2016年4月にAbemaTV事業を開始したサイバーエージェント。インターネット上のTVさながらのAbemaTVですが、今の所はまだ投資期間の最中。先日開示された四半期決算では、第一四半期で既に50億円を突っ込んでいます。
広告事業及びゲーム事業が好調ですが、ほぼ広告事業の利益を食べてしまっているAbemaTV。今後2年は投資継続、という同社の方針ですが、果たしてAbemaTVは目論見通りマスメディアとして定着するのか?
メディア事業に続きゲーム事業が軌道に乗ったサイバーエージェント、第三の柱としてAbemaTVが立ち上がるのか、今後注目です。
概要
AbemaTVに第1四半期に50億円を突っ込んだサイバーエージェント
AbemaTVはTVCM等でどんなものかはアバウトながら知っていましたが、正月の朝日新聞に折り込みでAbemaTVのテレビ欄が入っていたのにエラク驚いた管理人。早速ダウンロードして見てました。(あーもう、完全に広告に影響されてしまってますね)
サイバーエージェントは本気でAbemaTV事業を立ち上げようとしているのね、と言うことがよーく分かりましたが、先日発表されたサイバーエージェントの2017/9期第1四半期の数字を見て驚きました。
第1四半期で50億円も突っ込んでる!
当然殆ど、投資=赤字、な訳ですが、それでも第1四半期で63億円の営業利益が出ているサイバーエージェントはさすが。
そして今後も年間200億円の投資を継続(Q毎に50億円との計算になります)して、2年程度は積極的に投資を続ける、とサイバーエージェントは表明。
同社の体力からすれば、全然可能な金額ですが、それでもAbemaTVは社運を掛けた一大プロジェクトとなっています。
尚、AbemaTVは下記からアプリをダウンロードすることで視聴が可能になります。
広告事業の利益とAbemaTVの赤字がほぼバランス
サイバーエージェントの17年第1四半期の部門別収支は下記となっています。
・連結業績 売上高865億円、営業利益63億円
・広告事業 売上高487億円、営業利益47億円
・ゲーム事業 売上高346億円、営業利益64億円
・メディア事業 売上高59億円、営業利益▲45億円
(AbemaTV事業含む)
サイバーエージェントは四半期で60億円の営業利益が出る優良企業な訳ですが、AbemaTVに50億円投資をしているので、それが無ければ四半期の営業利益100億円オーバーという状態、こりゃスゴイ。
ま、それだけの会社なのでAbemaTVの立ち上げという、大掛かりなことができます。
同社の部門別損益を見ると、本業の広告事業が営業利益47億円に対して、ゲーム事業の営業利益が64億円。噂には聞いていましたが、今やサイバーエージェントの稼ぎ頭はゲーム事業だったんです。そりゃサイゲームス(Cygames)のTVCMよく見る訳だな。
ちなみに数多くあるネット系の広告代理店の中で同社の強さは抜きんでています。ま、何か特別なものがある訳ではなさそうですが、ブログをやっていると代理店とのやり取りも発生しますが、レスポンスの早さはサイバーエージェントが他社を圧倒してます。単価や提案内容をさておくと、レスポンスは早いし、何かと先回りしてやってくれるケースも多いので、サイバーエージェントがネット業界の広告代理店としてナンバーワンの地位にあるのは、肌感覚で分かります。ネットの世界でも結局は営業の世界なのね・・・、という結論になってしまいますが、バーチャルなネット空間だからこそ、ベタな営業力が大切だわ、と思うことはシバシバあり、サイバーエージェントは見事にそれを体現している会社と言えます。(グーグル先生みたいに、営業みたいなベタなことしない、と割り切れる会社も中にはありますが、特殊例ですね)
そして広告事業でズーッとやってきたサイバーエージェントは見事ゲーム事業を成功させて、事業の柱が2つ出来上がった状態となっています。そして現在第3の柱とするべく巨額の投資を行っているのがAbemaTVとなります。
