米国ヤフーが、日本ヤフー株を今後売却すると表明!

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米国のヤフーが保有する日本ヤフー株を今後売却すると表明しました。今回の日本ヤフー株売却、単に株の売却だけでなく、日本ヤフーの今後の事業展開にも大きな影響がある可能性も。

 ここ数年業績の悪化に悩んでいた米国ヤフー。一方の日本ヤフーは、一時の急成長ではなくなったものの、成長を続けているという、完全に親子逆転の状況となっていました。
 そんな中で浮かんでは消えていた、米国ヤフーの保有する、日本ヤフー株の売却話。今回は遂に、売却の方向で話が具体化しそうです。米国ヤフーのCEOが動画記者会見で、暗に日本ヤフー株の売却検討を表明しました。

「米ヤフー、日本ヤフー株の売却検討 米ファンドが圧力」(4/23付日本経済新聞)

 ただ今回の米国ヤフーの日本ヤフー株売却、単を株の売却する、という話だけではなく、日本ヤフーの今後の成長の転換点となる可能性もあります。今後の米国と日本のヤフーの交渉は注目です。

現在のヤフーを巡る株主の関係

 米国ヤフーの業績悪化により、大株主のファンドに迫られて日本ヤフー株を売却する、というのが今回の米国ヤフーの日本ヤフー株売却の背景。日本ヤフーと言えば、ソフトバンクの孫社長の存在を抜きには語れませんが(現在は日本ヤフーの会長も兼任)、下記に日米ヤフーの資本関係をまとめてみます。

<日本ヤフー>
・ソフトバンクが42.9%出資
・米国ヤフーが35.5%出資

<米国ヤフー>
・日本ヤフーからの出資は無し
・ソフトバンクはほんの僅かの出資

 上記を見ると、日本ヤフーは一方的に出資してもらっている側。日本ヤフーが、ソフトバンクと米国ヤフーの共同出資で設立された、という歴史的経緯を考えれば当たり前ですが。

 実はソフトバンクは米国ヤフーに4割程度出資していた時期がありましたが、2000年代に殆どを売却。そう携帯電話事業参入当初の財務的にソフトバンクが苦しかった時に、殆ど米国ヤフー株を売却しています。

 だからソフトバンクとしては、米国ヤフーが日本ヤフーの株を売りますよ、と言われても、自分が過去米国ヤフーの株を殆ど売っており、あまりとやかく言えない関係です。

 日本ヤフーは米国ヤフーに、できれば売らないで・・・、とお願いは出来ますが、基本的には生板の上の鯉。今後の株主構成考えると(安定株主が抜けてしまう)、非常に悩ましい事態と言えます。

米国ヤフーの事情

 今回の日本ヤフー株の売却の話、基本的に米国ヤフーのご事情です。

4/21発表した1~3月期の決算は純利益は2,100万ドル(約25億円)と前年同期より93%減少した。同社のパソコン向け中心のサービスはスマホの急速な普及に押され、業績の低迷は深刻だ。(4/23付日本経済新聞)

 米国ヤフーは2012年に創業者のジェフリー・ヤン氏の退社等もあり(ヤン氏の退社以前から業績悪化は深刻でしたが)、立て直しがなかなか進まない状況。そんな中、大株主となった投資ファンドからリストラ及び資産圧縮を求められ、現在のマリッサ・メイヤーCEO(グーグル出身)の下で、リストラを推進中。

 既にソフトバンクとともに出資しているアリババ株は売却表明済み。ちなみに推測ですが、ソフトバンクがアリババの含み益約7.8兆円なので、米国ヤフーはその約半分の出資なので、約3~4兆円の含み益、と考えられます。こーいう優良資産、米国の投資ファンドが見逃すハズありません。

 そして順番で次にお鉢が回ってきたのが日本ヤフーの株、ということでしょう。

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日本ヤフー株の今後の売却方法

 「日本ヤフー株の価値を最大化するための助言者を雇った」と米国ヤフーのCEOは表明していますが、米国ヤフーは日本ヤフーの株を別会社に移して、時間をかけて売却するようです。

