gumiが2019年4月期赤字決算の中で計上の11億円のソフトウエア仮勘定どう見るか?

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2019年4月期に▲16億円の最終赤字を計上したgumiは、同時にソフトウェア仮勘定として11億円を資産計上しています。

今期(2020年4月期)を復活に向けたスタートとする計画ですが、失敗するとソフトウエア仮勘定の減損により、更なる損失拡大のリスクもあります。

今期からの復活にかけるgumiは足元株価はゲーム業界の中では堅調に推移していますが、今後の業績の行方が注目されます。

gumiの2019年3月期は▲16億円の最終赤字

gumi<3903>といえばIPO直後にやらかしてしまった銘柄として記憶が残っている方も多い銘柄ですが、IPOの際に多額の資金調達に成功しており会社自体は問題なく現在に至っています。

ただし業績は低迷を余儀なくされており、2019年3月期は最終赤字に転落してしまいました。

2017年4月期 売上高259億円、経常利益17億円、当期純利益13億円
2018年4月期 売上高271億円、経常利益9億円、当期純利益5億円
2019年4月期 売上高212億円、経常利益▲14億円、当期純利益▲16億円

ゲームのヒットに恵まれず、ジリジリと後退している状態。IR資料に乗っている四半期毎の売上推移を見ると、2018年4月期Q4から売上高が減少し赤字となる姿が明確です。


gumiの2019年4月期決算発表資料より

2020年4月期はQ1に収支均衡の予想

同社は通期予想の開示はなされていません。その代わり四半期毎の予想数字の開示がなされています。足元ではQ1の予想が開示されており、Q1は売上高50億円、経常利益0億円であり収支均衡の予想です。

同社計画ではこれまで四半期ベースで赤字が継続していましたが、2010年4月期Q1には止血がなされる、という内容となっています。

本計画が実現すれば、とりあえずジリジリと続いた撤退戦がようやく一息つける状態となります。Q1本当に収支均衡にまで持っていけるのか注目されます。

2019年4月期に11億円のソフトウエア仮勘定を計上

gumiの2019年4月期は海外からの撤退、開発中のソフトの撤退等により▲16億円もの赤字を計上しています。▲16億円の赤字も売上200~300億円規模の会社では一大事ですが、場合によってはそれ以上の赤字となっていた可能性があります。

どういうことかといえば、2019年4月期に同社はソフトウエア仮勘定を11億円積み上げ。ソフトウエア仮勘定は簡単にいえば、ソフトウエア=ゲームの開発費であり、ゲームの開発費をソフトウエア仮勘定として資産計上ではなく費用計上した場合、赤字額はMax11億円増加していた可能性があります。


・gumi2019/4期の貸借対照表より抜粋

当然、期末決算であり監査法人も認めた会計処理ではありますが、前期末2.8億円となっていたソフトウエア仮勘定が14億円にまで拡大しており、開発中のゲームタイトルがコケルト今後一気に減損のリスクが表面化します。

ちなみに2018年4月期はソフトウエア4.3億円、ソフトウエア仮勘定が2.8億円でソフトウエア関連資産が合計7.1億円計上。一方で2019年は同関連資産14億円であり、対年同期比で7億円の開発費が資産計上されている計算です。

営業キャッシュ・フローも大幅マイナスに転落

損益計算書が赤字になっているので当たり前の話ですが、2019年4月期は営業キャッシュ・フロー(営業C/F)もマイナスに転じています。


・gumi2019/4期のキャッシュ・フロー計算書より抜粋

2018年4月期+13億円となっていた営業C/Fは、2019年4月期▲11億円。売上債権の回収+8.7億円でどうにか営業C/Fのマイナスの拡大を抑えた一面があります。

投資キャッシュ・フローは▲20億円以上のマイナス水準を維持

ゲーム運営会社の同社は継続的にゲーム開発のための投資を行っています。投資キャッシュ・フロー(投資C/F)は2018年4月期▲25億円、2019年▲22億円の規模です。


・gumi2019/4期のキャッシュ・フロー計算書より抜粋

直接ゲーム開発にかかわる数字は「無形固定資産の取得による支出」と推察され、2018年4月期▲13億円、2019年4月期▲12億円と若干減少したもののほぼ同水準を維持。

あと個人的には他所の会社の面倒見ている状態なのか?、と思わないでもない投資事業ですが、投資有価証券の取得について2018年4月期▲6.9億円、2019年4月期▲11億円。

営業C/Fと投資C/Fを合わせて見ると、損益は黒字の2018年4月期もキャシュ・フローベースでは▲10億円以上の資金流出超過だったと分かります。

銀行借り入れで資金の確保はなされているのと、約100億円の現預金を保有しているので資金繰りにま全く問題ありませんが、2018年4月期と2019年4月期は損益に関係なく投資にいそしむ姿が明らかです。

ちゃんと投資した金額が回収できるかどうか、同社の手腕が問われます。

同業他社より若干良好な株価推移

ネット系のゲーム会社の株価を2018年12月25日を基点に比較したチャートが下記となります。


関連記事:トレードステーションを利用して日経平均等の指数と各銘柄の強弱関係が簡単に分かる方法

赤い太線がgumiとなりますが、同社の株価はゲーム業界全体で見ると同業他社に比べると若干良好な状態。また6月に入ってからの上昇は顕著です。意外・・・。

ちなみに5月以降他社に先駆けて株価が上昇しているのはアエリア<3758>で年初来高値を更新しています。日経平均(茶色の太線)並みのパフォーマンスの銘柄が多いゲーム関連銘柄の中で、アエリアの株価上昇はひときわ目立っています。

まとめ

2019年4月期に最終赤字を計上したgumiは今期(2020年4月期)が正念場となります。同社としては当然黒字化を予想していますが、ゲーム業界は水物でやってみなければ分からない面が多分にあります。

2019年4月期はゲームの開発費の一部をソフトウェア仮勘定として資産計上していることもあり、今期外すと一気に減損が発生して2019年4月期以上の赤字を計上するリスクもあります。

2019年4月期に現預金98億円を保有しており(銀行借入は合計57億円)、まだ会社としての体力は充分に残っていますが、損益面では2020年4月期は同社として1つの正念場といえます。

gumiは2020年4月期に見事復活の狼煙を挙げることができるのか、それとも凋落が続き前期計上のソフトウエア仮勘定の減損も発生し更なる大赤字計上となるのか?

今後の同社の業績推移が注目されます。

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