ソフトバンクの孫正義社長の後継候補と言われている、ニケシュ・アローラ副社長。アローラ氏の報酬が約165億円だった、と明らかになり話題になりました。少し前の出来事ではありますが、今後のソフトバンクの行方を考える上で、アローラ副社長はキーマンであることは間違いないので、少々アローラ副社長について調べてみました。
概要
ソフトバンクのニケシュ・アローラ副社長とは、その経歴
アローラ副社長はインド出身の47歳。ソフトバンクの孫社長に口説かれて、グーグルの上級副社長から昨年9月にソフトバンク入り。
アロラー副社長は、空軍勤務の父を持つインドの中流家庭の家に育ち、インド工科大を出てパソコンのセールスマンに。その後、一念発起し渡米し、ノースイースタン大に入学。
その後、アメリカの投資会社に通信アナリストとして入社。そして7年後、今度はドイツテレコムの携帯電話子会社に入社し、ヨーロッパに渡ります。そして2004年にまだ創業7年目のグーグル入り。主に営業・マーケティング畑で活躍し、最後は全世界の営業責任者として上級副社長にまで登りつめています。ちなみにグーグルで最後の年俸は約60億円と噂されています。
ソフトバンク入りしたアローラ氏、報酬は約165億円。もう全く現実味のない金額ですが、前職から比べると年俸が2倍以上になった、と聞けば、引き抜きだからそーいうこともあるよね、と思えるような。けどもう、訳かめの数字ではあります。
ソフトバンクは通信会社から投資会社へ先祖返りか?
ソフトバンクと言えばすっかり携帯電話会社として日本では定着した感もありますが、原点は投資会社。一番有名な成功例はヤフーへの投資、そして最近だとアリババへの投資。アリババは見事に上場し、現在の含み益は約7兆円。この7兆円の含み益を使って、ソフトバンクは次に何をするのかに、非常に注目が集まっていました。
そんな状況下、ソフトバンクのアローラ副社長が孫社長の後継候補として浮上。そしてソフトバンクはインドを中心にアジアへの投資を加速。これはもう、孫社長得意のビジネスモデル、タイムマシン経営のアジア版。そのパートナーとしてアローラ氏を迎えた、とも言える状態です。
直近のソフトバンクの投資先
7月3日の日経新聞に直近のソフトバンクの投資先のリストが掲載されていました。
・スナップディール(2014/11:インド:ネット通販:出資額約680億円)
・ANIテクノロジーズ(2014/11:インド:配車サービス:出資額約230億円※)
・ロコン・ソリューションズ(2014/12:インド:不動産仲介サイト:約110億円※)
・トコペディア(2014/12:インドネシア:ネット通販:約110億円※)
・グラブタクシーホールディングス(2014/12:シンガポール:配車サービス:約300億円)
・トラヴィス(2015/1:中国:配車サービス:約700億円)
・フォワード・ベンチャーズ(2015/7予定:韓国:ネット通販:約1,240億円)
※は別の出資者を含む総額
日経新聞15/7/3
ソフトバンクがアジアの会社の投資活動を積極的に行っていたのは聞いていましたが、まさにその通り。インドの会社が3社、もうこれはアローラ副社長の存在抜きには語れないかと。
将来有望な会社に投資する、その会社が上場した時にキャピタルゲインを得る、簡単に表現すれば、そういう意味での仕込みの仕事=投資を、孫社長とアローラ副社長が二人三脚で行っている、ということではないかと。
大変な投資先の発掘に、アローラ氏は適任だったというと
株式を上場している会社であれば、証券会社に注文すれば株が買えますが、未上場の場合はそうはいきません。
日本人であれば、孫社長が会いたいと言っている、と言えば恐らく誰でも会えるでしょうが、さすがの孫社長といえどもインドやアジアではそこまでの神通力はない。
そこをインド出身でグーグルで上級副社長まで務めたアローラ副社長がカバーしている状況かと。同じインド人なら、身構えず話できますし、まして相手がグーグルの元上級副社長ともなれば、IT業界で会えない人はいないかと。尚、既にアローラ副社長は立志中の人物として、インドのITやベンチャー業界では知らぬ者のいない存在となっています。
案件探すのはアローラ副社長が専ら担当、目利きの部分は孫社長がアローラ副社長が指導中、という状況?問題は、会社の発掘は努力でカバーできる部分が多いですが、目利き能力は努力ではなんともならない部分もあります。
孫社長の目利き力を疑う人はいないと思いますが、他の人が努力をしても、皆真似できる訳ではありません。投資の世界の難しいところです。
その意味では年俸165億円と言っても、アローラ氏に目利き力がなく投資先からのリターンがなければ、孫社長の後継という話もなかったことになりかねません。
逆に投資額以上のリターンがあれば、165億円の年俸だってやすいものです。なにせアリババで7兆円の含み益、ということだってあるんですから。
株とか投資界隈の近くにいると、そんなもんだよなぁ、と思いますが、ソフトバンク=携帯電話会社というイメージで見ると、なんだか全く別世界の話に聞こえてしまうのが、不思議なところです。
まとめ
パソコンソフトの卸売からスタートしたソフトバンク。その実態は投資会社と言っても過言ではない歴史を誇っています。
ただしボーダフォンから携帯電話事業を買収後は、携帯電話事業を軌道に乗せるのに全精力を注いでいましたが、携帯電話事業も落ち着き(ただし国内だけ、アメリカはまだメロメロ)、孫社長としては原点回帰で投資事業に注力?
そういう意味では、今後再び孫社長の本領発揮かもしれません。
乗るか反るかの大勝負でいくつも勝利してきたソフトバンクの孫社長。果たして後継候補と目されるアローラ副社長は、孫社長並みの投資の能力を発揮できるのか。
そんな観点で今後のソフトバンクの記事を見ていくと、また新しい視点が得らるかもしれません。
ソフトバンク、やはり当面は株式市場の話題の銘柄、という位置付けに変化は無いようですね。
PS 残念ながらアローラ副社長は2016年6月21日付で退任・・・
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