LINEが2019年第1四半期で▲100億円を超える最終赤字を計上しました。決済・銀行・証券と金融三部門を同時に立ち上げようとするLINEですが、さすがに戦線を広げ過ぎの感があります。
今後LINEの金融新事業の立ち上がりの行方が注目されます。
概要
LINEの2019年Q1は▲103億円の最終赤字
LINE<3938>が2019年12月期のQ1決算で▲103億円もの最終赤字を発表しました。前期のQ1が▲14億円の赤字であり、大きく赤字幅が拡大しています。
2019年12月期第1四半期(1-3月)
売上高 553億円(対前年同期比+13.5%増)
営業利益 ▲79億円(前年同期12億円)
四半期利益 ▲103億円(同▲14億円)
Q1で100億円超の赤字でも約2500億円の現預金を保有し体力的には何ら問題のないLINEですが、それでも四半期で100億円を超える赤字はさすがに多い。サイバーエージェントが動画事業に年間200億円以上突っ込んでいますが、それを上回る勢いです。このままいくと通期で▲400~▲500億円の赤字となりますが、サイバーエージェントと比べてもその赤字額は突出しています。
LINEは決済・銀行・証券と多方面に戦線を拡大中
メッセンジャーアプリの会社としてブレイクしたLINEですが、現在は決済・銀行・証券と多方面に戦線を拡大中。
決済のLINE Payは単独での事業展開ですが、銀行はみずほ銀行との提携、証券は野村証券と提携しながらの、事業展開となっています。
ただねー、客観的に見て戦線を広げ過ぎでは?、と思うんです。
決済はソフトバンクのPayPayなど競合がひしめいていて(個人的にはメルカリのメルペイがよさげ)、銀行は楽天銀行始め既にネット銀行多数。証券だってネット証券に加え、新しいネット証券も生まれています。いずれの事業も簡単に勝たせてはもらえない分野です。いずれの分野も相当な設備投資が必要とされる分野であり、そりゃ赤字額も膨らみます。
せめて銀行と証券はどちらかに注力すべきではなかったか?
決済はベタな商売部分があるのとLINEの法人顧客のインフラを利用できるので、一定の優位性はあるのでは?、と思います。ただし銀行と証券は完全にLINEは門外漢、だからこそみずほ銀行と野村証券と組むわけですが。
しかし、さすがに一気に銀行と証券の事業を立ち上げるのは無理があるのではないかな、と思います。いずれのビジネスもシステムを作ったらハイ出来上がり、というビジネスではなく、システムを作った後でビジネスを回すために相当の人員を投入せざるを得ない分野です。
今や銀行も証券もグループに持っている楽天は銀行・証券のいずれもM&Aで手に入れています。SBIグループも証券の後に銀行を住友信託銀行と設立。結構なお金と時間かかってましたから。
直近ではローソン銀行がみずほ銀行の力を借りて開業していますが、同時に銀行と証券を立ち上げる話は聞いたことがありません。二兎を追う者は一兎をも得ず、とならないとよいのですが・・・。
証券分野は強力なライバル出現、SBIネオモバイル証券がサービスイン
フィンテックが騒がれ新たな証券会社も登場している中、SBI証券がCCCと組み、SBIネオモバイル証券を4月10日からサービスインしました。SBIってそんな準備してたのね・・・、という電光石火の早業で、新たに証券取引のサービスを開始しています。
玄人筋からはシステムが使いにくい等の意見もあるSBI証券ですが、ネット証券の中ではNo1の地位にあり、ネットでの証券ビジネスに精通しているのは言うまでもありません。わざわざ別の証券会社を立ち上げてまで取り組んでおり、その本気度がうかがえます。
CCCと組んで、日頃使ってないTポイントで株が買えたり、月額200~円で取引金額に応じて取引し放題等、SBI証券にはないサービスをそろえ、市場を一気に取りに来た状態です。
関連記事:TUSTAYAのCCC、業績ってどうなの?試行錯誤の真っ最中(2015年10月の記事)
LINEの証券業参入以外にも、既に参入のOne Tap Buyや丸井の証券業進出もありますが、SBIネオモバイル証券の4月10日からのサービス開始は相当なインパクトがあります。フィンテック時代のネット証券界の勢力図に、大きな影響を与えることになりそうです。
・SBIネオモバイル証券の口座開設詳細を見てみる
関連記事:余っているTポイントで株が買えるSBIネオモバイル証券、配当株投資にオススメ
まとめ
四半期で▲100億円の赤字を出してもビクともしないLINEの体力はさすがです。足元では決済事業、銀行、証券と金融3事業の立ち上げに注力しており、それにともない赤字が拡大している状態です。
LINEはかつて音楽事業で高い勉強代を払っており、新規事業の立ち上げを得意としている会社かといえば、そんな訳でもありません。
体力にかけては問題ないLINEですが、果たして決済・銀行・証券の3事業いずれも立派に立ち上げることができるのでしょうか?1つでも立ち上がればそれでOKと考えることもできますが、大金を投じているLINEの新事業、今後どんな結果となるのか注目です。
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