 日本ヤフーとすれば、ソフトバンクに株を買ってもらえれば一番ありがたい所ではありますが、既に42.9%を出資しているソフトバンク、多少買い増しして50.1%まですることはあっても、それ以上はもうお腹いっぱい。100%子会社化するのであれば、話は変わってきますが、100%子会社化する意味が見当たりません。

 なにせ借金が10兆円以上あるソフトバンク、今更収益を生まない子会社の株に必要以上にお金を突っ込むことは、あり得ません。ちなみにアリババの株の含み益が約7.8兆円ありますが、それを差っ引いてもまだ2兆円オーバーの借金がソフトバンクにはあることに。やはりソフトバンクの借金の額は桁が違います。

 基本的に一気に日本ヤフーの株を売却できればウェルカム、というのが米国ヤフーのスタンスでしょうが、ソフトバンクは必要以上に買わないだろうし、大口で売却できる相手も見当たらない(実質的にソフトバンクの子会社の日本ヤフーを事業会社が大口出資する理由が見当たりません)、当然日本ヤフーにしたってそんな余裕[自己株買付)はない、ということで時間かけてゆっくり売却して行きますか、といったところでは?

日本ヤフーへの今後の影響

 現在、日本ヤフーと米国ヤフーは業務的には殆ど縁の無い状態となっています。あるのは日本ヤフーが米国ヤフーに対して支払っているブランド使用料。その額、年間約150億円。一見お高いように見えますが、ヤフー創業者と孫社長で設立した日本ヤフー、そのブランド使用料は業界標準からは格安となっています。(約1/10の様子)

 そんな米国ヤフーと日本ヤフーの関係、今回の米国ヤフーによる日本ヤフーの保有株の売却で関係はどうなるのか?基本的に現在は株を売る、というだけのお話。だから、特に関係は変わりません。

 ただし、ここに営業地域の話が出てくると、違った展開に。現在、日本ヤフーはヤフーブランドを利用した事業は日本国内のみに制限されています。オリエンタルランドが、勝手に他所の国でディズニーランド作れないのと一緒ですね。

 今回の米国ヤフーの日本ヤフー株売却を機に、日本ヤフーの事業領域を海外まで広げることができる、ということになれば、話は一気に面白い展開に。これまで日本国内のみの事業に制限を受けていた日本ヤフー、それでも何とか成長を維持していましたが、さすがにここに来て限界が。そんな訳で、ヤフーブランドで海外展開(アジアでしょう)の絵を描くことができれば、日本ヤフーとしては新しい成長シナリオを描くことができます。

 個人的には、もう他所の国にかかわる余裕の無い米国ヤフーなんだから、ライセンス料吹っかけて日本ヤフーの海外展開認めればいいじゃないか、と思ってしまいます。基本的に交渉次第、という所ではありますし、当然日米ヤフーで協議していると考えられますが、株の売却にかこつけて、海外展開の交渉もうまく着地できると、案外日本ヤフーの業績及び株価に取って、今回の米国ヤフーの日本ヤフー株売却はプラスに働く可能性もあります。

15.4.23ヤフー-min
お互いにハッピーな株の売却となるか?

まとめ

 高い成長を誇っていた日本ヤフーも、遂に減益が見込まれている昨今。米国ヤフーの日本ヤフー株売却は、日本ヤフーが変化するきっかけになりうる可能性もあります。しかしながら、交渉の結果次第では、単に米国ヤフーが日本ヤフーの株を市場で売却するだけのお話、ということも十分ありえます。

 経営的には追い詰められつつある米国ヤフー。そして再度の成長が望まれている日本ヤフー。果たして最終的にはどんな形での株式売却、という形になるのでしょうか?米国ヤフーの日本ヤフー株売却、単なる株の売却というだけでなく、日本ヤフーの今後の鍵を握っているとも言えそうです。

 今後の展開、続報が非常に興味深いですね。

PS 米ヤフーは主要事業を米通信大手のベライゾン・コミュニケーションズに売却と発表しました

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