マクロン氏の仏大統領就任で日産ゴーン会長には悩ましい事態に

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 注目されたフランスの大統領選挙、まだ結果は出ていませんが、無所属の中道マクロン氏と極右のルペン氏での決選投票の方向。既存主要政党は決選投票で反ルペンで団結することが既に昨年の段階で決まっており、マクロン氏の大統領就任はほぼ確定の状況となりました。

 そんな中、マクロン氏のフランス大統領就任で頭を悩ましているかもしれないのが、日産のカルロス・ゴーン会長。オランド政権下、マクロン経済相が主導した日産とルノーの完全合併案、マクロン政権下で再び浮上の可能性は否定できず、ゴーン会長にとっては悩ましい事態が到来しそうです。

2017年フランス大統領選挙はマクロン氏が当確

 4月23日に行われたフランス大統領選挙、まだ結果は出ていませんが、無所属で中道のマクロン氏と極右のルペン氏が決選投票に進出の様子。決選投票は5月7日の予定ですが、既にマクロン氏の勝利は決まり、と言ってもよいでしょう。何せ昨年の段階で既存主要政党は、決選投票になれば反ルペンを応援する、ということで合意しており、さすがのルペン氏も保守・中道が束になれば敵いません。
 本来は保守系のフィヨン氏が大統領、というシナリオだったんでしょうが、蓋を開ければ無所属でもENA出身のエリートのマクロン氏が決選投票勝ち残り、という事態で、やはり政治は一寸先は闇だね、という状況ではあります。

 ともあれ反EUを掲げるルペン氏の大統領就任は無くなって、やれやれ、と思う方が大半何でしょうが、えらいこっちゃ、と思っている方も何人かおられます。その右代表が、日産のカルロス・ゴーン会長ではないかと。

関連記事:2017年フランス大統領選挙の予想、マクロン氏の勝利の可能性大

マクロン経済相がルノーと日産の完全合併を主張、粘るゴーン氏が跳ね返す

 新たにフランス大統領に就任の予定のマクロン氏は、現オランド政権下で2014~2016年に経済・産業・デジタル大臣(以下、産業相)を務めていました。その際に浮上したのが、フランス政府主導によるルノーと日産の完全統合問題。ゆるやかな経営統合となっているルノーと日産ですが、フランス政府が主導してルノーが完全に日産を支配下においてしまおう、というのがそのコンセプトでした。

仏が政府主導の日産・ルノー完全合併を模索、ゴーン氏は一蹴(ブルームバーグ)

 ただし当然のようにこれまでルノー・日産連合を率いてきたゴーン氏が猛反発。ま、政府が勝手なこと言いなさんな、というのは当たり前のお話なのですが、ここで注意したいのは現オランド政権は社会党の政権ということ。ついでに言えば、フランスの社会は社会主義的な制度が現在も至る所に残っており(冷戦の最中、民主主義ではありましたが経済的には社会主義的政策を取っていたのがフランス)、政府が企業経営に口を出すのがある意味日本以上に頻繁に発生します。

 日仏で外交問題にもなりかけましたが、この時はフランス政府内でマクロン氏があんたやり過ぎよ、と言われることになり、とりあえずゴーン氏の高額報酬に文句を付けるだけ、という結果に終わっています。

 当サイトでも日産とルノーの当時の状態を解説した記事を投稿しており、相応のアクセスをいただきました。

関連記事:日産とルノーが合併?フランス政府の横槍は日産のチャンスかも

 そして時は流れて、まさかの展開でマクロン氏が今度は大統領になってご帰還。マクロン氏がルノーと日産の関係どう思っているのかは分かりませんが、ゴーン氏にとってはイヤーな予感がして当然と言えば当然でしょう。

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社会党政権の意向か、マクロン氏自身の意向かが問題

 社会党政権は基本的に企業の国有化にためらいが無いので、フランス政府が主導してルノーと日産を合併させて・・・、という発想が出てくるのは当然と言えば当然。マクロン氏が進めようとしたルノーと日産の完全合併、社会党政権の意向としてやっていたのか、マクロン氏自身の意向でやっていたのかが、今となってはポイントとなります。

 前者であれば、マクロン氏が大統領になってもそれがそのままルノーと日産の合併案再び、とはなりませんが、仮に後者であれば、捲土重来を期す、何てことになりかねません。前者のような気もするのですが、最後の局面で政府内から、あんたやり過ぎよ、と言われたのはマクロン氏なので後者の可能性も否定できません。

 ただフランスに行ったり、多少本を読むと分かるのですが、ほんとフランスは資本主義の面より社会主義の面が強い国なので政府が起業に介入して、というのは政権が変わっても、あまり変わらないと考えられます。その矛先がルノーと日産の完全合併に向かうと、今度は相手が大統領だけにどうなるものか、非常に興味深いです。

 ま、個人てきにはその時こそ、実質的にルノーを支えている日産を日本側が買い戻すチャンスではないかな、と思います。少なくない額の資金が必要でしょうが、国内資本で買い戻せるなら、多少高くても全然ありでは?少なくとも事業自体がバクチの半導体メモリー事業に巨額の出資をするよりも、総合的に儲かる可能性は高いと思います。ま、変な経営しないことが大前提ですが。

フランス政府とゴーン氏の関係に注目

 マクロン氏の大統領当選、そして大統領就任はまだ先ですが、今後マクロン氏とゴーン氏の関係がどなっていくのかは注目に値します。マクロン氏率いるフランス政府が、再びルノーと日産の完全合併を主張してくるのか、それとも以前は以前として何事もなく時間は過ぎていくのか?

 気が付けば三菱自動車も自爆して今や日産の傘下となっています。その観点から、実は案外日本にとって他人事ではないマクロン氏の大統領就任。今後ルノー・日産連合を率いるゴーン氏とマクロン氏の関係に注目。

 また動きがあれば継続的に追いかけようと思います。

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