規模の当期純利益が計上できる会社。当期純利益1,000億円の会社を2,370億円で実質的に傘下に入れられるのであれば、誰でもそうしますって。
PER15倍として、時価総額1.5兆円、少なめにしてPER10倍で時価総額1兆円。34%の出資には少なく見積もって3,000億円以上かかります。(3,000億円という数字もプレミア等考えずに相当と安めに見てます)
自動車業界の再編論者でもあるゴーン氏的には、笑いが止まらなかったり・・・。物事は頼まれ事のほうが安くすむ、という典型例ですね。
ま、努力だけで何とかなる話ではなく、運やタイミング的要素が多分に絡んでいますが、いずれにしてもカルロス・ゴーン氏は持ってる男、ですね。
人や会社の人生、努力だけではどうにもならないことがありますが、運とか巡りあわせって大切なのね・・・、というのが今回の三菱自動車の日産の傘下入りのニュースを見て、再認識しました。
ゴーン氏にとっては千載一遇のチャンスを得た格好に
WBSに出演したゴーン氏を見て
WBS見ていたら、ゴーンさんが出演されていて、最後に三菱自動車の再建までご自身は社長でいますか?、との質問に、いい質問ですね〜、と池上さんみたいに返答していたのが印象的でした。
持ってる男のゴーンさんですが、今は休戦中とはいえ、ルノー(ゴーン氏はルノーの社長でもあります)の筆頭株主のフランス政府との関係がギクシャクしており、ゴーンさんといえども我が身は安泰ではありませんので。(日本の株主が文句を言わないので、フランス政府がゴーンさんの高額報酬に文句をつけています)
フランス政府とルノー・日産の関係、テロ事件もあり今は休戦中ですが、以前の状況を下記の記事で解説しています。
企業の不祥事は業界再編の絶好のチャンス
企業や業界再編は、通常モードの際はなかなか進みませんが、危機モードの時に一気に進みます。
業界が危機モードの時もあれば(メガバンクの再編が典型例)、個別企業が危機モードになってその企業を救済する形で再編が進むこともあります。今回の三菱自動車の日産傘下入りは、まさに後者の典型例。
企業の不祥事の後の再編って、自業自得の面はありますが、該当部署以外の社員にとっては、とってもやるせない気持ちになります。三菱自動車も自業自得ですが、こーいう形で業界再編が進んでいくんだよなぁ、という光景を久しぶりに目の当たりにしました。
ちなみに三菱自動車の排ガス不正が発覚したのは、日産から三菱自動車に対する排ガスの差異の確認の連絡が発端。スパイ映画的に考えると、この三菱自動車の再編劇、仕掛けたのは日産???、ということになりますが、さすがにそれはないような・・・。
まとめ
三菱自動車の排ガス不正問題が発覚した際、まさかこんな着地になると予想した人は殆どいないと思われます。事実は小説より奇なり、やはり業界再編って何がおこるか分かりません。
ともあれ日産との提携で一息つける三菱自動車ですが、今後再建の過程で特に国内部門の整理縮小は避けられないと考えられます。
自動車業界は再編があっても相手のブランドを残すのが普通なので、三菱ブランドの自動車は今後も道路を走り続けるでしょうが、今後三菱自動車という会社はどんな形になっていくのでしょうか?また日産は三菱自動車の再建を成功に導くことができるのか?
M&Aの世界は、M&Aした後から本当の意味での勝負が始まり、この勝負にやられる会社も多く存在しています。持ってる男カルロス・ゴーン氏率いる日産、果たして三菱自動車の再建に成功するのか?今後に注目です。
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