同社の目標はズバリ、AbemaTVをマスメディア、に育て上げること!壮大な野望です。
ゲーム事業があればこそのAbemaTVへの投資
数字を見ると明らかですが、営業利益で言えば広告事業が47億円+ゲーム事業が64億円でこの2事業で営業利益111億円。この営業利益の半分をAbemaTVへの投資にサイバーエージェントはまわしています。
AbemaTVの投資は、同社のゲーム事業が立ち上がったからこそできる投資です。既存の広告事業のみであれば、とてもではありませんがAbemaTVに対して四半期で50億円の投資はリスク高すぎます(ただし300億円以上の現預金を持っているのでできなくはありません)。
ただし既に業界内で地位を確立している広告事業は数字の多少の変動はあれど読める数字となりますが、ゲーム事業は正直水物の部分があります。
目先、同社のゲーム事業が突然変調をきたす状況にはありませんが、今後2年はAbemaTVへの投資を継続する、と表明しているサイバーエージェントですが、それはゲーム事業が好調もしくは巡航速度で推移することが大前提となります。ゲーム業界の毀誉褒貶については下記記事をご参考ください。
関連記事:ゲーム業界の現状、衰退が言われても打ち上げ花火と淘汰の繰り返し
ま、ため込んだ現預金を切り崩してでもAbemaTV事業に投資する、という選択肢もありますが、財務的には案外保守的な所があるサイバーエージェント、そこまではやらないような気がします。(勝手な推測です、悪しからず)
2017年はネット動画の陣取り合戦の年?
2016年には色々なネット動画の配信サービスが立ち上がりを見せました。動画配信と言えばYoutubeが右代表ですが(日本ではniconicoも)、NetfeixやU-NEXT他のサービスも2016年は名前をそれなりに聞くようになりました。
とは言え、動きの速いネット業界、今のままの状態がそのまま続くとも思えず、2017年は早速陣取り合戦になる可能性があります。Youtubeとniconicoとamazonは安泰ですが、AbemaTV他はまだどうなるか分かりません。
基本的にユーザーの時間を結構奪う、という性質を持っている動画配信(ユーザーは流し読みができるブログと比べると、動画は段違いに時間を取られます)。1日は24時間ということは人類に平等であるため、思いの外、動画配信の市場間競争は早く始まって、早く決着がつくのでは?勝ち抜くためのキーワードは”コンテンツ”となるので、各社が優良コンテンツの獲得にしのぎを削っています。
AbemaTV、暇な時に釣り番組見てると面白いです。管理人は釣りは人生で1回(それもワカサギ釣り)しかやったことがありませんが、釣り番組見ていると、時間を忘れる時があります。ここが動画の怖さだよなー、Youtube見て気付くと結構な時間が経っていたのと一緒ですが。
それと、「孤独のグルメ」も見ていると時間を忘れます。。。
まとめ
営業力のあるサイバーエージェントが手掛ける動画事業のAbemaTV。TV事業は要は広告から収益は成り立っているので、サイバーエージェント自身がTV事業を手掛ける、というのはある意味では理にかなっています。ただしTV事業はもう一方でコンテンツに魅力がなければ視聴者はついてこないので、ここをサイバーエージェントがどう克服するのかが課題。あと当然、まだビジネスとして成り立っていないので、そもそも広告代理店の会社がマスメディアを立ち上げることができるのか、というそもそも論の議論もあったりします。
ただし、動画の配信は今後も市場拡大が期待できる分野であり、定着して生き残った会社は大きく収益をあげられる可能性が高いです。当然サイバーエージェントはそれを狙っている訳ですが、あと2年と位置付けているAbemaTVへの投資期間、果たしてサイバーエージェントは見事にAbemaTVを事業の柱として立ち上げることができるのか?
今後のAbemaTVの行方に注目したいと思います。
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