単独での事業存続が難しくなっているジャパンディスプレイ(JDI)ですが、JDIに対する公的資金の残高は約2,400億円残っています。一旦支援を受けることで決まった中国企業と台湾企業との連合軍ですが、肝心要の資金支援がなされていません。
既に第三者からの支援無しには立ち行かない可能性の高いJDIですが、今後残っている公的資金の回収はなされるのでしょうか。
JDIの今後の行方が注目されます。
迷走するジャパンディスプレイ(JDI)
日の丸ディスプレイ会社として発足したジャパンディスプレイ(JDI:6740)の経営が、いよいよ危機的状況にあります。既に赤字が膨らみ債務超過寸前(2019/3期末の自己資本比率0.9%)で、資金繰りについてもギリギリの状態。2019年3月期までの業績推移は下記ですが、4期連続の最終赤字が継続中です。
INCJ(旧、産業革新機構)の支援を受けながら、中国と台の企業連合からの出資により当座をしのごうとしています。
しかし中台連合からの出資が遅れており、なんだか嫌な予感がする状態となっています。
関連記事:ジャパンディスプレイ(JDI)は一度も設備投資資金が回収できずに中台連合傘下へ
JDIのIPOでの回収分を吐き出し、当初以上に公的資金
DJIは2014年にIPOしており、その際の株式売却により公的資金は約1600億円の回収を行っています。下記に時系列で投入資金の推移を記します。
・2012年4月 当初出資額2000億円(IPOにより約1600億円を回収)
・2016年12月 劣後ローン300億円
・2016年12月 転換社債型新株予約券付社債450億円(200億円を償還)
・2017年8月 債務保証1070億円
・2018年6月 短期貸付金200億円
・2019年4月 短期貸付金200億円
→未回収額約2400億円
当初DJIの発足時に公的資金2000億円を投じており、JDIのIPOにより公的資金はその約8割1600億円を回収した状態となりました。
正直JDIのIPOは決して筋のよいものではありませんでしたが(割高かつIPO後早期に業績の下方修正)、それでも投資資金の大半を回収した点は、ファンド運営という観点では評価できます。
個人的にはIPOの時に全株売って手仕舞いすればいいのに、と思ったものですが旧産業革新機構は株式の継続保有をし、また役員も派遣しJDIの経営に関与を続けます。
その後、JDIの経営が坂を転がるように悪化し、旧革新機構はJDIに対し回収したはずの資金を再度投入することになります。
そして気付けばJDI発足時以上の資金を、旧産業革新機構から衣更えしたINCJはJDIに投入しています。折角IPOで1600億円回収したのに、回収が進むのではなく、追加出資で気付けば最初の段階以上に公的資金がJDIに投入されています。
公的資金に大穴が開く可能性も
中台連合による支援を受けJDIは復活する、というシナリオが現在走っていますが、中台連合からの出資が予定通り進んでおらず、場合によってはひっくり返る可能性だってあります。
既にJDIの状態は第三者の支援無しには事業存続が難しい状態であり、中台連合からの支援がなくなり、他の支援者が現れなければ同社の経営は財務状況から早晩行き詰る可能性があります。
そしてJDIが倒産等、最悪の場合はJDIに投じられた公的資金が大きく毀損する可能性大です。あーあ、2000億円以上の大穴開けてしまった・・・、何てことになりかねません。
旧産業革新機構・現INCJはルネサスの成功におんぶに抱っこ状態ですが、一応再投資するまではJDIも成功案件の中に入っていたのですが・・・。やはり再投資がターニングポイント。再投資してなければ最悪の場合でも、300~400億円の損失で済んだのですが。
いずれにしてもJDIはこのまま支援企業から資金調達ができないと、最悪のケースを招く可能性があり、その場合公的資金が2000億円以上やられることになります。。。
まとめ
ディスプレイ業界は2000年頃にゲームのルールが変わって、技術開発力というより投資力の競争になっています。投資競争のゲームからソニー、東芝、日立は降りて、それらの中小型液晶部門を統合して発足したのがJDIです。一方シャープはガチンコで投資競争ゲームに参加し、そして華々しく散ってホンハイの傘下入りしました。
JDIに対する2000億円を超える公的資金の回収が懸念される状況ですが、ゲームのルールを踏まえれば、大規模な資本力を持った親会社の存在のないJDIは、遅かれ早かれゲームから脱落する運命だったと考えられます。
結局ゲームのルールは今も変わっておらず、有機ELも同じような状況となる可能性は高く、国の資金が大量に投入されている中国勢に太刀打ちできるとは思えません。
結局、立ち行かない、と判断されて切り離された事業は、いくら他社の同業と一緒になったところでどうにもならんかった、との結論に至る可能性がJDIに関しては高そうです。
とはいえ2000億円を超える公的資金が投じられたままとなっているJDI、最終的にどのような形で着地となるか注目したいと思います。
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